技術者~収益不動産~そして現在までの経緯3
いつの間にか、立退きの話を4日も連続で書いてしまいました。私は立退きだけで100件以上をやっています。(100件ぐらいまでは数えていますが、それ以上は数えてません。)だから、この手の話を書き出すと、いくらでも出ます。地上げも同じです。しかし、あまり、本来、伝えたいことから離れると、いつまで経っても本題に戻れなくなりそうなので、先に本題から書きます。
(立退きの話が面白いというお言葉も頂戴しましたので、さっさと本題を書いて、続きは書きます。)
さて、本題に戻ります。
「ん?画像がない」
そりゃ、テキストで如何に表現力を・・・と言い訳をしてもしょうがないので今回は画像をいれてみます。
さて、私は『Dr.相澤の住宅情報館』のプロフィールにもある様にあるハウスメーカーに務めていて、その後、その会社の収益不動産部門に移動したところまでは前回、書いた通りです。しかし、私に転機がやってきます。私はそのハウスメーカーを辞めることとなりました。辞めた理由はいくつかあります。
決定的な理由はその会社が好きだったから、今、その会社がやっている事が住宅を作り、販売をしている会社とは違う方向に向かっているからという事だったと思います。
・・・と、その辺の感情的な話は置いておいて・・・私は不動産の景気が悪くなる『金融商品取引法』改正前に、14年間勤めたハウスメーカーを辞めて、不動産証券化を取り組む会社に移りました。一応、役員待遇で移りますが、やる事は殆ど変わりません。強いて言うと、新入社員の面接をするぐらいでしょうか・・・。
しかし、程なく、景気が大きく変わります。世界的にもリーマンショックとよく言われますが、リーマンブラザーズだっていきなり、潰れたわけではありません。色々な要因が少しずつ、押し寄せていったのです。不動産業界の流れを止めたのはリーマンショックではなく、金融商品取引法の改正でした。
平成19年10月1日、この日は私は忘れることは無いでしょう。不動産流動ビジネスに関わっている人は同じだと思います。バブルの時代の人にとっては総量規制と同じぐらいショッキングな出来事でした。
(総量規制を知っている、そこの貴方は昭和の人ですよ)
これによって、日本の不動産市場は大きく変わります。予想していた通りに・・・
そして多くの不動産会社が倒産していきました。
これ、私が取引していて、金融商品取引法、改正以降、今日までに倒産(会社更生法、民事再生法を含む)した会社の方々の名刺です。当然ですが私の移った会社に影響が無いわけがありません。私が転職した会社も、その後、間もなくしておかしくなります。(景気だけのせいでもないんですが・・・)
そして、私以下、殆どの社員がその会社を後にすることになります。
そして、私は、
『本来の自分の仕事に戻ろう。』
と、考えました。
ふっと、以前に自分が運営していたサイトを思い出しました。もう、何年も更新してないのに、見ていてくれる人がいるのでしょう。アクセスカウンターだけは少しずつ動いているようです。
『サイトをリニューアルしなきゃ・・・』
と、思いました。
前にサイトを管理していたときには住宅の技術屋として、みなさんに回答していました。しかし、私は技術だけではなく、不動産屋としての一面を備えて帰ってきました。しかも、そこらの不動産屋とは違います。立退きや地上げを含めるギリギリの最前線にいた不動産屋です。Excelと睨めっこしっていただけでもないし、電話営業をしていただけでもありません。本当に人と対話をして、毎日々々、現場を歩いていた不動産屋でありデベロッパーです。
ですから、建物だけではなく土地も・・・、所有権の物件だけではなく賃貸住宅にも対応できるサイトにリニューアルしていきたいと考えています。
【経緯】外伝5【立退き】
私はここに、収益不動産の話どころか、立退きの話を書いていますが、実際には『住宅』の専門家です。しかも、住宅に関する技術系の人間です。自称ですが、ちゃんと一級建築士も持っています。(宅建他、不動産系の資格もいくつか持っていますが・・・)
私は、声を大にして言いたいんです。
私は住宅に関する技術の専門家だ!
