既存不適格と違法建築 検済と謄本の記載内容の違い

カテゴリ:ブログ 不動産投資
連載シリーズ 【 既存不適格と違法建築 検済と謄本の記載内容の違い 】 第 4 話 / (全 18 話)

さて、前回の続きです。

この物件を買うのに一つだけ慌てる理由がありました。

前述の通り、ライバルが少なかったので、外部に対して慌てる必要性は無かったのですが、問題は社内でした。

ハウスメーカーであり、収益不動産を始めて2年目の会社です。社長を筆頭に収益不動産に対する認識はほぼ皆無ですし、まだ、大きな利益を上げている部署でもありません。

これまで戸建て分譲用地の取得で数万円/坪~100万円/坪前後の不動産しか取得してこなかった会社ですから、土地だけで数百万/坪などという不動産を扱ってこなかった会社の役員を説得するのは容易ではありませんでした。

そこで、収支計画で

「これだけ儲かる!Big Smile

という資料は、もちろんのこと、諸々の資料や物件の写真を揃えたプレゼン資料を作ります。そして、それを役員が全員集まる取締役会で説明しないと物件が買えないという状況でした。ところが、その取締役会が隔週木曜日と決まっています。その日は、その取締役会のある火曜日でした。いくら、のんびりできると言っても、次の取締役会となると物件の有無は保証できません。

そこで、まず資料を揃えます。もともと、しっかりした仲介業者なのである程度の資料は揃っていたのですが、次に上げるものを明日までに用意してくれと仲介業者に頼みました。

・ 建物図面

・ 完了検査済証の二面~四面(つまり、完了検査済証の全て)

・ 境界確認書

・ 越境物に関する覚書(この物件の隣地から越境している物があった場合、建直す際には越境しないという取り交わし)

そして、売主に対して、次のことを確認してほしいことも確認しました。

・ 土壌汚染があった場合に契約を白紙解除にすること(既存建築物があるので土壌汚染を除去するのは難しいため、契約を白紙解除にします。)

・ アスベスト、PCB(ポリクロロビフェニルという物質で建物の場合、変圧器などに使用されている場合があります。)が使用されている場合は、売主責任で除去もしくは契約の白紙解除にすること。

この仲介業者は、さすがにしっかりしていました。私がこの程度の要求をしてくることは解っていたのか、水曜日の夕方までには全ての資料と条件が揃いました。

事務員の女性とその資料を10部作る作業で21時までかかりましたが、あとは取締役会で上手く説明できれば終わりと考えて、残業して手伝ってくれた事務員に一杯奢って帰宅しました。

取締役会当日です。

取締役会というと、中堅社員にとっては重いものです。

しかし、私は前の部署が商品開発という仕事をしてきていたので、新商品のプレゼンや特許出願、商標登録などで取締役会は、ほぼ日課という感じでしたし、収益不動産に関しては素人集団の役員ですから、こちら側のプレゼン次第だと考えていて気楽なものでした。

経営企画部長(取締役会の議事進行係)に呼ばれ、役員会議室に入り、前日に作った資料を各役員に配布しました。

まずは物件の収益性の説明です。

収益不動産の価値を適正に判断できる役員ではありませんから、会社としてどれだけ利益が上がるかの説明から入ります。戸建てを1戸の利益の数十棟分を一気に稼げる利益に役員は目の色が変ります。内心、

「釣れたな!Baffle

と思いました。

後は、添付資料を朗読するだけでした。

そして、『完了検査済証』に書かれている内容を読みました。

「・・・・設計:A一級建築士事務所、施工:B建設、建築面積〇〇㎡、1階床面積・・・・3階〇〇㎡!」

そこで、私は言葉が詰まりました。

完了検査済証に4階の床面積どころか、4階が存在しないのです。

建物は4階建てです。建物図面も4階まであり、4階も登記されています。しかも、謄本でも4階建てになっているのに、『完了検査済証』では4階に関する記載がありません。

すぐに脳裏に・・・

「しまった・・・違法増築だ!・・・Confused

と思いました。いくら手馴れた取締役会とは言え、さすがに焦りました。

もう、役員は皮算用で頭がいっぱいです。ここで引き下がることも出来ず、そのまま読み切りました。写真の説明もしましたが、『完了検査済証』と写真の整合性が取れていないことに誰も気がつきません。4階のテナント属性を説明しても誰も気がつきません。

取締役会はそのまま終わり、本物件を買うことにつて全会一致で承認を得ることができてしまいました。取締役会で承認された物件ですから、契約しない訳にもいかない状況に追い込まれました。まさか、こんなケアレスミスを自白する勇気もありませんでした。

またまた、ちょっと長いので

次回も『私が収益物件に関わった経緯』の続きを書きます。

・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。

・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)

・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。

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