違反建築が発覚した時の対応

連載シリーズ 【 違反建築が発覚した時の対応 】 第 2 話 / (全 4 話)

既存の建物で違反建築が発覚すると、突然、役所の職員がやってきたり、消防署員がやってきたり、違反建築であることの通知が来たり、役所に呼び出されたりと様々なパターンがあります。

また、既存の建物に増改築や用途の変更を行っている場合で違反があったり、無届だったりすると、突然、工事の中止命令が出たりすることもあります。

 

この場合、絶対にしてはいけないことは、その

行政指導(場合によっては行政処分)を無視しないこと!

無視を続けると、最終的には建築基準法第9条第1項(もしくは第10条第2項)に基づき、違反状態を是正する命令が来て、さらには同法第9条第13項の規定で建物に「使用禁止」と書かれた紙を貼られ(標識の設置)、さらには行政のホームページに違反の事実が公表されたりします。

 

行政(役所や消防署)が、行政指導をしてくるということは、それなりに違反である根拠を押さえているケースが多いです。その為、行政指導を無視していけば、行政はより精密な調査をして、さらには、行政指導を超えて、完全に法令に則った行動をしてきます。行政が法令に則った行動をすると行政も後には引けなくなるので、違反者側も法令に基づいた行動をしなければならなくなります。

 

では、行政から違反に関する、行政指導や行政処分が来た場合、どうするか?

違反建築に関して行政と交渉のできる一級建築士に依頼するしかありません。

※ 違反に関する行政指導でその建物を除去(解体)するのであれば、一級建築士に相談しなくても問題はありません。二級建築士や木造であれば木造建築士に相談するのでも構いませんが、違反建築対応ができる建築士でないと意味がありません。

 

ここでよくあるケースが

建築基準法関連法令や条例に対する行政指導や行政命令に対して、弁護士に相談する。

というパターンですが、建築士法第21条で

「建築物に関する法令又は条例の規定に基づく手続きの代理その他の業務」

は建築士の占業とされています。

もちろん、本人が建築基準法等に相当詳しくて、建築士を代理に立てなくても自分で対抗できるというのであれば、行政と直接やりとりすることも可能です。

また、行政指導というのは、行政手続法に基づくものなので、その手続きの正否を問うのであれば弁護士に相談するのでも構いません。

ただ、本当にそれが建築基準法に違反しているのか、また技術的な話になると、結局、前述の建築士法第21条が出てくるので弁護士から建築士に依頼をするということになったりします。

 

ここで、建築基準法及び関連法令や条例に関する、行政指導と行政処分の違いについて説明をしておきましょう。実例をあげて説明をします。

 

第二種中高層住居専用地域に地下1階地上3階の建物を適法に作った建築主がいました。その場所は都市計画法上、第二種中高層住居専用地域なのですが、周辺は海外の高級ブランド店や流行のアパレルショップ等が立ち並ぶ場所で、商業的価値の高い場所でした。

その建物の3階は、簡易なシャワーユニットと、ミニキッチン、トイレ(いわゆる住宅三点セット。これがあれば住宅として確認申請ができる。)が設置される計画で実際に完成時には取り付けられていました。

ところが、その建物の地下1階から地上3階までを1人(法人)の賃借人が借りて、地下1階から地上3階までを店舗として利用しようとしました。

第二種中高層住居専用地域では3階以上では店舗や事務所に利用することはできません。

その賃借人は、悪意があったわけではなく、店舗の内装が終わって、開店する前に消防検査を受けました。そこで、消防署が建築基準法違反に気が付きました。その当時、現場で消防署員が注意(行政指導)をしたかは不明ですが、消防署は、役所の建築指導課に通報をしました。

行政はすぐに現場を確認して、建物所有者及び店舗の経営者である賃借人に、

「3階を店舗として利用してはダメですよ!」と注意をして、さらに使ってはいけない法律根拠(建築基準法第48条第4項違反)を書面で渡しました。ここまでは、行政指導です。

ところが、建物所有者も賃借人もそれを無視して、そのまま開業しようとしたのです。

店舗が開業したところで、役所は建築基準法第9条第1項により、3階の店舗を住宅に戻すように書面で命令を出しました。(ここからが行政処分です。)

さらに、建物所有者と賃借人はそれを無視して店舗の営業を続けた結果、ある日、役所がやってきて、建物の入り口に「使用禁止」という紙を貼り、その事実を公表したのです。

ちなみに、その使用禁止の紙には

「建築基準法第9条1項」によりと書かれていて、さらに、「この命令を破った物には建築基準法第98項第1項により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。」

と書いてあります。もう、こうなってからでは手のつけようがありません。

その後、建築主である建物所有者と店舗の経営者である賃借人とで民事訴訟になりました。(裁判所で和解したところまでは、聞いていますが、和解内容までは聞いていません。)

しばらくの間、使用禁止の紙が貼られ、空き店舗になっていたのは記憶にあります。

 

行政指導について次の様なことを行政官にいう人がいます。

「他の建物もやっているのに、うちだけなんで行政指導なんだ!」

これが一番多いのですが、これは既に、スピード違反で捕まった人が

「他の車もスピード違反しているのに、自分だけ捕まえるのはおかしいだろ!」

と言っているのと同じです。行政指導や行政処分を受けた際に、他の事例や他の行政区の取扱いを持ち出して、交渉するのは何の意味もありません。むしろ、心象を悪くするだけです。

