一級建築士の話【後編】

カテゴリ:ブログ 住宅
連載シリーズ 【 一級建築士の話【後編】 】 第 2 話 / (全 2 話)
一級建築士の話

当社に設計の依頼がありました。

場所は名古屋です。物件は以前の記事に書いた店舗併用住宅です。

おそらく、工事費が高くても5000万円程度でしょうから、設計費を600万円以上請求すると話がこんがらがることになると思います。(せっかく、紹介してもらった人の顔を潰すことになる。)ところが設計監理までやると、最低でも名古屋を20往復ぐらいしないといけません。交通費だけでも50万円かかります。と・・・赤字必至です。そこで、知っている名古屋の設計事務所に回して、紹介料を貰おうかなぁ・・・と考えました。

しかし、名古屋でこの規模の設計を依頼されてくれる人を知らないので、東京に本社のある組織設計事務所の名古屋支店に値段を聞いてみました。工事費が6000万円程度なら20%の1200万円と言われました。

① やりたくないのか?

② 忙しいのか?

③ 世間を知らないのか?

④ 単なるボッタクリなのか?

のどれだろうと考えてしまいました。

さて、前回は偽装ネタだったので今回はちょっとマジメに・・・

一級建築士の年収ってみなさんはご存知でしょうか?

年収の前に一級建築士ってどうやったらなれるのかをちょっと説明します。

まず、受験資格ですが・・・

① 大学において建築の専門分野の学科を卒業し、実務(建築業務)を2年

② 短大もしくは専門学校で建築の専門分野を卒業し、実務(建築業務)を4年(3年の場合もあり)

③ 2級建築士を取得後、実務4年(建築業務)

  ※建築の専門分野を卒業しないで2級建築士を受験する場合は2級建築士の受験資格が実務7年

④ 大学院において建築の専門分野の学科を卒業

この様に建築の専門分野の学校を卒業してないと実務経験だけで最低でも11年以上が必要となります。

そして、試験ですが・・・

今年から試験内容が変わりますので、去年までの話を書くと

1次試験・・・学科4科目(計画・法規・構造・施工) 1年に1回

2次試験・・・製図実技 1次試験合格者のみ1年に1回(1次試験合格者は2次試験に落ちても翌年に限り、2次試験から受験可能)

その、合格率は・・・

去年の実例でみると

1次試験 15.1%

2次試験 41.7%

総合すると合格率8.1%です。

12~13人に1人が受かるという試験ですが、受験資格を見ればわかる通り、建築を学んできた人たちだけで受ける試験ですから、結構、大変です。10年以上連続して受験しているという人もゴロゴロいます。もっとも、合格者の大半は初受験から3~4回目ぐらいまでで取得している人が多いようです。

これだけ、取得するのが難しい資格だから、さぞかし、年収も良いだろうと思っている人も多いと思います。

ところが・・・

一級建築士の平均年齢46歳、平均年収は約640万円です。また、デスクワークの様に感じるかもしれませんが、図面を実際にCADで書いたり、現場監理という仕事は歳を取るとキツい仕事です。

これを多いと考えるか、少ないと考えるかはいろいろな意見はあると思いますが、一級建築士と宅地建物取引主任の両方を持っている私からみると、どっちがお金になるかと聞かれれば間違いなく、宅地建物取引主任と応えます。(稼ぐお金は資格では決まりませんが・・・)

さらに、今年から一級建築士の制度が変わって、取得してもすぐには設計事務所として独立開業ができなかったり、構造建築士や設備建築士などの制度が加わったりと一級建築士の環境はより厳しいものとなっています。また、新築需要が低迷しているなどから、経済的にも厳しくなっています。

それでも若い頃にはかなり憧れた資格でしたし、合格したときにはどの試験に合格したことよりも嬉しかったことを覚えています。

取得後10年以上経っていますが、未だに苦労の元が取れてないような気がします。

一級建築士は貧乏だから、せめて・・・

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