と・・・
今日の仕事の依頼は
「相続に関する、遺産分割協議書と相続による不動産登記」
です。すでに万屋状態です。
さて、昨日の話の続きです。
なかなか会おうとしてくれない、Sさんの部屋に通うこと10回目ぐらいの時でした。
そろそろ、戦法を変えないといけないかな・・・
と、思いつつも、今日はYさんとお話しをした帰りなので、そのままSさんの部屋に立ち寄りました。呼鈴を押そうとした瞬間・・・・またもや、数人の男性です。
「この部屋の方ですか?」
と、聞かれました。さすがに2回目ともなると雰囲気で察しました。
「いえ、このマンションを所有している会社の者ですが、警察の方ですか?」
と聞き返すと、やっぱりそうでした。ドラマ通り手帳を見せられて・・・
「この部屋の方に少々、用事がありまして・・・」
(私もなんですけど・・・)と言おうとすると、
警察官の手に持っているのは家宅捜査令状です。
警察官は俺達の邪魔するなよ・・・と言わんばかりの態度です。
家宅捜査令状!
って、何したの?Sさん・・・・
というわけで、警察官は無理矢理Sさんをドア越しに呼びだし、ドアを開けさせました。私は側で見ているだけですが、黙ってみている訳にはいきません。何って言っても、このマンションのオーナーです。私だって、会社に報告しなければならない義務があります。
というわけで、警察官の最後尾から一緒に突入!
と、絶句な光景でした。
部屋には無数のパソコン。
モニターには永遠と流れる意味不明の文字・・・。
床はケーブルだらけです。
窓には真っ黒の紙が完璧に隙間なく貼られています。
警察官はSさんに何かを話していて、Sさんは観念したかの様にうなだれています。ほどなく、Sさんは警察に連れて行かれました。
そして、警察官は私に・・・
「ここにあるものは全て証拠品になりますので一切、触らないで下さい。」
『はい』で帰るわけには行きません。少なくとも、どうして、こうなったのかを会社に報告する義務がある私は、この部屋が何に使われていたのか、Sさんが何をしていたのかを聞きました。
ワンクリック詐欺の基地Sさんはその主犯
ということでした。
数日後にSさんの部屋にある殆どのものは警察が押収していきました。
私は、何もせずにSさんの立退きに成功しました。
さて、次回は言葉の通じないRさんです。
【経緯】外伝4【立退き】
不動産関係の仕事をしていると、いろいろな不動産の話があります。
たしかに以前、
『お寺を買いませんか?』
という、話がありました。しかも・・・
『宗教法人セットでしかも、檀家さん付き』
という話でした。(檀家さんの評価額なんて出せないし・・・)
他にも『医療法人付き病院』や『営業権付きホテル』などはよくあります。
当時、収益不動産を扱っていた私は『病院』や『ホテル』は検討しました。しかし、さすがに、このお寺から、どんな収益が生まれるかを思いつかなかった私はその話を断りました。まぁ、普通に違法行為ですから、そんなことを考える訳もないのですが、こういうことに頭が回る人って時々、すごいなぁと思ってしまいます。もちろん、バカだなぁとも思うのですが・・・。
『ラブホテル』というところがちょっと笑えました。
さて、昨日の話の続きです。
警察署に連れて行かれた私は、本当に建造物不法侵入をしていたわけではありません。当然ですが、そのマンションは私が所属している会社が持っているものですから・・・。そのことを警察に確認してもらって、警察には理解してもらえました。
私が逮捕された理由は想像していた通り、Yさんが鍵を開けられたことで心配になり警察に通報したということでした。
逮捕までされた私は、タダで帰るほどお人よしではありません。私のことを逮捕した警察官に私が
『新オーナーで賃貸借契約書の作成と新賃料振込先の変更に来たら、なかなか連絡がとれなくて、心配になって鍵を開けた』
ということを、私と一緒に行ってYさんに説明してくれと言いました。
さすがに自分の仕事(立退き)に警察が協力してくれるわけないかなぁ・・・と思ったら、誤認逮捕に警察官も悪いと思ったのか、それともYさんに報告する義務があったのか快く承諾してくれました。
こうやって、私は無事にYさんと面識を持つことが出来ました。
・ 電話に出なかったのは知らない電話番号には出ない。
・ ドアホンに出なかった理由はセールスだと思ったから。
・ 郵便受けは見てなかった。
ということでした。