この様にして、心象を悪くしてから、建築士に依頼されても、その建築士は心象の悪くなった状態から交渉をしなければならなくなります。

例えば、建築士が当該違反の改善計画書などを提出していくのですが、改善に3年を掛けようと思っても、既に心象が悪くなっていると1年しか待ってくれないなどという不具合が発生します。

「そんな法律おかしいだろ!」

ということを言う方もいますが、そもそも法令ですから、国民によって選ばれた立法府や、条例であれば、同じく市民によって選ばれた地方議会によって定められているものです。法律がおかしいなら、法令の改正からしなければなりません。行政官の仕事は、法令に従って、行動するだけなので、法令の是非を言うのは無駄です。

ただ、行政官が法令解釈を間違っている場合が稀にあります。その場合もやはり、法令解釈の専門家である建築士に依頼しないと、なかなか交渉そのものが難しいことになります。

 

また、時々、消防署の立入検査の結果通知で建築基準法違反を指摘される場合があります。

消防署は、消防法によって存在しているので、建築基準法について指導する権限はないのですが、消防署の査察管は、建築基準法にもかなり精通しています。消防署からの結果通知に建築基準法違反について書かれることがありますが、それについて

「消防署の言っていることだから、建築基準法は無視して、消防法に係るところだけ是正しよう」

などと言い出すかたがいます。

しかし、多くの消防庁管内の内規で

「法令に基づく、建築基準法違反を発見した場合には建築行政(特定行政庁の建築指導課)に通報しなければならない。」

というものがあります。つまり、消防署の通知に建築基準法違反が書かれていたら、その内容については建築指導課も知っているということになります。消防署の指導に従って、建築基準法違反を是正して報告すれば、そのことも建築指導課が情報を共有します。

ところが、消防署の通知に対して、建築基準法違反を是正しなければ、是正しない旨が、建築指導課に通報されます。そうすると、今度は建築指導課監察官が現場にやってきます。

今度は本当の建築基準法の監察官で、建築基準法の番人みたいな人がやってくるわけです。消防が通知した建築基準法以外の建築基準法違反まで指摘されて、余計に多くの是正を求められることになりますし、建築基準法第12条5項に基づく報告書を出すことになったりすると、その手続きの煩雑さもあり、こうなってくると請負ってくれる建築士を探すのにも往生することになります。当然に報告費用や是正費用も高額になってきます。

 

この様に違反建築を指摘されたら、すぐに違反建築の是正に詳しい一級建築士に相談する。口頭での行政指導レベルの段階で、一級建築士が介入すると、自主是正(所有者と建築士で責任をもって適法な状態にする)となり、今後、行政が介入してこないという場合もあります。

 

行政から指摘を受けたら、自分で対応しようとしないで、まずは一級建築士にご相談を下さい。

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主な違反建築(違法建築)の種類

連載シリーズ 【 主な違反建築(違法建築)の種類 】 第 1 話 / (全 4 話)

「違反建築の判別は不動産屋(宅建士)では、殆どできない。」

ということを前提に読んで下さい。

 

まず、建物を作る建物手順をおさらいしておきましょう。

 

建築士に依頼して確認申請を出してもらう。

確認申請とは建設予定地に建築基準法に適合している建物の図面を作成し、その他の書類を添付して、確認検査機関(特定行政庁や指定確認検査機関)に申請を行い、その内容が建築基準法等に適しているかを確認してもらうことです。この一連の作業が終わるまで工事に着手することはできません。

中間検査(建物の規模によっては無い場合もあり)

これは、基礎の鉄筋工事や上棟(骨組みが組みあがった時点)で確認検査機関に確認申請の図面通りに建物が出来ているかを検査してもらう物です。

完了検査

建物が出来上がった直後に建物が確認申請図通りに出来ているかを確認検査機関に調査してもらうものです。

 

 まず、違反建築でよく出てくるのが、

1.建ぺい率超過

2.容積率超過

3.越境

4.建物を建ててはいけない場所に建物が建てられている。

 ※ 用途の違反、市街化調整区域での建築など

5.接道義務違反

6.完了検査を受けていない(検査済証)がない。

 

この6点です。

1~3の殆どは、建築士に相談せずに、気軽に施工会社などに依頼して、リフォームついでに増築をしてしまった時や、庭や屋上に倉庫を作ってしまったり、ベランダに庇を付けたり、駐車場や駐輪場に屋根を付けてしまったりというケースが多いです。ホームセンターで売っている様な倉庫でも一定の規模になると増築になります。

4の建物を建てていけない場所に建物を勝手に建ててしまうパターンの殆どが、市街化調整区域に勝手に建物を作ってしまうパターンです。この場合は確認申請そのものが行われてないケースが多いです。住宅の他、選挙事務所や簡易な倉庫や工場を建ててしまうケースもあります。

また、第一種低層住宅地域や第二種低層住宅地域などに、専用住宅を隠家的居酒屋みたいな形で飲食店に変更しまうパターンや、市街化調整区域で特別に許可を取って、専用住宅を建てたものを許可なく、他の用途に変えてしまうケースが見受けられます。

5の接道義務違反については3つのパターンがあります。建物というのは建築基準法に認められた4m以上の道路に2m以上(法令や条例などで厳しくなってる場合もあり)に接していなければなりません。それが出来ていないにも関わらず、確認申請を出さずに建ててしまうケース、元々は接道していたけど、道路に接道していた敷地の一部を売却してしまって、接道しなくなってしまったケース、建築基準法以前から建っている建物のケースのいずれかです。ただし、2mの接道がとれていなくても、特別な事情がある場合などで、特定行政庁が認めた場合でも、再建築する場合には認めないということが多くあります。

