【違法建築】~『時効』ですよ!~

カテゴリ:ブログ 住宅

さて、前回はちょっと、まじめなことも考えているということをアピールしてみたんですが、読者のみなさんの期待に沿えてなさそうなので、今日も2回目の更新をしてみます。

みなさんは違法建築と聞いてどんな物を想像しますか?

まぁ、最近は姉歯建築士やヒューザーで有名になった、耐震偽装を思いつく方が多いかと思います。

しかし、この世の中には違法建築物だらけなんです。

統計は取っていませんが経験則的に見ると

1位 違法増築

2位 検査済み証無取得

3位 用途違反(飲食店をやってはいけない場所でやっている・・・等)

などが多いでしょうか・・・

特に、違法増築はそこら中にあります。ちょっと、古い街中の雑居ビルの屋上を見てみてください。屋上にそのビルとはどう見てもにつかわしくない建物が乗っていることがありませんか?その殆どが違法建築です。

※防火地域以外の場所では10㎡未満の増築は一定条件下で無許可で出来ます。

不動産売買の仕事をしているとこの違法建築によく当ります。住宅情報館の質問にも多く寄せられています。

今回はそんな違法建築の話です。

まだ、景気が良かった6年ぐらい前、大手不動産仲介会社N氏から電話です。

(N氏についてはこちら
を参照してください。)

この頃のN氏はそこそこ経験を積んでかなり色々なことが解るようになっています。もちろん、この時には宅地建物取引主任になっていました。

「相澤さん、品川区に良い物件があるんですよ~。得意げ

間髪いれずに

「山手線○○駅徒歩5分の6階建ての賃貸マンションなんですけど、総戸数は1DKが46戸2LDKが6戸、空室は3戸です。現況利回りはNETで14%、満室なら15%を超えます。家賃は周辺相場と比較してもかなり安いです。だから、家賃の下落リスクは低いです。得意げ

※当時はまだ利回り5%以下での収益物件の取引なんてほとんどありません。東京都心部で5%以下の利回りで収益不動産が取引されるようになるのにはここから2年ぐらいの時間がかかります。

物件を入手した後に景気が悪くなったりして家賃が下がると物件の価値が下がります。N氏はそれを言いたいわけです。

「個人の方が所有で昭和57年築です。シラー

ここでN氏のテンションが下がったのは建物が古かったからでしょう。

「ん?昭和57年か~。微妙に旧耐震だったりする?」

(※旧耐震・・・新耐震基準は昭和56年6月1日に施行されたものです。昭和56年6月1日以降に確認申請が取得されている物件(もちろん、その確認申請に基づいて完了検査が行われていること)については、新耐震基準を満たしていることになります。)

今回の物件は完成が昭和57年ということは、確認申請が昭和56年6月1日より前の可能性があります。

「う~ん。謄本には昭和57年11月新築と書いてあるので大丈夫じゃないっすか?」

「そっか~。6階建てなら施工に1年は掛からないだろうから、新耐震かな・・・」

「ですよね~。最近、僕もいろんなことがわかる様になってきたんっすよ!得意げ

「一応、検済のコピー取り寄せてくれる?」

「あっ、そこなんですけどね、この建物、検済を取得してないんですよ!シラー

「げっ・・・えっ

「確認はあるんですけどねぇ・・・」

(※確認・・・確認申請済証のこと。建物は原則として確認申請をしないと建てられません。ただし、一定条件下では必要がありません。詳しくはこちら・・・『建築確認申請』Wikipedia

(※検済・・・検査済証のこと。確認申請に基づいて、ちゃんと建物が建てられているかを行政機関(最近では民間の建築検査機関でも行われています。)が竣工時に検査し、その検査内容に問題がなければ発行される証書です。)

「図面はある?」

「ありますよ!メールしまっしょっか?」

「うん。とりあえず、物件概要と図面をメールして。」

N氏は仕事が速いです。N氏が知識をカバーしてここまで来たのはこのスピードです。

物件概要と図面のPDFが1分で来ました・・・速いです。

こうなることをちゃんと考えて電話しながら、メールを用意していたに違いありません。

さて、PDFを開いてみると・・・

物件概要に地図、公図、謄本、それに設計事務所の書いた図面、建築確認申請(受領印付き)があります。

物件概要はN氏が電話で言った通りのことが書いてありました。謄本を確認すると物件概要と相違ありません。というわけで早速、図面の確認をすると・・・N氏の決定的なミスに気が付きました。

すぐにN氏に電話します。

「お~い、6階の図面が添付されてないぞ!」

「いや、6階の図面がないんですよ。」

「なんで!!!むかっ

「確認見ました?」

(ん?)

建築確認申請というファイルを開くと・・・

『5階建てで申請してるっ・・・・!!

「あのさぁ、これ、新耐震も旧耐震もないじゃん!普通に違法建築だろ!むかっ

「あっ、でも昭和57年築ですから、もう築20年以上ですよね。」

「だから、なんだよむっ

「時効ですよ、じ・こ・う!得意げ

「へ?えっ

「だって、殺人だって15年で時効ですよ!違法建築も20年経てば時効でしょ。得意げ

※当時は殺人事件の場合の時効は15年でした。

(絶句・・・)

この後、私がN氏に向かって時効について、長々と説教したのは言うまでもありません。

違法建築に時効はありません。時効というのは犯罪の証拠が時間とともに立証が難しくなるから存在するのですが、違法建築は建物が無くならない限り、その立証はできますから・・・。

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