Yさんも悪かったと思ったのか、その後は私とは色々話してくれるようになりました。元々、身寄りのいない、ご老人です。寂しかったこともあるとは思いますが、その後はYさんの方から話してくれるようになりました。
ただ、寂しかったこともあるのでしょうか、Yさんのご都合の良い時間を聞くと、朝9時と言われます。
私の用件は玄関先で済むようなことなのですが、必ず、上がっていけと言われます。そして、
『果物は食べるか?お昼ごはんは食べるか?』
と聞かれます。こちらはYさんの機嫌を損ねるわけにも行かないのでなかなか断れず、いつもYさんの家を出るのは夕方です。上司にその旨を相談すると一言・・・・
『頑張れ!別に説得できれば何時までお茶しててもいいからな。』
『あっ、残業代は無理だけど!』
(残業代はつかないんかい!!!!)
以上でした。
そして、最終的な結論としては
・ Yさんの次のお住まいを私が責任を持って探す。
・ 次のお住まいの敷金と礼金などの初期費用をこちらが負担する。
・ 引越し代をこちらが負担する。
・ いらない物を置いていっても構わない。
という条件で立ち退いてくれることになりました。
Yさんも余程、私のことが気に入ってくれたのか
『相澤さんのお仕事の邪魔にならないように、住む場所が決まったらすぐに出て行くからね。』
と言ってくれました。
しかし、問題は次の住まいです。
実はこのマンションの家賃は、周辺相場に比べるとかなり安かったんです。ですから、同じぐらいの条件の物件を見つけることができません。
それと、Yさんは身寄りがありません。つまり、連帯保証人がいません。連帯保証人のいない、80歳過ぎの老人を受け入れてくれる物件がほとんど無いという問題にぶつかります。
なんとか、同じ条件の物件を見つけ、結局は私の勤める会社が保証人になるということで決着しましたが、そこまで行き着くのに半年ぐらいの時間を要しました。
Yさんによる教訓
・家賃が周辺相場より安い場合は代替物件が見つけにくいので交渉が難しい。
・老人を受け入れてくれる賃貸住宅は少ない。
・老人は話が長い。(結構、楽しかったけど・・・)
さて、次は「忙しい!」を理由に会ってくれない方に突入です。
契約書等によると賃借人は
名前:Sさん
年齢:30歳台
性別:男性
連帯保証人:保証会社
職業:IT企業らしき会社
同居者無し
家賃支払の遅延履歴等は一切無し
本物件居住者からのクレーム等も一切無し
まずは、務めている会社をネットで調べますが出てきません。「小さい会社なのかなぁ・・・」と思いつつも、書類上は怪しい点はありません。
Sさんは電話は何度掛けてもアポイントは取れないので、直接行って、
・電気がついている。
・水道メーターや電気メーターのまわり具合
などを確認して、中に人がいることを確認した上で
『近所まで来ました~』
という古典的な方法で挑戦です。同居者もいないということなので夕方以降に行くことにしました。
しかし、この部屋は不思議でした。
電気のメーターは激しくまわっていますが、外は暗くなっている時間なのに外から見てもこの部屋は電気がついているという様子がありません。というか、昼間でも暗幕?みたないもので部屋の中が全く見えません。
『なんだろう・・・』
と思いながらしばらく、通うのですが、呼鈴には絶対に出てくれませんでした。SさんはYさんに会ったときなど週に2回ぐらいずつは尋ねました。
通い始めて、かれこれ4週間・・・そろそろ、別の手を考えないと・・・と思っていた矢先、とんでもないことが起こりました。
このとんでもない出来事は明日に続きます。
【経緯】外伝3~いきなり逮捕される~【立退き】
今日は私の会社の社員Fが自分のマンションの契約をする予定日でした。
しかし、結局、契約には至りませんでした。
部屋はすごく良い部屋で社員Fも気に入っていたのですが・・・
契約の手続きの仕方と契約書の内容に大問題があって、一応、それを訂正するように貸主と交渉したのですが貸主がそれを理解できず結局、破談となってしまいました。
賃貸住宅をやっている不動産会社のみなさん、東京ルールは守りましょう。
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-0-jyuutaku.htm
詳細については後日書きます。
さて、今日は買えてしまったマンションの立退きの話です。
皆さんは立退きというとどんなイメージをお持ちでしょうか?