6の完了検査を受けていないパターンですが、最近(令和5年現在)に建てられた建物の完了検査済証取得率は約98%と極めて高く、新築で完了検査済証が無いということは、あまり見かけません。しかし、平成20年で約91%、平成11年では約45%、平成6年では約34%です。これ以前は有意なデータが手元に無いのですが概ね平成56年頃~平成6年頃は同じような完了検査率で推移していました。1970年代以前は20%前後の年もあったという状態です。

完了検査は建築基準法で必ず受けなければならないことになっており、これは建築基準法発足時(昭和25年11月23日)から変わっていませんが、特に行政が取り締まることもなく、また、以前は確認申請さえとっていれば、住宅ローンも実施されていたことから、建築主や建築士の意識が甘かったというのが実情です。

しかし、建築基準法第7条の6第1項に

「当該建築物の建築主は、第7条第5項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならない。」

とあり、そもそも完了検査を受けないで建物を使用することは禁止されています。ただ、前述した通り、完了検査を受けていない建物があまりに多い時代があったので、完了検査を受けていない過去の建物を直ちに使用禁止とした事例は、個人的には見たことがありません。

 

実はここまでは、不動産の取引などで、ちょっと気がきく不動産屋さん(宅建士)でも気が付くことです。

 

しかし、実際の行政が取り締まっている違反建築の順位は大きく異なります。

令和2年度で行政が摘発した順位の1位から10位を見てみましょう。

 

1位 確認申請に関する違反(建築基準法第6条違反)

 これが圧倒的に多く、前述にも書いた通り、確認申請を出さずに勝手に増築をしたり用途変更をしたりするものです。ただ、これをやると、そもそも、建てて良いか、建築基準法に適合しているかの確認もしてないので、他の違反建築部分もあることが多く、複合的な違反になっていることが多いです。

2位 構造に関する違反(建築基準法第20条違反)

私自身が見ていても、構造に関する違反は大変多いと思うのですが、これについては、宅建士や一般の方では殆どの方が、見ただけでは解らないと思います。大小さまざまな違反があるのですが、増築をする際に構造の確認をせずに屋上に勝手に物を建ててしまったり、部屋と部屋の間の耐力壁に穴を開けてしまったり、場合によってはコンクリートブロックの塀の構造が違反しているケースなど様々です。建築の構造に関しては、多岐に渡って細かいルールがあるのですが、見た目で判断しにくいことや、「これくらいは大丈夫だろう」という認識が、極めて危険な行為をしているケースが多いので行政に摘発されています。

3位 避難経路と消火措置に関する規定(建築基準法第35条違反)

 これも非常に多い違反です。これは3階建て以上、1000㎡以上の建物、もしくは不特定多数の人が利用する建物(店舗などの特殊建築物)に適用される法律です。特に排煙に関する規定が守られてない店舗が非常に多く、地下室を細かい部屋に仕切って使っている場合などは、ほぼ違反建築と言えます。また、非常用照明が適切な位置にない、もしくは作動していない等も多く、また、適切な通路幅員が取れていない建物が非常に多くあります。また、摘発されてないだけで、実際の繁華街の飲食店、風俗店やラブホテルなどに多くの違反が見受けられます。火事などの有事の際にはこれが守られてなくて、多くの犠牲者を出す違反行為ですが、やはり、建築士や消防署の職員以外の方以外では、なかなか気が付かない項目です。

4位 特殊建築物の防火区画(建築基準法第27条・第36条)

 これは3位と同じく防火に関することですが、これも極めて違反事例の多い項目で、また、同様に摘発されていないだけで、実際には多くの違反が存在します。3位は火事などの有事の際に人が避難できる様にする法令に対して、こちらは避難する時間を確保するための法令と言っていいでしょう。火災などの際に火や煙は、我々が考えている以上に一瞬にして、人の命を奪います。特に一酸化炭素中毒は場合によっては数十秒で人の命を奪います。

火災の発生場所から他の場所に、火や煙が一定時間(避難するまでの時間)、届かないようにするための非常に重要な法律です。

 しかし、第3位の規定と同様に極めて難解な法令で、一般の方には何をしていいのか、よく解らないことが多く、建築士の監理が入らないで、ご自身がDIYで作った店舗や内装工事業者にだけ任せて作った店舗などでは、多くの違反状態が見受けられます。

 そもそも事務所ならば耐火構造にしなくてよかったけど、事務所を借りて、物販店舗や飲食店に改装した際に耐火構造の建物にしなければならないものを、そのまま使っているというケースもよくあります。

 消防検査で消防署員に指摘されるケースもあります。最近の消防署員の方が非常によく建築基準法を理解していて、指摘してくれるのですが、消防署は消防法が管轄なので、建築基準法に関しては管轄外なので、強制力をもって行政指導を行いにくいという実態があります。

5位 道路内建築物の制限(建築基準法第44条)

これは、冒頭にあげた越境です。特に多く見られるのが空中越境です。簡単に言えば、屋外広告物やアンテナなどです。隣地に越境しているのは、エアコンの室外機や換気扇のフードや雨どいです。

実際に、道路に越境している看板はよく見かけると思います。しかし、これは、道路使用許可や屋外広告物条例などを遵守している場合に限ります。屋外広告物などは、地上から何m以上に設置しなければならない、敷地から突出して良い長さなどが、地域の条令で定められています。さらに4m以上の広告物(広告塔)は工作物の確認申請が必要で買ってに作れません。

