【賃貸住宅】契約書と重要事項説明書【前編】
賃貸住宅の契約というのは不動産の仕事の中でもっとも多くの人が携わっていると思います。
東京23区の駅の周りを見渡すと、テレビのCMで見たことのある有名な仲介会社や聞いたこともないけど、昔からこの場所にあるんだろうなぁ・・・と思うような仲介会社が乱立しています。
我々から見ると仲介手数料は安いのですが、なにせ量があるので商売としては成立します。
そんな仲介会社を介して、実際に私も賃貸住宅を借りたことがありますが・・・。
その契約のときのやりとりです。
仲介会社:「ネットで探せる○○○ル」のテレビCMで有名な緑の看板の会社。
担当者:N店長(30代後半)
その店長は私とは随分前からの知り合いで、この会社に入る前はハウスメーカーの営業だったと聞いています。
重説と契約書は前日にメールで送ってもらっているので、目を通してありました。
「おいおい、重説やるなら主任者証を出してやらなきゃいかんだろ。っていうか、私に言われてから、出す時点でアウトだぞ。」
「あっ・・・スイマセン・・・Wさ~ん、ちょっと来て・・・」
『Wさんに主任者証持ってこさせるんだ。っつうか、常に携帯しとけよ!』
と言いたいのを抑えて、黙っていると、Wさんが別の部屋からやってきました。
ぱっと見た感じは20代前半ですがちょっと冴えない風貌の女の子です。
「お待たせしました。では、さっそく重要事項説明をさせていただきます。」
「ん?ちょっと待った。Nさん、なんで、自分で重説やらないの?」
「スイマセン・・・私、宅建持ってないんですよ。」
『お前、何年この仕事やってるんだよ!』
と言いたかったのですが、必死に抑えて、Wさんの重説が始まります。
普通に棒読みです。
『意味解ってるのかなぁ・・・』
と、思って、ぼ~っと聞いていると・・・Wさんが・・・
「タイシュのひょうじ、かっこ、ほんしょにてタイシュをいか、こうといい、シャクシュをいか、おつという」
「ん?なんて言った?」
と驚いている私の前で・・・
「おい、W、これは『タイシュ』じゃなくて『かしぬし』、こっちは『シャクシュ』じゃなくて『かりぬし』って読むんだよ。」
「す・・・すいません・・・店長」
「相澤さん、スイマセン。この子、去年、宅建受かったばかりで2ヶ月前からアルバイトで来てもらってるんですよ。」
「じゃあ、他の主任者にやらせれば?」
「あっ、うちの店、この子しか主任者いないんですよ」
「いつから?」
「2ヶ月前から・・・」
「おい、じゃあ、2ヶ月前からWさんが重説やってるなら、これくらい読めるだろ!」
「あ、私、重要事項説明書、読むの今日が始めてなんですよ~。やっと、デビューしたって感じです。」
「おいおい、Nさん。この店では2ヶ月間の間で客は俺だけか?」
「・・・・」
立派な業法違反です。(っていうか、隣で別の人が契約してました。)
次回は実際の契約書と重要事項説明書を出して、こんな契約はNGというものを紹介します。
重説は笑顔で読むから・・・
空室率
時々、都内のビルを外から眺めていると空室が多いなぁ~と思います。4月に大阪に行った時に大阪も酷いなぁとは思いました。
では、実際、どれくらいの空室があるかというと・・・。
2009年5月の都心5区の空室率は6.96%です。
かなり、酷い状況です。
これを既存と新築に分けてみると
既存6.47% 新築30.83%
という状況です。
ちなみに私が景気のピークと思っている、金融商品取引法改正(2007年10月1日施行)の翌月の都心5区のオフィス空室率は2.49%で2003年以降、最低の数字でした。
既存2.46% 新築3.58% という状況です。
私がこの頃、オフィスの開発をするときの収支は想定空室率は5%で考えていましたが今では30%で収支を組むと思うとゾッとします。