きっと、こわ~いお兄さんがやってきて、怒鳴りまくるとか、
いっぱい、嫌がらせをして、そこに住めないようにするとか、そんなイメージを持っている方が多いと思います。
しかし、実際にそんな立退きをするのはバブルの時代の話で、
(その頃だってそんな立退きをする人が沢山いたわけではありません)
今はもっと紳士的に行います。
簡単に言えば『条件交渉!』これにつきます。
さて、まず買ったマンションの住人の属性をチェックすることになりました。
住人の属性のチェックとは、
簡単に言えばどんな人が住んでいるのかを調べるということです。
私はすでに、そのマンションのオーナーである会社のその物件担当ですからオーナーと概ね同じ権限を持ってます。契約書を全部見ること、その際に提出されている住民票や身分証明書のコピー、連帯保証人の身分証明書なども見ることができます。
この物件は27の賃借人がいました。
うちわけは法人3、一般で借りている方で単身者(契約時に一人で住むと言って借りた方)が18、家族で住んでいる方が6という内容でした。法人は出版関係、自動車関連、不動産関係といった感じです。個人の方の中に、ぱっと見て、これは・・・と思う方は2名いましたが、後は契約書及びその添付書類だけではわかりませんでした。
まず、立退き交渉の基本はそこを利用している(住んでいる)人と面識を持つことです。この面識の持ち方が一番、重要なんです。ここで、相手に好印象を与えることができるかどうかで交渉が上手くいくかどかが決まります。これは、立退き交渉だけではなく、すべての交渉においての基本です。
というわけで、その面識を持つための作業に入ります。
一番簡単な面識を持つ方法は、その物件の所有者が変わったという理由で
・ 家賃の振込先の変更のお知らせ
・ 賃貸借契約の作り直し
・ 新オーナーの挨拶
という理由で借主に会いに行くことです。
まずは、所有者が変わった旨のご挨拶のお手紙を出します。そこに、家賃の振込先の変更の旨を書いておきます。そして、前オーナーと連名でお手紙を出すことが重要です。前オーナーとしっかり話ができていれば、賃借人は安心します。
※実際には賃貸借契約の作り直しなどは必要はありません。また、オーナーに変わったことの承諾を賃借人に取らなければならない法的な理由もありません。前オーナーからオーナー変更のお知らせを出してもらえればそれで法的には完了です。
さて、お手紙を出したら、挨拶スタートです。当然ですが、いきなり行って、
「こんにちは~、新オーナーです。」
で、会ってくれる方は1割から2割で非常に効率が悪いので事前に電話して、アポイントを取っておきます。アポイントを取ろうとして、なかなか、会おうとしてくれない人は危険です。この段階では私は単なる新オーナーで押し売り(セールス)ではありません。
契約書や家賃の振込先変更の説明と言っているのに会いたがらないというのは、『来てもらっては困る。』なにかがあると考えて良いでしょう。この『危険な賃借人』から、交渉に入ります。なぜなら、こういう方は会うのも交渉するのも時間が掛かるので最後まで残ってしまうからです。