また、建物は前述の通り4m以上の道路に接していなければなりません。4m未満の場合は、道路の中心線から2m後退しなければならないのですが、完了検査後にその後退した部分に塀を作ってしまったりすると、違反になります。

これも建築士以外の一般の方では細かい所で見落としがあったりします。

6位 防火地域及び準防火地域指定内の建築物(建築基準法第61条)

よく見かける違反です。特に多く見かけるのが、防火地域や準防火地域は隣地から、1階で3m以内、2階以上で5m以内にある開口部は、防火設備という処置をしなければなりません。例えば、建物内駐車場の防火シャッターが壊れたから撤去してしまったり、ガラスが割れたことで、本来網入りガラスにしなければならないものを普通のガラスに変えてしまったりすることで違反状態になっているケースをよく見かけます。

この法令は自分の建物が火災になった際に隣地の建物に火災が広がらないようにするためのものですが、これを守っていないために、隣地の建物を火災に巻き込んでしまったり、街ごと燃えてしまうような大火に発展するケースもあります。

違反の順位としては上位ではありませんが、摘発されにくい違反なので、実際に違反している建物は非常に多くあります。

7位 建ぺい率超過(建築基準法第53条)

 これは冒頭にも書いた、庭に物置を設置した場合や、カーポートや駐輪場に屋根を掛けたことによって、建築面積が規定される面積を超過しているケースが多くあります。この場合、物置やカーポートの屋根が登記されていたりすると、確認申請面積と明らかに違うので、不動産屋さん(宅建士)の方が気が付いたりすることもできます。

 わかりにくいのが、マンションなどの外部廊下やビルの屋外階段などに転落防止や外囲部からの侵入防止、外部からの視認防止のために、外部廊下の開口部を塞いでしまうケースです。外部廊下やバルコニーというのは十分な開口(平面図上で50%以上)の開口部がなければなりません。十分な開口が取れている外部廊下などは建物から1mは建ぺい率に含まれませんが、目隠しなどを設置すると、内部廊下となり建蔽率の対象になります。また、出幅のある庇などを後から付けることで建蔽率の対象となったりします。

 この場合、登記面積との差が発生しないので、一般の方が見落とすケースが多いです。

8位 用途違反(建築基準法第48条)

 これは冒頭にも書いた通り、第一種低層住居専用地域、第二種住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種住居専用地域などで、元々は住宅だったものを隠れ家的居酒屋や古民家風居酒屋に改装してしまうケースです。ただ、飲食店の場合、ちゃんと食品衛生法を守って、飲食店の開業許可を提出する、消防法の防火対象物使用開始届を提出すれば、その時点で発覚します。しかし、最初はお知り合いだけを相手にしていたのが、徐々に不特定多数の人を相手にしてしまって、各種届出を怠ると、違反のまま継続してしまって、後に行政パトロールや消防パトロールで発覚するケースもあります。

 飲食店ならば発覚しやすいのですが、物販店、動物病院、クリーニング店、塾(茶道教室や囲碁教室などを含む)なども、かなりの規制があるので注意が必要です。アパートの一室を借りて、行っている塾などで多くの違反が見受けられます。

 最近、多いのがホテル(宿泊施設)やシェアハウスです。東京オリンピック前に多くの外国人旅行客が来ると見込んで、住宅を宿泊施設で貸す人が出現しました。しかし、専用住宅は不特定多数の人に貸すのには、脆弱な防火構造、消防設備です。その為、住宅宿泊事業法に適用させる為にもある程度の消防設備を備えなければなりません。しかし、住宅宿泊事業所は年間の半分の日数しか行えません(行政区によってはさらに制限がある)。その為、住宅事業法から、旅館業への切り替えを行う事業者がいるのですが、ホテルや旅館は第一種低層住居専用地域、第二種住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種住居専用地域では出来ません。

 また、元々、事務所だった場所を遊技場(カラオケボックス)にするケースです。第一種住居地域では1500㎡以下の事務所が出来ますが、遊技場は面積に関わらず、第一種住居地域ではできません。

9位 屋根や外壁の構造(建築基準法第22条、第23条)

 この違反は新築の適法に建てられた建物をそのまま使っている分には、通常では発生しません。ある地域が昔は防火地域や準防火地域の指定がされていなかった場所で、防火地域や準防火地域の指定がされた時に、修繕の為に屋根の全面貼替や外壁の全面貼替を行った場合や増築を行った場合に防火地域や準防火地域の仕様にしなければならないところ、建築士に依頼せずに、確認申請を怠ったためにそれに気が付かずに施工してしまうというケースがあります。

 増築について確認申請を出さなければならないことを認識している人は多いのですが、屋根の全面貼替や外壁の全面貼替は、大規模な修繕に該当する為、確認申請が必要です。(ただ、塗り直すだけなら、確認申請は不要です。)

10位 容積率超過(建築基準法第52条)

 これも確認申請通りに建物を建てて、それを維持していれば発生するものではありません。

 多くのケースで見られるのは、容積率の緩和対象になっている部分を緩和の対象ではない状態にしてしまった場合です。屋内駐車場だった部分を部屋にしてしまったケースや、外部廊下やベランダを壁と屋根で覆ってしまったケースにより容積率の緩和を受けられなくなってしまったケースです。

 また、屋上や余っている敷地に増築をすることで容積率を超過しているケースもあります。

 