たしかにオフィスというのは景気に大きく左右されるものです。特に新築に至っては経済的に余裕のある企業が無い限りは入りません。経営状態の悪い会社がコスト削減を狙って、事務所を移転する場合でも、わざわざ新築に移転するということはありえません。
また賃料の相場ですが・・・これはしっかりとした統計はありませんが私のイメージとしては
西新宿の新築オフィスビルで床面積が100坪以上あるという条件だと
2007年10月の段階で30000~40000円/坪でこの半年後ぐらいまで伸びて35000円~45000円/坪ぐらいまでは行っていました。ところが最近だと25000円/坪で決まったら『余程、営業力のある賃貸の仲介が入った』か『外資系(アジア系)の企業をだまして?入れたか』などと考えてしまうぐらいです。
家賃の下落率は新規の成約事例を見ると現実には40%ぐらい下落していると思われます。実際に、統計で出ているのは既存のテナントが高い家賃を払っているのでそこまでは下がっていないということなのでしょう。
この状況で新築のオフィスを開発するのってバカじゃなかろうか?と思います。完全に供給過多にも関わらず、未だに作り続けている理由はいくつかあります。
・デベロッパーが売上げを上げるために作らざるえない。
・用地を仕込んでいたのでほっぽておくわけにはいかない。
・デベロッパーが破綻してゼネコンが引き継いで作っている。
などなど・・・引くに引けないみたいな理由が多いと思います。
さて、下の写真ですが西新宿(青梅街道沿い)にある、今年の4月にオープンした西新宿住友ビルです。
住友不動産が開発し、大手ゼネコンのT建設が施工した地上33階というビルです。
ちなみに2~14階までが住宅、15~33階までがオフィスです。
作ってるときは立派だなぁと眺めていました。
写真は6月25日19時ごろの写真ですが見てのとおりの空室状況です。オープンしてほぼ3ヶ月でこの惨状です。
じつは上の方の電気は先週になってやっと点いたのでそれまでは16階部分だけがポツンと光っていて、ビルがベルトを巻いている様に見えたのでうちでは
『ベルトビル』
と呼んでいました。この写真の状況になって
『ベルトビルがハチマキを巻いた』
と言って揶揄しています。
実際にここから、200mぐらいで同じ駅から青梅街道を反対側のうちの事務所(駅からうちの事務所の方が近い)はちなみに管理費込みで9900円/坪(築20年12階建ての6階)ですが立地条件が変わらないで家賃がいくらなのか・・・
ちょっと、気になります。
空室だらけだけど・・・
相続登記手続きと収入印紙
お恥ずかしい話ですが私は今日、生まれて初めて不動産の登記手続きをやりました。今まで、登記の手続きは司法書士に任せっきりで自分ではやったことがありませんでした。
今回、自分の血縁に相続が発生し(私に相続権はありません)、代理で相続登記をすることになりました。何分初めてなもので、法務局に行っていろいろと聞くことになりました。
とりあえず、遺産分割協議書の雛形を作って、登記申請書の雛形を作成しました。
インターネットで調べると雛形はいくらでもあるので作成そのものはどうってことはなかったのですが・・・
今回の不動産の固定資産評価額はおおよそ2000万円です。登録免許税8万円を登記申請書に書き込んで、書類は一通り揃ったのでそれを持って、登記をする不動産の管轄である東京法務局○○出張所に相談に行きました。そこでのやりとりです。法務局の職員には私の職業などは明かしています。
※不動産登記の場合の登録免許税は固定資産評価額の0.4%です。
「こんなもんで、登記できますかね?」
「ああ、大体こんなんでいいかな・・・。被相続人の謄本類は全部揃ってるのかね?」
「はい、後は除籍謄本を取り寄せたら全部揃います。」
「じゃあ、それを揃えたら、登記申請書に登録免許税分の収入印紙貼って提出すればOKだよ」
「なんだ・・・簡単っすね。」
「まぁ、おたくは職業が職業だから、話が通りやすいよな。」