私の目的は再開発ですから、全員に出て行ってもらわなければならないので、どんなに他の方を早く立ち退いてもらっても、1人に居座られたらおしまいです。ですから、危険な人から交渉するわけです。
もっとも、このマンションで会いたがらない人は4人しかいませんでした。私は立退き交渉はこの時が初めてですから、それが多いのか少ないのかは解らなかったのですが、後にこれは約1割で少ない方だということが解ります。
その内、1名の方は会いたがらない理由が明確でした。
それは不動産関係の方で、契約書の新作成などが不要であることをちゃんと理解しているからでした。しかし、こういう方は話が早いです。我々のこの物件の購入した意図を正直に話して、後は立退き料の話ですが、相場をちゃんと知っていますから、大幅に値切ることもできませんが、無茶なことも言ってきません。
問題はあとの3名です。
1名は電話を何回しても出ません。
1名はなぜか、いつ電話してもいるんですが、忙しいからと言って会ってくれません。
そして、もう1名は・・・電話には出ますが、言葉が通じません。
相手が何を言っているかも、私が殆ど理解できません。
(私は義務教育レベルの英語と日本語が理解できるだけです。)
契約書にはカタカナで名前が書いてありました。しかし、この方は必ずしも会いたがらないわけではなく、言葉が通じなくてアポイントが取れないだけなので、後回しにします。
まずはこの電話にぜんぜん、出てくれない人から交渉開始です。
と、自分の中で勝手に決定しても電話には出てくれないのでアポイントは取れません。
さて契約書をチェックすると名前はYさん、年齢は・・・っと
80歳を超えています!
仕事は無し・・・
一人暮らし・・・
なんとなく不安になりながらも、とりあえずアポイントが取れないので現地に向かいます。メールボックスを確認すると、特に郵便類が溜まっている様子はありません。ということはメールボックスは誰かが確認している可能性が高いと思い、今度はお部屋まで行って、呼鈴を鳴らすも全く反応はありません。
(居ないのかな?)
と思いつつもドアに耳をあててみると、テレビの音声と思われるものが聞こえます。しかし、呼鈴を鳴らしても出ないので、その日は帰ることにしました。
さて、翌日です。
私は諦めるわけにもいかないので、この日もやってきました。
呼鈴の反応は相変わらずありません。しかし、この日もテレビの音声は聞こえます。この事態は当然、想像ができたので、手紙をもってきました。
『新オーナーで挨拶に来ましたが、電話も呼鈴も応答がありません。しかし、テレビの音声が聞こえるので中にいらっしゃると思うのですが、もし、倒れていて動けないなどのことがあったら心配ですから明日は合鍵で開錠します。』
という内容です。
手紙を玄関についている郵便受けに入れて、この日は帰りました。
さて、翌日・・・
相変わらず電話は出ません。
呼鈴を鳴らすも反応は無し・・・。
テレビの音声は聞こえます。
ここで、自分の中では本当に手紙に書いた事態が心配になってきました。
一応、ドア越しに
「鍵を開けますよ~~~~」
と何度か言って、合鍵で鍵を開けました。
(チェーンが掛かってる!!!中には誰か居るってことじゃないか!!!)