この様に、一般的に建ぺい率や容積率など、一般の方でも気が付きやすい違反よりも、建築士など、相当な専門的な知識がないと気が付かない違反建築が多数存在します。

以前はあまり細かいことを気にせずに建物という不動産を取引できていても、徐々に不動産取引の際に建築基準法違反がないかをチェックして、違反があれば融資しないという金融機関も増えています。不動産業者の重要事項説明を見る限り、違反が無い様な建物でも多くの建物が違反状態にあるので、不動産の取引をする場合には、建築士に違反状態がないかを確認してもらうことが大切です。

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建築基準法適合状況調査の流れ(検査済証の無い建物を適法化する方法)

本内容は2014年12月6日に掲載されたものの修正版です。

① 確認済証の副本と確認申請時の図面の有無を確認する。

副本と図面がある場合は②へ進む。無い場合は③へ進む

② 一般木造住宅2階建て200㎡未満の建物以外の場合は構造計算書の有無を確認する。

構造計算書が無い場合は④に進む。

一般木造住宅2階建て200㎡未満の建物、もしくは構造計算書がある場合は⑤に進む。

③ 建築士事務所(出来れば一級建築士事務所)に依頼して、現況図面の作成を依頼し、現況図面作成後に④に進む。

④ 現況図面をもとに構造計算を実施する。

⑤ ①の確認申請時の図面もしくは③で作成した現況図面が、建物が建てられた時点の建築基準法に適合しているかを一級建築士に確認してもらう。

この時点で、建築基準法に大きく違反しており、是正するのに建て直す方が、経済的に有利な場合には、建築基準法適合調査を中止する。

概ね建築基準法に適合している、もしくは軽度の違反(建て直すよりも是正する方が遥かに経済的に有利な違反)がある程度である場合には、⑥に進む。

⑥ 依頼した建築士に『建築基準法適合調査』を第三者機関に依頼してもらう。

この時点で依頼された建築は特定行政庁との協議を行い、第三者機関に議事録で報告を行う。⑦に進む。

⑦ 第三者機関が『建築基準法適合調査』を行い、『建築基準法適合調査報告書』のドラフトを作成する。

不適合箇所が無ければ、『建築基準法適合判定合格状況調査報告書』が発行されます。

不適合箇所がある場合は⑧に進みます。

⑧ 依頼した建築士に不適合箇所についての是正方法等を第三者機関と協議して貰い、不適合箇所を是正する工事を行う。その是正箇所を依頼した建築士に写真などを取って貰い、第三者機関に報告してもらう。是正完了を第三者機関が認めてもらえば『建築基準法適合判定状況調査報告書』が貰えます。

建築基準法適合判定状況調査報告書は、不適合でも貰えますが、報告書の中に『不適合』箇所の指摘が残ったままになると、その効力がありません。 この場合は違反建築物である証明書にしかなりませんので注意が必要です。

ただし、『建築基準法適合調査』が出来るようになったのは、平成26年7月2日の国土交通省発表のガイドラインからで、すべての建築士事務所が引き受けてくれる訳ではありません。

価格については、建物の規模、築年数、構造、確認済証の副本の有無、確認申請時の図面の有無、建築基準法の技術的指針への違反の程度によって大きく異なります。

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「民泊」、建築基準法や消防法に注意が必要

本内容は2016年4月13日に掲載されたものの修正版です。

平成28年4月1日に旅館業法施行令の一部が改正され、通称「民泊」と言われるサービス(以下、「民泊」と言う)の中でも小規模なものが出来るようになった。今までは客室が全体として33㎡以上あることや玄関帳場もしくはフロントの設置が必要であったが、10人未満の民泊を行う場合に限り、一定の規制が緩和された。しかし、建築基準法や消防法までが緩和された訳ではない。また、当然だが区分所有のマンションなどでは、管理規約などが優先されることは言うまでもない。今回は、民泊を行うにあたり、旅館業法の他に建築基準法や消防法の規制を受けるということを書いているが、その他にも各自治体などの条例等の規制を受ける場合がある(殆どの自治体で何らかの条例がある)ので、保健所の他に各自治体や消防署には必ず事前協議に行くべきだろう。

さて、下記表を見てもらいたい。今回の法改正は民泊に対して、旅館業法の一部が緩和されただけであり、建築基準法や消防法が緩和された訳では無い。旅館業法が緩和されても、安全性が排除されてよい訳ではない。

まず、建築基準法についてだが、「200㎡以下なら、用途変更の確認申請を出さなくてよい」から、建築基準法について、何ら確認をしなくてよいと考える傾向にあるが、200㎡未満の場合、確認申請を出さなくて良いだけで、当然だが建築基準法は守らなければならない。用途地域によっては、民泊が出来ないエリアもある。下記表のように分譲マンションの一室で民泊を行うことによって、建物全体の容積率がオーバーすることになれば、そのマンションそのものが違反建築になり、他の区分所有者の権利を侵害することにもなる。

さらに、防火地域外にある3階建て以上の木造(鉄骨造の一部を含む)の場合、耐火構造になっていない可能性が高く、その場合は、かなり大がかりな工事を必要とするため現実的には難しいことを覚えておきたい。

民泊を行う場合でも消防法についても特に注意を払わなければならない。2015年5月17日未明に神奈川県川崎市で起こった簡易宿所の火災により、消防法、建築基準法違反により大参事になることが浮き彫りになった。以降、消防署も簡易宿所に関して、以前にも増して注意を払っている。そこで、住宅を民泊にする場合に設置しなければならないものがある。