そこで、私はある疑問を感じました。そこでなかなか法務局で質問する機会もないので質問してみました。
「今回は固定資産評価額は2000万だから登録免許税は8万円ですけど、もし100億円の固定資産評価額があったら、登録免許税は4000万円ですよね?登記申請書に10万円(収入印紙の最高額)を400枚貼るんですか?A4の登記申請書に400枚の収入印紙は貼れないですよね?」
「○○市に100億円の不動産はないから心配いらないよ」
『そういう問題を聞いているわけじゃないって・・・』
と、言いたいのを抑えて・・・・
「でも、銀座ならありますよね?」
「あはは・・・。その場合じゃ、A4じゃ無理だな。だから、そういう時は模造紙みたいな大きな紙で登記申請書を作って、その裏に貼るんだよ」
「マジっすか!?」
もう、私の頭の中は10万円の収入印紙を大きな紙に400枚貼ることでいっぱいです。
「そんな訳ないだろその場合は税務署に行って4000万円を支払って、その証紙を貰ってきて貼るんだよ。でも、400枚の収入印紙を貼ってもいいよ。」
「・・・」
最近の法務局の職員は侮れないと思いました。
不動産の売却なら、リデベにご相談下さい。
リデベの不動産価格査定はこちらをどうぞ
※リデベの不動産査定は、当社から査定をされた方の個人情報を出さずに査定します。
その為、他の仲介業者、デベロッパー、買取業者からの営業など査定をされた方にご迷惑を掛けることはございません。
オフの日課は水槽洗い
さて、今日も暑かったですね~。
今日はオフだったのですが私のオフは・・・
いつも、この水槽を洗うことです。
10本の水槽があります。これでも今は少ない方です。
数え切れない、グッピーと必死にチャレンジしているビーシュリンプです。
【用地購入】~額縁?~【中編】
N氏からの物件資料を見ると、
『なんか・・・どっかで見たことのある様な気が・・・』
その頃は、物件資料が10~30件も手元に届く毎日です。だから、似たような条件の物件もいくらでもあります。だから、思い過ごしかな・・・・。と思ってそのまま、検討にはいりました。
収支もばっちり、合いました。
さっそく現場を見に行くと、地下鉄銀座線の某駅から歩いて5分。大通りから50mぐらい入っているところで静かです。
ワンルームマンションを計画するには絶好の立地でした。
その場から、すぐにN氏に電話して・・・
「買うぞ~!物件を押さえてくれ!」
「了解っす!」
さて、事務所に戻って、思い出したことがありました。
『あっ、謄本取り寄せてみなきゃ・・・』
N氏からの資料にも謄本は付いていたのですが最新のものをチェックすることにしています。
※法務局の印がないもので内容の確認はネットでできます。法人会員登録をしなければならず、有料です。
事務の女性社員に住所を伝えて謄本を取ってもらおうとしたら・・・
「この物件、Gさんが一度、検討されてますよ?」
「へ?まぁ、とりあえず謄本は取って・・・」
すぐにGさん(先輩社員)に確認・・・
「××町の物件って検討しました?」
「あああ、したよ~。半年以上前にね!今の所有者が買うときに検討したけど稟議が通らなかったんだよ」
(Gさんの机の上にあった資料を私は微かに覚えていました。それでどこかで見た記憶があったわけです。)
「なんでっすか?」
「その物件に古屋があって、アスベストがあったんだよ。解体費とかの問題があってねぇ・・・」
「今日見たら、更地でしたよ」
「じゃあ、今の所有者が解体したんだな。更地ならいい物件だよなぁ」
Gさんのお墨付をもらって、GOサインです。
謄本を見れば乙区になにも無い綺麗な土地です。
※乙区:乙区とは謄本上、甲区に書かれている所有者の債務状況が書かれている欄のことです。例えば、「この土地を抵当で○○銀行が10億円を貸している」という様な旨が書かれています。その場合、その所有者が8億円でその土地を売ると言った場合、2億円は別途、○○銀行に返さなければなりません。そのお金が無ければ銀行は抵当権を外さないということはよく有ります。その場合は売主の一存ではその物件を売れないということになります。