もう、頭の中ではYさんがテレビの前で倒れている姿しかありません。
私は必死に少しだけ開いている玄関から、
「Yさん、Yさん」
と叫びました。
開錠してから、10分ぐらいがたったでしょうか・・・
まだ、玄関越しに名前を呼んでいると、誰かが私の肩を叩きました。
振り返ると、ちょっとルーズな背広を着た男性が2名。私が何も言う前にそのうちの一人が
「建造物不法侵入の現行犯で逮捕します。」
「えっ・・・」
一生懸命に事態を説明したのですが
「詳しい話は警察署で聞きますから・・・」
の一点張り。
私はそのまま、パトカーに乗せられて警察署に連れて行かれました。
立退き1件目でいきなり逮捕された立退き屋さんとなってしまいました。
続く・・・
【経緯】外伝2【立退き】
さて、前回の続きです。
そのマンションの購入申込をしてしまったのですが、
買わないで済むチャンスが直前にありました。
ここまでの間に売主と私は何度か打合せを行っていました。
その物件の境界確認は売主が完了して、実測を行った上での売買ということでした。
※これを実測売買と言います。実測を行わないで登記簿の面積で行う売買のことを公簿売買と言います。
この境界確定が行われてない状態で不動産を買ってしまうと大きなトラブルが発生します。
例えば、境界付近に塀があったとします。
その塀は自分の物のつもりだったのが、実際に境界を確定したら
『相手の土地と自分の土地の間にまたがっていた。』
自分としてはそこに綺麗なオフィスビルを作りたいからその塀を作り直したいけど、所有権が明確にならなくなっているので作り直せない・・・
そして、境界が確定しないので土地の面積も確定しないから建物を作るのにも困るし、次の売却の時も買い手が付かない。
という事態が発生します。
そして、この様なことは信じがたい話ですが良くあることなんです。
本題に戻りますが、契約前日になって、隣地の一箇所の境界が確定していませんでした。
理由は隣地の所有者と連絡が取れないという問題です。
隣地は借地で所有者がその場にいなくて連絡が取れなかったのです。
私はN氏に『境界が確定しないと、当然、社内の承諾は取れない』ということを伝えます。
N氏はもう、必死です。
契約前日の夜11時を過ぎた段階で私はこの契約を断念しようということをN氏に伝えたのですがN氏は諦めません。
「契約までに境界を確定すれば問題ないわけですよね!。私が今から隣地所有者のところに行って押印してもらってきます!。」
(この仕事は売主の仕事でN氏の仕事ではありません。)
私は絶対に無理だと思いながらもN氏からの連絡を待ちます。
ついに午前0時をまわって、契約当日に突入。
午前2時ぐらいに携帯が鳴りました。N氏からです。
「隣地所有者のところに来ているんですが呼鈴鳴らしても出てきません。」
私は一言・・・
「当たり前だろ・・・。」
さて、朝になって、その旨を上司に報告しました。
契約日になって境界が確定していないで契約が流れる・・・
怒られるだろうなぁ・・・と思いながら報告しました。
すると上司は・・・
「N氏の意気込みを買った!
契約後にN氏と協力して境界を確定しろ!」
と言い出しました。
(おいおい、5億からの取引なのに意気込みでいいのか・・・)
と思いつつも、上司が良いというので当時の私もよく解っていなかったのであえて反論もしませんでした。
今考えれば、上司も上司で、境界確定の重要性が解ってなかっただけの話です。しかし、その物件はこうやって無事に買えることとなってしまいました。
さて、次回からは購入後の立退きの話を書きます。
カスタマーセンターと言葉の難しさ
3日でパスワードを再発行すると、書いてあったプロバイダーからメール来ない!
『今日はカスタマーセンターに絶対に電話して文句言ってやる!』
と、鼻息荒く玄関を出てマンションのメールボックスを見ると
1枚のはがきが・・・
某プロバイダーからちゃんと届いていました。
散々、メールで送るって言って、何度もメールアドレスを聞かれて
メールって、葉書き!かい!!!!!!!!!!!!!!