下記表の通りであるが、300㎡を超える様な民泊の場合、宿泊人数が10人を超える可能性が高いので、改正前の旅館業法が適用される。注意を払わなければならないのは、宿泊者が10人未満であっても、民泊になる部分が建物の10%を超えると、消防法に於いては、「特定防火対象物を含む複合用途防火対象物」とみなされる。例えば、もともとマンションの住人が50人未満の場合、防火管理者が設置されていないが、民泊を行った場合、マンションの住人と民泊の収容人員の合計が30人を超えると防火管理者が必要となる。また、民泊を営んでいるフロア以外にも誘導灯が必要になる。誘導灯は専用回路などの配線工事も必要になってくるので注意が必要だ。専用住宅を利用して民泊にして、30人以上の収容人員がある場合には、2階以上(避難階より上階)には避難器具が必要になってくる。

民泊をする部分が300㎡を超えると、改正された旅館業法ではなくなるが、旅館業法で定める玄関帳場やフロント以外にも、全ての住宅部分の居室に自動火災報知器(全ての火災報知器が連動しているもの)が必要になってくるなど、さらに厳しい規制もある。

この様な規制があるのだが、報道発表などで旅館業法の改正になった部分だけを見てしまうと、民泊が簡単にできる様になったと勘違いし、一戸建てや共同住宅の空室を使ってすぐにでも民泊が出来るように感じるが、実際には旅館業法により、小規模な簡易宿所が出来る様になっただけで、何でも民泊が出来るという訳ではない。

そして、旅館業法の緩和により、仮に旅館業法の許可が受けられる様な物件であっても、建築基準法や消防法によって民泊が出来ない物件を、「民泊可能」などと書いて、不動産の広告を行うと宅地建物取引業法32条の「誇大広告」や同法47条の「不実のことを告げる行為」に抵触する可能性があるので宅地建物取引業者も注意が必要である。

旅館業法 宿泊数10人未満(新基準) 宿泊者数10人以上
・3.3㎡/人以上・玄関帳場・フロント不要(※1) ・客室の合計が33㎡以上・玄関帳場・フロント必要
建築基準法 民泊部分が200㎡未満 民泊部分が200㎡以上
確認申請の手続きが不要(一部行政機関は必要な場合有) 確認申請の手続きが必要(※2)
【民泊にする場合の共通事項】(確認申請の要否に関わらず厳守)・第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域では設営不可。・第一種住居専用地域では3000㎡以上は設営不可・300㎡以上の場合は準耐火構造(木造建物の場合注意)
【専用住宅を民泊にする場合】(確認申請の要否に関わらず厳守)・建物が3階建て以上の場合、耐火構造にしなければならない。防火地域以外の木造建物や鉄骨系の建物の場合、多額の費用が掛かる場合が多い。
【共同住宅を民泊にする場合】(確認申請の要否に関わらず厳守)平成9年9月1日以降に確認申請を行っている場合、民泊にした部分の面積の割合に応じて、共有部分の面積が容積率対象面積になるため容積率オーバーになる可能性がある。
消防法   建物全体の10%以上 300㎡以上 建物全てを民泊にする 左記の全てに該当しない(※3)
防火管理者 収容人員が30人を超えたら必要
消化器 150㎡以上で必要
避難器具 収容人員が30人を超えたら避難階より上階は必要(※4)
自動火災警報装置設備 民泊部分は設置。建物全体が300㎡以上であれば、その他の居室も設置。(※5) 左記に該当
消防機関へ通報する火災報知設備 建物全体が500㎡以上で設置。(※6) 左記に該当
誘導灯等 全階の階段部分(設置必要箇所) 民泊を設置する階のみ
※1 代替設備を設け、善良の風俗を保持出来る処置、事故などの緊急時に迅速に対応の為の設備※2区分所有の共同住宅等で、区分所有者Aと区分所有者Bがそれぞれ簡易宿所を営もうとする場合、各々の合計が100㎡を超えると確認申請が必要となる。(一部の行政区は緩和規定等あり)※3 例えば、延床面積が500㎡のマンションの30㎡部分だけを民泊として、簡易宿所にするのであれば、①~③のどれにも当てはまらない。※4 既存建物が共同住宅ならばもともと設置してあるが、専用住宅の場合は新たに設置が必要。※5 既存建物が共同住宅として、500㎡以上あるのであれば、もともと自動火災警報装置設置の義務がある。民泊以外の部分の住人の許可をとって自動火災警報装置を各居室に設置するのは困難である。

 

※6 既存建物が共同住宅として、1000㎡以上あるのであれば、もともと消防機関へ通報する火災報知設備の義務がある。

 

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エステティックサロンは用途変更が必要か?

連載シリーズ 【 エステティックサロンは用途変更が必要か? 】 第 12 話 / (全 16 話)

本内容は2016年9月25日に掲載されたものの修正版です。

 

掲題の問合せが非常に増えている。そして、色々な見解があるので少し整理しておこうと思う。

 

その前に長い文章を読むのが面倒だという人の為に結論から書いておこう。

1.一般的に下記の施設・施術をしなければ、エステティックサロンはサービス店舗に該当するため、特殊建築物に該当しないので、用途変更の確認申請は不要。

2.医師等が施術を行い、入院施設を有している場合は、有床診療所となり、特殊建築物になり200㎡を超える場合は用途変更の確認申請が必要となる。

3.浴室、サウナ、岩盤浴、泥風呂などを有している場合は、公衆浴場となり、特殊建築物になり200㎡を超える場合は用途変更の確認申請が必要となる。(ただし、主たる部分が明らかに別の用途、例えばフィットネスジムなどの浴室で不可分の関係にあり、公衆浴場法が適用されないような場合には不要となる。公衆浴場法は保健所の管轄なので事前協議が必要)