もう、ケチの付けようはありませんでした。
私はすぐに稟議書を作成して、役員会停止条件はついていますがすぐに購入申込書を作成しました。
※役員会停止条件:停止条件とは「この条件が成就できたら、物件を買います。」ということです。つまり、「自分の会社の役員会でこの物件を購入すること認められることを条件に買います。」ということです。曖昧な感じですがこの停止条件をい行使して買わないことを連発すれば信用を無くします。逆に役員会停止条件でもいつもちゃんと買えば、この人は会社での影響力がちゃんとある人と信用度は上がります。
所属部署の執行役員が稟議書を持って社長の了解を取りに行っている時でした。
Gさんが、その稟議書のコピーを見て・・・
「相澤~。なんか、俺が検討した時と微妙に地積がちがうな・・・」
※地積:土地の面積
「Gさん、記憶力いいっすねっつか、そういう問題じゃないか・・・Gさんの検討したときの資料あります?」
「おう、あるよ」
すぐに貸してくれました。
たしかに・・・3㎡弱ですが私の稟議書の方が面積が少ないのです。
Gさんの稟議書を見ると3筆、私の資料は1筆しかありません。
Gさんの資料によると、Gさんが検討してた土地はこうです。
私の検討している土地は水色の部分だけです。物件資料を再度確認しても赤と緑の部分はありません。すぐに赤と緑の土地の謄本を取り寄せました。赤と緑の所有者も水色の土地の所有者と同じです。赤と緑の土地は幅が15センチほどしかありません。
『ちっ、共担でもあれば気がついたものを・・・。乙区がまっさらだったからなぁ・・・』
※共担:共同担保の略。上の図を使って説明すると、水色、赤、緑の土地を合わせてお金を借りようとした場合、それぞれの土地で借りるのではなく、当たり前ですが一団の土地としてお金を借ります。その場合、それぞれの土地から別の2つの土地が共同担保ということになります。もし、この物件を担保にお金を借りていて、抵当権の設定がされていると水色の土地の謄本には乙区にその旨が書かれて、乙区の下に共同担保目録として赤と緑の土地の地番が記載されています。
しかし、そんなことよりも私の脳裏をよぎったのは
『額縁』
ということでした。もし、額縁であれば水色の土地の境界は確定しています。しかし、赤と緑の土地に対して境界が確定できなかったということは、赤と緑の土地の向こう側隣地の人が境界を認めてくれなかったという可能性があります。(というより、その可能性が高いです。)ということは隣地所有者となんらかで揉めた可能性が高いということです。とすると、水色の土地にマンションの建設をしようとしている私は隣地所有者と揉めることになるのは必至です。
私はすぐにN氏に電話しました。
「本物件の西側に細い筆が2つあるんだけど、その筆の所有者は本物件の所有者と同じだぞ。なんで、売買対象地じゃないんだ?」
「へ?すぐに物件担当に確認して折り返します」
「ん?売主じゃなくて?」
「あっ、その物件はうちの会社の別の者が担当なんっすよ」
大きい仲介会社の場合、物元と客付けの担当が違うことはよくあります。
※物元:売主側の担当している仲介
※客付け:買主側を担当している仲介
「とにかく大至急確認してくれ執行役員Fが社長に稟議を持って行ってるんだぞ」
「了解っす」
N氏からの電話が掛かってくるまでの3分間ほどがすごく長く感じました。
今回も長いので次回に分けます。
次回が本話の最終回だから・・・
【用地購入】~額縁?~【後編】
N氏から、電話が掛かってきました。
もう、鳴る電話すべてがN氏ではないかと思い、掛かってくる電話を全て私が取るような3分間でした。
「あ、相澤さんですか?」
「額縁なのか?」
