首都圏マンションの市況

今日はかつて、ハウスメーカーでマーケティングや経営戦略、商品戦略をしていた経験を活かして、データ解析から自分なりの市場分析をしてみます。

不動産の景気動向の指標には投資用不動産と実需用不動産に区別されます。今回は実需用不動産を考えてみました。

マンションの市況で前年同月比での比較をします。

9月は久々に前年同月比を上回り、『底打ちか!』と言われましたが、10月は一転して前年同月比を大きく割り込む結果となりました。

しかし、これは去年の9月の業績があまりに悪かったために、

『去年よりも今年の9月は良かった』

という話であって、市況が本当に回復したかの目安にはあまりなりません。

我々が良く見ているのは、在庫状況と契約率です。特に契約率に関しては70%が販売の好不調を表す指標となります。

ちなみに2008年と2009年のデータを比較してみると

2008年

月 販売戸数 契約率 販売単価

1月 2320戸 52.7% 4210

2月 3460戸 60.1% 4768

3月 4446戸 65.2% 5008

4月 2865戸 63.1% 5338

5月 4389戸 71.0% 4825

6月 4002戸 64.7% 4638

7月 3554戸 53.5% 5309

8月 2041戸 70.9% 4799

9月 2427戸 60.1% 4467

10月4240戸 63.0% 4848

11月3293戸 63.2% 5018

12月6696戸 61.9% 4218

2009年

月 販売戸数(前年同月比) 契約率 販売平均単価

1月 1760棟(-560) 64.2% 4172

2月 2509棟(-951) 61.7% 4823

3月 2390棟(-2056) 78.3% 4747

4月 2621棟(-244) 64.7% 3953

5月 3528棟(-861) 70.6% 4550

6月 3080棟(-922) 70.2% 4543

7月 3230棟(-324) 75.3% 4627

8月 1914棟(-127) 69.3% 4314

9月 3063棟(+636) 73.9% 4527

10月3386棟(-854) 69.0% 4619

こうやって見てみると、去年の9月の発売戸数が如何に少なかったかということがわかります。

また、去年の10月は去年の9月と比べると1813戸も増えていますが、今年は323戸しか増えていません。今月の前年同月比は単純に去年の10月の販売戸数が多かったというだけの話です。

しかし、今年に入って9月以外は前年同月比で販売戸数が上回った月はありません。

このデータは色々なところで毎月出ているので、多くの方が目にする機会が多いと思います。

ではここまでの統計を取ってみると・・・

去年の10月までの販売戸数 33,744戸

今年の10月までの販売戸数 27,481戸(前年比81.4%)

去年10月までの販売平均単価 4765万円

今年10月までの販売平均単価 4508万円(前年比94.6%)

去年10月までの平均契約率 62.8%

今年10月までの平均契約率 70.0%

販売戸数(供給戸数)を18.6%減らして、販売単価を5.4%減らして、なんとか需給バランスを取っているといった状態です。これは『過去にこうしていれば』という話になりますが、去年に同じ様な状況であれば今年と同じ様な状態であったと考えられます。

ということは、昨年から、なんら状況は変わっていないというのが現在の状況です。

ただ、逆に言えば大分、前から市況は底を打っているという事です。

前年同月比の比較で言えば、毎月マイナスですが、契約率や販売価格などから総合的に判断すれば、その様な状況になっていると言えます。

そして、販売戸数や契約率、販売価格は違うものの分譲戸建にも同じ様な傾向が出ています。

ここで気をつけなければならないのは、今の契約率などから市況が回復に向かっていると判断することです。

実際には需給バランスが取れているのに底打ちと判断して攻勢にでれば、やはり供給過多になります。バブル後の平成7~9年ぐらいにも同じ様な現象が見られていたはずです。(データの比較をしていないから感覚的な話ですが・・・)

そこで、更なる地価下落や販売単価の下落が発生します。しかし、来年度は契約率向上や自社データから、供給戸数が増すと考えます。(12月に賞与減などで契約率が大幅に減れば別ですが・・・)

つまり、どちらかというと・・・

「(そろそろ、攻勢かけないと株主もうるさいし・・・)底値も打ったことだから、攻勢に転じよう!」

と、テクニカル的な動きを始めます。

そこで供給過多になることで住宅市場は二番底を打つと考えられます。実際には金融機関の動きも影響があると思います。

問題は二番底を打つ時期にあると考えています。

実際には来年売上げ分の用地を『攻勢に転じる』程、取得しているデベロッパーは少ないと思います。それは、土地の担保に対して、金融機関が懐疑的であったことも大きく関与しています。来年のマンションの販売戸数は大きくは増えないと考えるのが自然ですが、工期の短い低層マンション用地は各デベロッパーが必死に集め始めています。所得等が大きく変わるとは考えにくいですが、民主党の『団体から個人』への政策も講じて、住宅市場も若干ですが今年よりも明るい兆しが出ると考えます。

そこでの攻勢の開始が(実際には用地取得という考え方からは既に始まっていますが)供給過多になると考えています。

その影響は来年の下期に出てくるはずです。そこが二番底・・・。つまり来年のこの時期が二番底になると考えられます。

また、現在は苦しい中規模のデベが排除され、大手(財閥系や電鉄系)が強いですが、高価格ハイブランドの需要の先食いから、その辺りの価格帯に限界がくるのは時間の問題です。

この状況から考えると、中長期的には大手ブランドよりも適正な仕様と価格を追求した中規模のデベロッパーが勝ち組に回ると考えています。

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