たしかに、『電子メール』とは誰も言っていなかったし
書いてなかったのでこれが正解なのか・・・。
今どきの言葉の難しさ・・・・
というわけで、ぼちぼち、今日からサイトを更新しようと考えてます。
【経緯】外伝1【立退き】
さて、経緯1で書いた、私が戸建の仕事から離れて
行っていた仕事の話のことをちょっと書きます。
私は戸建の設計などの仕事をしていたのは書いた通りなんですが、その会社の中ではPCのスキルが高かったこともあり
(そのハウスメーカーの当時のPCスキルは相当低かったんですが・・・)
収益不動産の事業部から、外部に委託していた収支計画を社内で作れるように、収支計画を解析して、ソフト化して欲しいということで設計部門から収益不動産部門にレンタル移籍しました。
しかし、当初の約束ではその収支計画を社内で作れる様にすれば私は設計部門に戻るはずだったのに・・・
まぁ、サラリーマンっていうのはそんなもんです。
私が戻るどころか、更に他の部署から人を呼び、
中途採用でどんどん人を増やしていきました。
それだけ、収益不動産事業は世の中で流行っていきました。
さて、その収支計画のソフトを2ヶ月程度で完成した私は
今度は、不動産開発の仕事をやることになりました。
もともと、ハウスメーカーということもあり、開発リスクを背負うことにあまり抵抗はなかったらしく、収益不動産事業とは言っても殆どが、再開発ビジネスとなります。
しかし、私はもともと、設計の仕事をしていましたから、
私は不動産会社に知り合いはいませんし、土地の買収のしかたは専門外でした。
他の担当者は不動産会社や金融機関から入った情報で
めぼしい物件を毎日見に行ってました。
私はやることがないので収支計画のソフトのメンテナンスやら物件情報管理をアクセスで作ったりと、一人会社の席にいました。
そんな日々が部署を移籍してから5ヶ月ぐらい続いた、まだ、残暑が厳しい9月のある日に総務部から電話がありました。
「代表電話に○○不動産(大手仲介会社)のNさんという方から収益不動産のご案内ということで電話が入っていますが、こちらの部署にお電話を繋いでよろしいでしょうか?」
私は暇をもてあましていたこともあり、また私しか部署に人がいなかったので
「どうぞ・・・」と言って、そのN氏の電話を受けることにしました。
いかにも仲介会社の若手社員と言った感じで元気のいい声で
「御社は戸建事業以外に収益事業もやられているんですね!今日の日経新聞を見ました!!大変、面白い物件があるんですよ!是非、ご紹介したいんですが、一度、御社に伺ってもよろしいでしょうか?」
私は断る理由もないので
「いいですよ。」と言うと
N氏は「じゃあ、相澤さんのお時間のよい時に伺いたいのですが!」
と言うので、もの凄く暇だった私は「今、暇ですよ!」と冗談で言ったつもりでした。
しかし、あとで解るのですが、その当時は元気だけがとりえのN氏は
「じゃあ、今、すぐに行きます!」と言って電話を切りました。
その会社と当時の私の会社は電車に乗ってる時間が22分、双方の歩く時間が10分は掛かります。
それなのに本当に40分でN氏はやってきました。
一般的な自分達の自己紹介をして私は戸建の設計が専門であること、N氏はこの業界に入ってまだ5ヶ月であることなども話しました。
そしてN氏は東京都中央区にある築20年ぐらいの賃貸マンションの物件を紹介してきたのです。
ぱっと見た目もいかにも管理が届いていないボロいマンションで
利回りもそんなに良くなく、私は(この物件のなにが面白いんだろう?)と思いました。
しかし、N氏は私の顔色を見て、その物件の計画を話し出しました。
このマンションを壊して再開発すれば、よい収益物件になります!