「ガ・ク・ブ・チ?・・・その意味が解りませんが・・・その細い2筆も売買対象地ですね。」
額縁の意味を説明するには時間が無かったので無視して・・・
「へ?だって、物件資料には水色の土地の部分以外は物件資料にはどこにも出てないよ?」
「ええ、私も気が付きませんでした。共担にも入ってないですから・・・」
「売主はこの細い筆は別売にするつもりなのか?」
「いえ、一緒に売ろうとしています・・・。」
N氏はなかなか、要点を言おうとしません。
「じゃあ、その2筆を入れたら、値段は上がるだろ。」
「いえ、最初の価格で問題ありません。というよりも土地の面積が増えたってことで勘弁してもらえませんか?」
N氏かなり、テンションが低いです。
「土地の面積が増えたって・・・。もう、稟議も回してるのにそんな説明で納得すると思うか?うちの上の連中は絶対に額縁だって思うぞ!」
「ガ・ク・ブ・チ?の意味がわかりませんが・・・。え~っとですね。怒らないで聞いてくださいね。」
「すでに怒ってるよ。」
「うちのこの物件の担当はUって言うんですよ。プロパーで入社4ヶ月目なんですが・・・。」
「U氏の紹介はいいよ。」
「そのUに聞いたら・・・。売主からは3筆とも預かってきたらしいんですが、面積も少ないし、全ての筆を物件概要に記載して、謄本を取るのが面倒だったから、一番大きい筆を記載したって言うんですよ。」
「×○※△★×※」
その理由を聞いて私は言葉にならないことを発しました。
そうこうしているうちに、執行役員Fが戻ってきました。
「お~い、社長も買っていいって言ってたぞ」
さすがに説明しないわけにもいかないので・・・
「あの~。土地の面積が増えちゃいまして・・・」
「はぁ?値段があがるのか?」
「いえ、値段はそのままで土地の面積が増えました。」
「ん?公簿と実測の差かなにかか?」
「いえ、単純に隣接する筆を売主が同じ値段で付けてくれました・・・。」
(こんな言い訳が通じるわけないよなぁ・・・)と思っていると
「よかったなぁ!今どき気前のいい売主もいるもんだなぁ!」
(こいつ、絶対にバカだな・・・)
と思いましたが社内はなんとか大騒ぎにならず、通り過ぎました。
この後、N氏に額縁について超長々と説教して、U氏の教育をちゃんとするように言いました。その際にN氏は
「だから、Uが担当の物件を相澤さんに紹介しなかったんですよ・・・」
最初に物件には『たぶん問題ない・・・』とN氏が言ったのは物件には問題ないが担当に問題があるということを言いたかった・・・ということでした。
おしまい。
面倒くさがりな仲介もいるけど・・・
【用地購入】~額縁?~【前編】
みなさんは『額縁』という言葉をご存知ですか?
① 絵・写真・書画・賞状などを入れて壁などに掛けるための枠
と思った、そこの貴方は普通の人です。
② 窓や扉などの周囲につける飾りの木枠
と思った、そこの貴方は建築関係の方ですね。
③ 掛け布団の表地
と思った、そこの貴方はかなり博学です。
④ そりゃ、筆を薄く切ることだろ!
と思った、そこの貴方はかなり際どいことをやっている不動産屋と思ってください。
①~③については辞書で調べれば詳しいことが書いてあるでしょうから省略します。ただ、④については辞書には書いてないので少し説明します。
まず、下の絵を見てください。
この絵の土地をAさんが所有していたとします。Aさんは売却をしようとしていたところに、この土地を欲しいというBさんが現れました。Bさんは隣地境界が全て確定していること(隣地との境界線について隣地所有者と合意していること)を条件にこの土地を購入したい旨をAさんに申し入れました。
ところが絵の土地の赤線部分の境界が確定できません。(赤線に接する隣地の方が境界について合意してくれないということです。)
そこでAさんは下の絵の様に土地を分割しました。