※用途変更の確認申請が必要無くても各種法律は守らなければならない。

 

そもそも、エステティックサロンの定義が難しいが、総務省の日本標準産業分類2002年(平成14年)3月第11回改訂によって、分類番号8292(現在7892)として、独立したサービス業と定義された。

しかし、その定義も曖昧で、「手技又は化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体型を整えるなどの指導又は施術を行う事業所をいう。」となる。

 

と言う訳で、エステと聞いて、不埒なことを頭に思い浮かべた方は、それを含まないので、その話題は以下に出てこないので期待しないで欲しい。

 

エステティックサロンの実態だが、色々なサービスが行われている。その色々な内容の全てを把握している訳ではないが、定義にもあるように

・ 皮膚の美化

・ 体型を整える

この2点が目的であると考えて良いだろう。健康の増進を進めるスポーツジムはエステティックサロンに該当しないが、ダイエットを目的として、スポーツ器具を使っている場合は、エステティックサロンに該当するという曖昧な話になる。

 

通常のエステティックサロンは建築基準法(以下「法」という)で言う特殊建築物に該当せず、「サービス店舗」という部類に分類されるので用途変更の確認申請は不要であると解される。しかし、サービス内容の実態によっては、必要となる場合がある。

皮膚の美化が目的で、皮膚科の医師が薬事法による薬を使う施術や、体型を整える為に美容整形と言われる形成手術を行うのであれば、これは診療所になる。入院施設を伴わない診療所は、やはりサービス店舗と同じ扱いで良いのだが、それによって入院施設を伴うのであれば、有床診療所(20床以上なら病院)となり、特殊建築物になる。つまり、有床診療所にするならば、法87条の用途変更に該当し、200㎡を超えるならば、法6条により確認申請が必要となる。

ここまでは、異論の無いところであろう。

 

問題は他のサービスの場合である。

 

先日、ある特定行政庁に当社のスタッフが「韓国式ヨモギ蒸し」を施術する施設が特殊建築物に該当するかを問い合わせたところ、「エステティックサロンであり「サービス店舗」ではないか。」という回答がきた。

そもそも、「韓国式ヨモギ蒸し」がどんなものかも解らなかったであろうことは容易に想像がつく。実際に私も今回の件で初めて知った。

どんなものかを、簡単に言えば、穴の空いた椅子の下に、蒸し器を置き、その蒸し器にヨモギを入れて、人はその椅子に座り、首から下の体をその椅子ごと、ポンチョの様なものを被せる。そうすると、ヨモギ成分の蒸気がポンチョの中に充満するという形式のスチームサウナである。効能などは詳しくは解らない。

では、これが特殊建築物に該当するかどうかを検討する。

前記の説明の通りで「蒸し器を使うスチームサウナ」であれば、当然に公衆浴場に該当するかを検討しなければならない。

ちなみに、法別表1(4)より、建築基準法施行令(以下「令」という)115条の3の三に公衆浴場は特殊建築物と定義されている。

さて、建築基準法で言うところの公衆浴場とはどんなものかというと、これについて先人が疑問に思い、ちゃんと建設省(現在の国土交通省)に問合せをした記録が残っている。

 

昭和34年住指発第126号

公衆浴場の解釈

昭和34年12月14日

建設省住宅局建築指導課長から兵庫県土木建築部長宛

(照会)

一 法別表第3(い)項第6号(現別表第2(い)項第7号に相当)の公衆浴場とは、公衆浴場法第1条にいう公衆浴場と解するが、特殊浴場(ヘルスセンター、温泉会館又はトルコ温泉等)も公衆浴場と解してよろしいか。

二 法別表第3(い)項第6号(現別表第2(い)項第7号に相当)の公衆浴場に附属する休憩室、娯楽室又は遊興を伴わない軽飲食店を併設したものは、同項第8号(現同項第10号に相当)の附属するものと解してよろしいか。

三 法別表第3(い)項第8号(現別表第2(い)項第10号に相当)の附属するものとは、本家と同一むね又は別むねの如何にかかわらず、一構えの敷地内のものは、附属するものと解してよろしいか。

(回答)

一 法別表第3(い)項第6号(現別表第2(い)項第7号に相当)の公衆浴場とは、公衆浴場法第1条第1項に規定する公衆浴場をいう。ただし、お尋ねのような場合には、公衆浴場に同表(い)項各号に該当しない各種の施設が併設される場合が多いが、これら各種の施設については、法第50条第1項(現第48条第1項)の許可が必要であるから念のため。

二 併設される部分の用途、規模、使用状況等により具体的な事例について判断すべきであるが、通常、ヘルスセンター等における大規模なものは、法別表第3(い)項第8号(現別表第2(い)項第10号に相当)に該当しないものと解される。

三 同一棟であるか、別棟であるかは、「附属するもの」か否かの別に、直接の関係はない。

(注) 特殊浴場については、昭和45年の法改正により、法別表第2(い)項第7号で「個室付浴場業」が除外され、立法的に解決された。

トルコ温泉は現在のソープランドに該当します。

というわけで、公衆浴場法第1条第1項に該当するものが、法でも公衆浴場になるわけだ。では、公衆浴場法第1条第1項とは

 

第一条  この法律で「公衆浴場」とは、温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設をいう。

 

ここで「その他を使用して」と「入浴」という言葉の定義が難しいのだが、これについては、公衆浴場法を所管する厚生労働省が回答している。

 

公衆浴場法概要(抄)

