更新料のあり方

連載シリーズ 【 更新料のあり方 】 第 7 話 / (全 7 話)

更新料について新たな見解がでました。

内容は下記の通りです。

賃貸マンション:更新料訴訟 「適法」 大阪高裁、異なる判断--8月は「違法」

 滋賀県野洲市の賃貸マンションを約6年半借りた男性会社員(33)=大阪市=が入居継続時に支払う更新料計26万円の返還を貸主に求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長は「更新料は借り主にとって一方的に不利益とはいえず、消費者契約法に違反しない」と述べ、更新料を適法とする判断を示した。その上で、1審・大津地裁判決(今年3月)同様、請求を棄却した。原告側は上告の方針。

 更新料を巡る訴訟では、8月、大阪高裁で「消費者の利益を一方的に害する」として貸主に返還を命じる判決が出ており、高裁レベルで判断が分かれた。

 更新料について、1審判決は「賃料の一部前払いとしての性質がある」として適法と認定。これに対し、三浦裁判長は「賃貸借期間が長くなった際に支払われるべき対価の追加分ないし補充分」との判断を示し、「貸主にとって必要な収益で、更新料がなければ賃料が高くなっていた可能性がある」と指摘した。【日野行介】

◇原告側代理人の増田尚弁護士の話

実情に合っておらず、不当な判断だ。


出典:毎日新聞


前回の判決とは相反する結果がでました。

結果からすると程度の問題なのか?というような結論になりました。


簡単に言えば、その更新料が額として妥当かどうかということです。


しかし、『いくらだったら妥当なのか?』というのは明示されないままに終ったという感じです。

この高裁判決から、今後どの様にすべきかというのを考えてみました。


・ 今後は更新料の請求は認めない。但し、過去に支払った更新料は有効とし、遡っての返還請求はできないものとする。

【解説】

そもそも、更新料の本来の請求目的は契約更新に伴う、事務手数料です。ところが、この部分で最初の仲介手数料と『同じ』もしくは『それ以上』の請求を賃借人にするのは変な話です。

仲介手数料と言うのは、貸主から依頼され、借主を探すことの手数料であり、契約書を作る費用はその定められた仲介手数料に含まれるはずです。とするならば、事務手数料は仲介手数料よりも安くなければなりません。

そもそも、契約行為は宅建業者がいなければ出来ないものではありません。

とするならば、更新の際に敢えて、宅建業者に契約書等を作ってもらいたいのであれば、その事務手数料は、貸主、借主、宅建業者で任意で決めればよい話です。また、それだけであれば、最初に契約した仲介業者じゃなくても良いわけですから、価格競争が発生するでしょうし、業者も採算性から、その仕事をすること自体が経済的な意味合いを無くす可能性が高いと思います。

更新料そのものは、家賃の補填的意味合いが強いと考えます。しかし、地域性があり、更新料そのものが無い地域や更新料が常習化している地域もあります。

その是正をするべく、法的に更新料の禁止をしてしまいます。更新料を禁止すれば、その分を最初から賃料の上乗せを考えなければならなくなるでしょう。

同じ土俵で、賃料を比較できるようになり、消費者(貸主)にわかりやすい制度になり、また収益還元方により賃貸物件の正確な不動産評価ができるようになるでしょう。

しかし、過去に遡って更新料の返還請求ができる様になるとすれば経済的混乱が大きなものになりますし、そもそも、その当時は認められていたので、既存不適格に近い発想で返還請求はできないこととすればよいはずです。

・ 更新料と同じく、礼金も今後は認めない。

【解説】

以前にも書きましたが、礼金とはそもそも、借主が学生である場合などのその親が大家に対して、自分の子供の面倒を見てもらう謝礼という意味合いから、発生したものです。

しかし、現在、借主を自分の子供の様に面倒を見てくれる大家さんは極めてすくないです。(全くいないとはいいません。)

とするならば礼金の本来の意味合いは失われています。もし、大家さんに自分の息子の面倒を見て欲しいのであれば、それは不動産の礼金という慣例的なものとは別に契約すれば良いのではないかと思います。

・ 賃貸物件の仲介手数料の上限を引き上げ、成功報酬制にする。

【解説】

例えば貸主が10万円/月である部屋を貸したいと考えたとします。

ところが成約賃料が9万円/月だったとします。

この場合、貸主が取得できる金額は想定の90%であり、仲介業者が取得できる手数料も家賃の1ヶ月分ですから、90%でつじつまが合っている感じもします。

しかし、貸主はその不動産の取得経費もあるし、管理費や税金などもあるでしょうから、利益率は単純に90%になった訳ではありません。

仲介業者は手数料ですから『売上げ=営業利益』になります。(厳密には違いますが・・・)

とすると、貸主と仲介業者の『利益』という部分に関しては単純比較ができないはずです。

現在の更新料は賃料の補填以外に不動産業者の利益的意味合いが強いですから、単純に更新料をなくせば不動産業者は経営が成り立たなくなるし、一律に現行法のまま(仲介手数料は家賃の1ヶ月)、更新料を無くせば優秀な仲介業者(客付け能力の高い業者)まで辛くなります。

そこで、そもそもの仲介手数料の上限を引き上げ、貸主の希望家賃に叶わなかった際には仲介手数料を家賃に応じてではなく、取得できる利益率に応じて減額することを慣例化させることが重要です。

この場合、貸主は最初から無茶な家賃設定をすることで仲介業者に支払う手数料が減るという問題を抱えますが、無茶な家賃設定をする貸主と付き合っても仲介業者は得にはなりませんから、仕事を受託しなければいいわけです。(競争原理の観点から自然にそうなるはずです。)

時代の変化とともに、更新料や礼金の本来の意味合いは失われている今こそ、そもそもの考え方を改めるべきと考えています。私のあさはかな、考えかと思いますので、みなさんの意見を広く求めたいと思っています。

判例分裂で混乱しているけど・・・

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