解りにくいかもしれませんが、境界の確定しない部分を薄く分割し、土地を2筆に分けてしまったんです。そして、オレンジ色の部分をBさんに売ることにしました。Bさんは購入対象面積が若干小さくなりますが水色の土地は所有権がAさんにあるので境界は確定できます。Aさんは水色の土地が残ってしまいますが、とりあえず、土地の大半は売れたことになります。あとは、残った水色の土地をそのまま残しておけば良い訳です。
この手法を使うと、土地の四方の境界が確定していなくても真ん中の大半の部分は境界が確定していることになり、四方に薄い枠状の土地が残ることから、不動産業界では『額縁』と呼んでいます。
と、前置きがすごく長くなりましたが今回はその額縁に纏わる話です。
私は大手仲介会社(N氏の勤める会社・・・N氏について詳しくはこちら
)の会員サイトを見ていました。このサイトはこの仲介会社と取引をしたことがあって、招待されて会員登録をしないと見ることができません。そして、この仲介会社に登録されている物件情報を見ることができません。(レインズに出てない情報もあります。)
私は都内のある場所の更地の物件情報に目が止まりました。
『ん?これ・・・、ワンルームマンションでもやったら儲かるんじゃないかなぁ?』
と思いました。さっそく、N氏に電話しました。
「あのさぁ、今、御社の会員サイトを見てるんだけど、物件ナンバー○○○○○って良くないか?」
「ちょっと、待ってください。確認します。」
「これ、ワンルームやったらいけるんじゃないかなぁ?」
この頃のN氏はもう再開発物件の仲介としてはかなりの域になっています。再開発の為の費用などは頭の中でぱっと計算出来る様になっています。
「ああ、そうですねぇ・・・」
「そうですねぇ・・・って、なんで今まで紹介してくれなかったんだよ!ん?なんか、問題でもあるのか?」
「いや、物件そのものにはたぶん問題はないっすよ」
このN氏の発言をもう少し考えれば、問題は大きくなりませんでした。
「じゃあ、すぐに物件資料をメールしてくれ!!!!」
「は~い」
いつもの通り、メールはすぐに来ました。
この後、大問題になるのですが、今回(いつもと言わないで・・・)は前置きが長かったので後編と分けます。
ブログまで分筆しちゃったけど・・・
分筆・・・登記上、一つの土地を二つ以上に分けること。
ネットが故障
朝会社に行くと・・・
社員が右往左往・・・
「おはよう。どうした?」
「ネットが繋がらないんです・・・。」
「なんで?」
「わかりません。SEが出社してくるまで仕事になりませんでした。」
「・・・」
「と、いうわけでさっさと直してください。」
『俺がSEかい!』
結果的には事務所の共有部分での故障ということで手が出せず。
今日は1日、メールもできず、ぼんやりでした。
真夏日だったけど・・・
一級建築士の話【後編】
当社に設計の依頼がありました。
場所は名古屋です。物件は以前の記事に書いた店舗併用住宅です。
おそらく、工事費が高くても5000万円程度でしょうから、設計費を600万円以上請求すると話がこんがらがることになると思います。(せっかく、紹介してもらった人の顔を潰すことになる。)ところが設計監理までやると、最低でも名古屋を20往復ぐらいしないといけません。交通費だけでも50万円かかります。と・・・赤字必至です。そこで、知っている名古屋の設計事務所に回して、紹介料を貰おうかなぁ・・・と考えました。
しかし、名古屋でこの規模の設計を依頼されてくれる人を知らないので、東京に本社のある組織設計事務所の名古屋支店に値段を聞いてみました。工事費が6000万円程度なら20%の1200万円と言われました。
① やりたくないのか?
② 忙しいのか?
③ 世間を知らないのか?
④ 単なるボッタクリなのか?
のどれだろうと考えてしまいました。
さて、前回は偽装ネタだったので今回はちょっとマジメに・・・
一級建築士の年収ってみなさんはご存知でしょうか?
