違法建築物を賃貸してよいか?

連載シリーズ 【 違法建築物を賃貸してよいか? 】 第 1 話 / (全 6 話)

多くの貸す側、借りる側双方の方が疑問に持っているようなので解説します。

まず、大前提になりますが、

違法建築物は、存在そのものが違法です。法では行政処分により、使用禁止や除去(取壊し)、さらに悪質な場合は、刑事処分や罰金刑という場合もあります。これは完了検査を受けていない、各行政の定める条例に違反している等も含めます。

悪質な場合とは

・ 違法建築物に対する行政指導に対し、それを無視する、もしくは度重なる勧告に従わない。

・ 営業を目的とする複数の建物で同様な建築基準法・条例違反を繰り返す。

・ 建築基準法・条例違反であるということを認知していて、それを故意に行う。

実際に、行政処分があるのかと言われると、事例は非常に少ないのですが、いずれも見たことがあります。

そのことを前提に読んでください。

Q.違法建築物を賃貸してよいか?

【解答】

賃貸してはいけないとまでは言い切れません。

【解説】

色々なリスクが付きまといますが、違法建築物を賃貸すること自体は、建築基準法、借地借家法、民法にも定義が無いので、不可とは言い切れないという曖昧な解答になってしまいます。

では、どんなリスクがあるかというと・・・

・ 地震や火災などの事故があって、賃借人や、それが店舗だったりした場合に従業員やお客さんに被害があった場合は、所有者責任が問われます。

・ 行政処分で、使用停止や除去命令が出た場合に、賃借人に対して、立退き料や営業保証を求められる可能性があります。この場合の使用停止や除去命令は、「借地借家法第18条の正当な事由」には該当しません。違法建築物を作った、もしくは所有していた賃貸人側の都合です。

・ 違法建築の場合、用途変更が出来ません。そもそも、用途変更とは、特殊建築物でない建物を特殊建築物などに変更する(一般的な住宅をホテルに変更する)とか、特殊建築物を別の特殊建築物に変更する(ホテルを病院にする)などのことです。

 

では、このリスクを回避する方法としては・・・

あらかじめ、賃貸借契約及び、契約前の重要事項説明に於いて、この建物は違法建築であり、行政処分により使用停止や除去命令が出た場合の賃貸人の賃借人に対する補償を決めておくべきでしょう。同様に、違法建築物であるから、用途変更が出来ない旨を説明しておかないといけません。

また、用途変更を行わないで、使用した場合、最終的な責任の所在は、建築基準法第9条により、「所有者、管理者若しくは占有者」となっています。以下の判例は用途変更ではありませんが、建築基準法・消防法などに違反した場合の判例です。

東京都杉並区高円寺の居酒屋で平成21年、14人が死傷した火災で、業務上過失致死傷罪に問われた元経営者、佐藤信一被告(64)ら3人の判決公判が13日、東京地裁で開かれた。今崎幸彦裁判長(斉藤啓昭裁判長代読)は「防火意識の低さは強い非難を免れない」として、佐藤被告に禁錮2年6月、執行猶予5年(求刑禁錮2年6月)を言い渡した。ビル所有会社元社長の高橋昭彦被告(57)、同社社員で防火管理担当だった倉田俊二被告(30)はそれぞれ禁錮1年8月、執行猶予3年(同禁錮2年)とした。

この様に、所有者も管理会社も占有者(賃借人)も一網打尽にされるケースもあります。

地震や火災などの事故に対しては、違法建築であるかどうかは別として、万全の体制をとるべきです。ましてや、違法建築というリスクがある訳ですから、過剰なぐらいの意識を持っておく方がよいでしょう。

違法建築物でお困りの方は、リデベにご相談ください。

※ 必ず解決できるとは言えませんが、状況によっては対策があります。

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