相続案件 物納

連載シリーズ 【 相続案件 物納 】 第 4 話 / (全 4 話)

 前回、本物件を売却した場合、売主の手元に相続税を支払った後にいくら残るかを計算しました。

 しかし、実際には、この人は、この土地を全部売却しない方が得と考えられます。

 それは、物納という手段があるからです。

 納税額は5億600万円です。
 路線価が68万円/坪ですから

 5億4600万円÷68万円/坪=803坪

 を物納すれば、相続税の支払いは完了します。

 国税は、金銭で納付することが原則ですが、相続税については、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産による物納が認められています。

 したがって、金銭で支払い能力がある場合、一定の金銭を持っている場合は金銭での支払が優先されるので、どのようなケースでも物納が出来るという訳ではありません。

 そして、残りの1197坪を改めて売却してしまえば良いわけです。

 もし、1197坪を52.1万円/坪で買ってくれればの前提条件は付きますが、52.1万円/坪で売れるならば

 1197坪/坪×52.1万円×0.97-6万円=6億486万円

 となります。(下線は仲介手数料)

 つまり、相続人は単純に売却してしまうよりも

 6億486万円-4億6468万円=1億4018万円

 も得になるわけです。

 当然ですが、路線価よりも少し安いぐらいの価格で売れる場合は、物納後に売却という面倒さもあります。

 また、価格が下落傾向の強いときには当初の52.1万円/坪が維持できなくなることも考えられますが、東京の住宅地の価格が下げ止まり傾向にあります。

 さらに、土地を細かくすることで、用途が限られ、52.1万円/坪が成り立たなくなる場合もありますが、戸建て分譲であれば1197坪もあれば十分な大きさと考えられ、むしろ、こういう時期なので戸数があまり多いと、在庫リスクも大きくなります。

 もちろん、相続人が大きな借金を抱えていたりして、早く現金が欲しいということも考えられます。

 しかし、そうであるならば、1ヶ月も前から販売価格を変えずに物件情報が出回っているのもおかしな話で、価格を売れ筋の価格帯+αぐらいにするのが普通です。おそらく、相続税の納付期限(※3)近くまで粘って、売れなければ物納+残地売却という方法を取ろうと考えていると考えられます。

 ※3 相続税の納付期限:現金一括払いの場合は、相続開始から10ヶ月。相続開始とは被相続人の死亡を知った日から。

 という、理由で大きな指値に売主が応じることは無いということです。

 ダラダラと書きましたが、実際には殆ど計算機も使わずにこれくらいのことを判断できないと、不動産の実戦では困ります。

 さらに、ここで謄本を取っておくことで、相続の開始決定時、できれば相続人の数などを把握しておけば、残地売却のタイミングで仕事が回ってくる可能性があると言うことです。

 宅建の試験等でめんどくさい税金の問題ですが、こういう事にちゃんと役に立つわけです。

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