年収の前に一級建築士ってどうやったらなれるのかをちょっと説明します。
まず、受験資格ですが・・・
① 大学において建築の専門分野の学科を卒業し、実務(建築業務)を2年
② 短大もしくは専門学校で建築の専門分野を卒業し、実務(建築業務)を4年(3年の場合もあり)
③ 2級建築士を取得後、実務4年(建築業務)
※建築の専門分野を卒業しないで2級建築士を受験する場合は2級建築士の受験資格が実務7年
④ 大学院において建築の専門分野の学科を卒業
この様に建築の専門分野の学校を卒業してないと実務経験だけで最低でも11年以上が必要となります。
そして、試験ですが・・・
今年から試験内容が変わりますので、去年までの話を書くと
1次試験・・・学科4科目(計画・法規・構造・施工) 1年に1回
2次試験・・・製図実技 1次試験合格者のみ1年に1回(1次試験合格者は2次試験に落ちても翌年に限り、2次試験から受験可能)
その、合格率は・・・
去年の実例でみると
1次試験 15.1%
2次試験 41.7%
総合すると合格率8.1%です。
12~13人に1人が受かるという試験ですが、受験資格を見ればわかる通り、建築を学んできた人たちだけで受ける試験ですから、結構、大変です。10年以上連続して受験しているという人もゴロゴロいます。もっとも、合格者の大半は初受験から3~4回目ぐらいまでで取得している人が多いようです。
これだけ、取得するのが難しい資格だから、さぞかし、年収も良いだろうと思っている人も多いと思います。
ところが・・・
一級建築士の平均年齢46歳、平均年収は約640万円です。また、デスクワークの様に感じるかもしれませんが、図面を実際にCADで書いたり、現場監理という仕事は歳を取るとキツい仕事です。
これを多いと考えるか、少ないと考えるかはいろいろな意見はあると思いますが、一級建築士と宅地建物取引主任の両方を持っている私からみると、どっちがお金になるかと聞かれれば間違いなく、宅地建物取引主任と応えます。(稼ぐお金は資格では決まりませんが・・・)
さらに、今年から一級建築士の制度が変わって、取得してもすぐには設計事務所として独立開業ができなかったり、構造建築士や設備建築士などの制度が加わったりと一級建築士の環境はより厳しいものとなっています。また、新築需要が低迷しているなどから、経済的にも厳しくなっています。
それでも若い頃にはかなり憧れた資格でしたし、合格したときにはどの試験に合格したことよりも嬉しかったことを覚えています。
取得後10年以上経っていますが、未だに苦労の元が取れてないような気がします。
一級建築士は貧乏だから、せめて・・・
一級建築士の話【前編】
一級建築士と聞いて、みなさんのイメージはどんな感じでしょうか?
「先生」と言うと普通は教師や師範などのものを教えてくれる人のことを言うと思うのですが、そうでなくても「先生」と呼ばれる職業があります。例えば、『医師』なんかは普通に「先生」と言っているので私はあまり違和感はありません。
しかし、国会討論などを見ていて、代議士同士が
「○○先生は・・・」
などと、言っているとバカみたいです。
一級建築士も何故か「先生」と呼ばれる仕事の一つです。
私も一級建築士になってから、「先生」と呼ばれることが時々あるのですが、最初の頃はかなり違和感を感じました。
もう、10年以上前の話ですが『協奏曲』というドラマがありました。
詳しくはこちらを見てください。・・・『TBS Drama Archive』
主人公を木村拓也が演じていたこともあり、かなり人気のあったドラマで、私もまだ20代でした。
その頃、お客さんとクラブ(正確に言うとキャバクラ)に行ったとき・・・
お客さん「相澤さんは若いけど、一級建築士なんだよ~。」
女の子「えええ~、キムタクと一緒なんですか~?カッコイイ~」
とチヤホヤされました。
(歳がバレるし・・・)
※ドラマの中のキムタクは設計をやりますが、一級建築士ではなかったはずです。
3年ほど前の話ですが、やはり、お客さん(いつものN氏・・・N氏について詳しくはこちら
)とクラブ(正確に言うとキャバクラ)に行ったとき・・・
N氏「相澤さんは一級建築士なんだよ~」
女の子「えええ~、じゃあ、相澤さんもカツラなんですか~???」
私「はぁ?」
女の子「だって~、東スポに『姉歯建築士、髪まで偽装』って書いてありましたよ~」
私「一級建築士は全員、ハゲかい!ぼくも白髪は染めてるけど・・・」
(それよりも、女の子がどこで東スポを読むんだよ!)
と、今や「先生」と呼ばれる職業でもなくなりつつあると思います。また、ある不動産業者の大先輩に
「デベロッパーは、ある意味、見下して『先生』と呼ぶんだよな~。そう言って、安い設計費で仕事をしてもらう意味もあるかな・・・」
と言っていました。
私は両方の立場を経験していますがちょっと、悲しい話でした。
次回は一級建築士の年収などを書いてみます。
耐震偽装はしないから・・・