『ECO』って・・・

タイトルの話に入る前に、今日の日経新聞より抜粋です。

※詳細記事は14,15面に掲載されていましたが5面に出ていた記事をそのまま書きます。

新築オフィス下期賃料

東京、2年連続下落

大阪は21年ぶり低水準

 景気低迷を背景に新築オフィスビルの賃貸料(募集ベース)が大幅に下落している。日本経済新聞社のオフィスビル賃貸料調査(下期、10月中旬実施)によると、新築ビルの賃料は東京で2年連続で下落した。大阪は3年連続で下がり、1988年8月以来21年ぶりの低水準となった。賃料負担の軽減を図る企業が急増。オーナーはテナント確保のため賃料の引き下げに動いた。(関連特集14、15面に)

 募集賃料の水準を指数化したオフィスビル賃貸料指数(85年2月=100)は、東京の新築ビル(築後1年未満)が127.83と前年同期比24.27ポイント下がった。2005年ごろからの「不動産バブル」が始まる前の03年秋とほぼ並んだ。大阪の新築は115.32と同18.91ポイント低下し、バブル期の賃料高騰前の水準に落ち込んだ。

 既存ビル(築後1年以上)は東京が139.96ポイントと同22.8ポイント下がった。大阪は同2.15ポイント高の137.86ポイントと小幅上昇したが、07年秋から低水準で推移している。

 経費削減のためのオフィスの撤退や縮小が進み、既存ビルの空室が加速。新築ビルも大半が空室を抱えたまま開業している。

日経新聞平成21年11月4日14版 5面記事 抜粋

まだまだ、景気回復軌道というには程遠い状態ですが、空室率自体は高止まりで増えている様子はあまり感じません。14面、15面の特集記事には仙台あたりは供給過多で苦しいという記事が出ています。

ここで、ちょっと思ったことなのですが・・・

たしかに景気悪化でオフィスを含む、企業の設備投資意欲は減退し、できれば経費削減の方向に持っていきたいと考えるのは当然です。これは、不動産投資だけではなく、機械設備、人件費なども同じことだと思います。

しかし、不動産に於いて、経費削減とは賃料の安いオフィスに引っ越すことだけでしょうか?

今、トヨタのプリウスやホンダのインサイトは大変売れています。

これは、エコカー減税の効果が大きいことは解っています。しかし、トヨタのプリウスはエコカー減税が始まる前から結構売れていました。

これは「地球環境に優しいから」ということを考えた人が多かったからというよりも、石油価格の高騰でガソリン代が安く済むと考えた人が多かったからではないでしょうか?つまり、イニシャルコストをランニングコストでカバーできると考えたからだと思います。実は『エコ』だとか『環境問題』よりも、自分の家計の損得勘定だったのではないでしょうか?

例えば、私の知っている会社の中には『チームマイナス6%』などに参加している会社が結構あります。

※チームマイナス6%・・・平成17年京都議定書目標達成計画では、地球温暖化対策の基本的考え方として、国、地方公共団体、事業者、そして国民一人ひとりが、協力して地球温暖化対策に取り組まなければならないとされ、京都議定書による我が国の温室効果ガス6%削減約束の達成するために各企業、団体などに参加する様に政府が呼びかけたもの。

私もそんな会社にいたことがありますが・・・。

最初はクールビズでした。クールビズと聞くと、『ノーネクタイ』を思い出される方が多いかもしれませんが、実はそれと引き換えに、夏場のオフィスの温度設定を28度にするというものでした。

事務所に帰ると・・・クーラーの温度設定は28度でも、机の下にあるパソコンや後ろに座っている同僚の体温などなどで体感温度はとても28度には感じませんでした。そして何よりも面白かったのが・・・

この『ノーネクタイ』というスタイルです。普通のワイシャツからネクタイを外すと酔っ払った親父そのものです。ですから、クールビズ用に専用のワイシャツ(ボタンダウンや襟の高いシャツ)を揃え様とみんな考えます。しかし、その企業はクールビズを行うからと言って、シャツ代を出してくれるわけでもなく、結局、ノーネクタイをする社員はこぞって『ユニクロ』に走りました。

平成17年6月1日、私の居た会社のその部署では男性社員12人中11人がユニクロの同じシャツ(色違い)を着ていました。例外の一人が私です!私の家の近くにユニクロが無く『紳士服の青山』でクールビズ4点セットで揃えました。平成17年と言えば、不動産バブルが軌道に乗り始めた頃ですから、会社は儲かっていました。

しかし・・・

「本年はクールビズの結果、光熱費が○○○万円、前年度より削減されました!」


と経理部長が事業報告発表で言ったときには、


「それは、俺のシャツ代だろ!!!!!」

と思った社員は多かったはずです。

それを口に出した時に上司であった役員に

「冷え性の女性社員のひざ掛けでチャラだな・・・」

と言われたときは悲しかった。

また、チーム6%だのエコだのを必死にアピールしながら、経営者がリッター5キロも走らないベンツで会社に来たり、遊びに行ったりしている姿を見ても、単なる企業アピールか偽善者かとも思ってしまいます。

しかし、企業からしてみれば、エコよりも自分の会社がどうやって生き残るかの方が大事なのは当たり前のことです。生き残らなければ、どんなに将来の地球環境を語っても、自分では何もできません。

そこで、今のオフィス事情に話を回帰させてみたいと思います。

今の新築オフィスはそういう意味に於いて、我々、企業にとってどんなメリットがあるのでしょうか?

すでに日本は人口減少局面に入っていて、日本企業の増加は考えにくく、単一企業の従業員は人口減少よりも早く減っていきます。つまり、日本企業を対象とするオフィス需要は地域格差の問題を除けば全体的には減少局面にいるはずです。アジア経済が堅調ですから、アジア系外資企業のオフィス需要は見込めますが、日本企業のオフィス需要の減少とアジア系外資企業の進出でバランスがとれるぐらいが、良いところではないでしょうか・・・。

今、日本の多くの企業はどうやったら経費を削減できるかということを考えています。これは景気が回復軌道にのっても、しばらくの間は経費削減、経費節約を考えます。景気が良くても経費が抑えられることは常に考えるはずです。また、競争原理の中で無駄な経費出費は企業の敗北を意味します。

もし、貴方の会社が家賃80万円(共益費込み)で月々の光熱費等が30万円の事務所で築20年だったとします。隣に新築のビルができて家賃が100万円で月々の光熱費が20万円だったらどちらのビルを借りますか?

「ECOに協力する為に新築のビルに移転しよう!」

と経営者に言われて、

「地球環境の将来を考えて引っ越すことに賛成」

「その代わり、君たちの給料減らすけど・・・」

と言われても賛同できますか?

新築のステータスを得る為だけに引っ越す企業があれば、余程儲かっている会社か新築ビルの関連会社かのどちらか、もしくは双方ではないでしょうか?

今の新築ビルの賃料の決め方などは周辺の賃料相場であったり、ビル所有者の不動産投資と期待利回りによって決定されていますが、借主側からしてみれば、どうでも良い話です。

新築ビルを新しい技術によって、賃料を含むランニングコストが抑えられてこそ、新築オフィスに対して企業が触手を伸ばすと思います。新築ビルのブランド的ステータスを売り物にする時代は終ったと思います。

オフィスを計画するデベロッパーやそれを作るゼネコンは、その難題にチャレンジし成功しなければ明日は無いと思います。そして、この問題はオフィスだけではなく、全ての不動産において言えることだと思います。

今晩は少し考えてみて欲しいけど・・・その前に!

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