たしかに、オフィスでも新しいマンションにしても収益物件として良い物件になりそうな立地です。
そのマンションはその時点でほぼ90%ぐらいの入居者がいました。
ところが、私とN氏は当時は立退きを行うということがどれだけ大変なことなのか、解っていませんでした。
まだ業界に入って間もないN氏、暇をもてあましている私はあとでどれだけ大変なことになるかも解らずにそのマンションを立ち退きをして再開発する計画を進めます。
そして、不運にもその計画が私の勤める会社の中で承認されてしまいました。
そして90%稼動のマンションの購入申込をしてしまいました・・・。
立退き屋、地上げ屋の仲間入りをする瞬間でした。
続く・・・
技術者~収益不動産~そして現在までの経緯2
私は戸建の仕事から、少しはなれることになり、
しかも、戸建の仕事から離れていくのですが、その間に多くのことを学びました。
今までは自分が建物を作る側だったのですが、
始めて建物を発注する側になったということです。
例えば、大手ゼネコン(スーパーゼネコン)に設計を依頼して、
すっかり、その内容を信じていました。
これは、良いビルができると思って、その土地を買いました。
しかし、買った後に、その設計に大きなミスがありました。
そして、当初考えていた容積率消化が全くできないというものでした。
もちろん自分で調べればそのミスに気が付くだけの能力は私にもあります。
しかし、忙しいということもあるけれども、そのチェックをすることは
当時の私の仕事ではありません。そのチェックをするぐらいだったら
別の物件を探しに行くという日々だったのです。
そこで思ったことは・・・・
『別の設計事務所にチェックさせておけば・・・』
そのミスで私は稟議書の収支欄の修正をしました。
3億5千万円ほど・・・・
当初の想定利益より3億5千万円も想定利益が減りました。
別の設計事務所にチェックしてもらっても、せいぜい、20万~30万円だったのに・・・
ということでした。
これは企業が行うオフィスビルの開発の話ですから被害の規模も大きかったのでが
実際に戸建を建てる個人の方でも様々な被害はあります。
また、発注しておいてゼネコンの倒産などという経験も後にすることになります。
そして、土地を買うときの様々な問題点も実際に経験してみて
いろいろなことが解りました。
これについても、後ほど書いていきたいと思います。
この経験はこれから、質問への回答などに活かせると思います。
しかし、この様なビジネスは長続きはしませんでした。
サブプライム問題などが燻ぶっていることは知っていました。
姉歯建築士の偽装問題による建築基準法改正、金融商品取引法の改正など
市況は少しずつ悪くなってきていたのです。
また、この様なビジネスの土地の値段もほぼ限界に達していたのも気がついていました。
しかし、まもなく決定的な瞬間がやってきます。
そう、あの『リーマンショック』です。
続く・・・
技術者~収益不動産~そして現在までの経緯1
私は以前はハウスメーカーに勤めていました。
元々はその会社の住宅の技術者として仕事をしていました。
主に設計、積算、商品開発などなどと技術部門の中を歩いていました。
平成16年ぐらいから、不動産市場が活性化していくなかで
その会社も収益不動産の開発、転売に力をシフトしていきます。
ある日、私もその事業部に行くように言われます。
サラリーマンですから、断るわけもなくその事業部に行きました。
社会人になってから、殆ど戸建住宅しかやっていない私は
都心で商業ビル、オフィスビルそれに賃貸マンションの開発を
行うようになっていきました。
そして、地上げや立退きから、開発後のファンドの組成まで
殆どの業務に携わっていきます。
そうやって、戸建住宅の仕事からしばらく離れていくこととなりました。
その頃は土地の価格はどんどん上昇し、
物件情報も少ないときでも1日に10件、多いときになると30件の情報が
入ってくるようになり、それを処理するだけでも
大忙しでした。
『Dr.Junの住宅情報館』
ただいま帰りました。
と、なんの事?と思われる方が殆どだと思います。
私は『Dr.Junの住宅情報館』というサイトを運営していたものです。
http://www33.ocn.ne.jp/~dr_jun_house/
もう、ホームページの更新は2005年1月を最後に
行っていませんでした。
お休みのお知らせもせずに、ただ仕事が忙しくて
更新を行っていませんでした。
そのうちに、パソコンを変えたら、FTPパスワードを失念して、
更新しようにもできなくなってしまいました。
結局、プロバイダーに電話して新しいパスワードを
発行してもらうことにしました。
まもなく、新しいパスワードが発行されるので
ホームページをリニューアルして
再出発をしようと思っています。
もし、以前に『Dr.Junの住宅情報館』を見てくださった方は
「今まで何してた!」
と思われることと存じます。
それにつきましては、後日、あらためてお話していきます。
それでは今後ともよろしくお願いいたします。