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei04/04.html

公衆浴場法(昭和23年7月法律第139号)

 

1 定義

公衆浴場は、「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」と定義されているが、これらの営業を行う場合には公衆浴場法に基づき都道府県知事の許可を得なければならない。

 

2 適用

公衆浴場法の適用を受ける公衆浴場は、一般公衆浴場とその他の公衆浴場がある。

(1) 一般公衆浴場

地域住民の日常生活において保健衛生上必要なものとして利用される施設で、物価統制令(昭和21年3月勅令第118号)によって入浴料金が統制されているいわゆる「銭湯」の他、老人福祉センター等の浴場がある。

(2) その他の公衆浴場

保養・休養を目的としたヘルスセンター・健康ランド型のもの、ゴルフ場やアスレチックジム等スポーツ施設に併設されるもの、工場等に設けられた福利厚生のための浴場、サウナ、個室付き公衆浴場、移動入浴車、エステティックサロンの泥風呂等がある。

他法令に基づき設置され衛生措置の講じられているものは公衆浴場法の適用外とされており、労働安全衛生法による作業場に設けられた浴場や労働基準法による事業附属寄宿舎、旅館業法の適用を受ける宿泊施設の浴場が該当する。また、専ら他法令、条例等に基づき運営され衛生措置の講じられている、病院や老人保健施設のデイ・ケアとして使用する浴場、国や自治体によって寝たきり老人等を対象に入浴介助を伴った入浴サービスに使用される浴場は許可の対象外となる。

なお、遊泳プールに付帯する採暖室・採暖槽は浴場ではない。また、もらい湯等は業(反復継続の意思と社会性を持って行われること)として行われていないものは対象にはならない。

 

つまり、サウナやエステティックサロンの泥風呂等は、立派な公衆浴場なのである。よって、エステティックサロンで美容が目的であっても、「蒸し器を使うスチームサウナ」等を使うのであれば、その建物は特殊建築物と解釈できる。

 

ここで危険なのは、建築士が事前相談などで、特定行政庁の建築課などに問合せをして、今回の様に

「特殊建築物でありませんね」

などと、ロクに調べることもなく安易に回答してくる行政官の言葉を信じると大変なことになりかねない。

「韓国式ヨモギ蒸し」が特殊建築物に該当しないというならば、前述の法の構成からすれば、公衆浴場法に基づく、営業許可も不要ということになりかねない。

知事(保健所のある市や特別区は市長もしくは区長)の許可が必要なのに、無認可営業を行うと営業停止や罰金刑が待っている訳だが、建築士では責任が取り切れないような問題だし、ミスリードをした行政官も簡単には責任を取らないだろう。

事業者の方は、より詳しい建築士に確認するか、保健所、役所、消防署など関係各所の全てに確認すべきであろう。行政庁は基本的に自分の部署の法律以外は詳しくないが、事業者は全ての法律を守らなければならないことに注意が必要だ。

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用途変更の確認申請は200m2未満ならしなくていいのか?

連載シリーズ 【 用途変更の確認申請は200m2未満ならしなくていいのか? 】 第 4 話 / (全 16 話)

本内容は2015年8月1日に掲載されたものの修正版です。

タイトルの件ですが、結論を先に書くと、

『その建物が新築時の用途から建築基準法の別表第1の(い)の用途に変更しようとする場合、その部分が建物全体で200㎡未満であれば、原則として確認申請は不要』

※建築基準法の別表第1の(い)=用途変更の確認申請を出さないといけない業種(用途)とは?

と、面倒な書き方をしているのですが、実は非常にグレーな脱法行為に近いことをしている人が大勢いるので警告の意味も込めて出来る限り、正確な表現で書いています。ただし、書いてあるように原則です。特定行政庁(市町村)によっては100㎡未満でも用途変更を求めてくる場合もあります。また、書いてあるように建物全体で100㎡未満ならですから、例えば各階80㎡の10階建てで新築時の用途が事務所だったビルがあり、最初に1階(80㎡)を物販店舗に用途変更する場合は確認申請はいりませんが、その後に2階を用途変更する場合には1階を含めて用途変更の内容(遵法性)の確認を含めて確認申請が必要になります。

当社によくある質問で

質問者A「200㎡以上あるんですけど、用途変更する部分を200㎡以下に抑えれば、用途変更の確認申請はいらないんですよね?」

私「建築基準法を守れば原則としてそれで良いですが、それが難しいので、建築士の方に見てもらう事をお勧めします。」

これでご理解頂ければ、良いのですが、ここから、とんでもない勘違いをしている方もいるので、今までにあった質問の事例を交えて解説します。また、とんでもない勘違いをして質問をしてくる方の中には、現役の一級建築士の方もいらっしゃいます。

まず上記の回答をすると多くの質問者が

質問者「もともと建築基準法に守られている建物の使い道を替えるだけだから、建築基準法には触れないですよね?」

と切り返してきます。この様な考え方を持っているかたは迷わず用途変更のことを理解している建築士に相談することをお勧めします。

まず、建物というのは使い道によって、構造、設備、避難経路、耐火性能、消防設備など様々なものが変わってきます。ですから、

「事務所を明日から、飲食店に変更します。」

と、単純に特定行政庁などに届ければ良いというものではありません。また、確認申請をしなくても建築基準法を守らなくて良いとは誰も言っていません。ところが、どうも…

『用途変更の確認申請をしなくてよい → お金を掛けずにそのまま利用できる → 建築基準法を守らなくて良い』

という具合に思っている方が多いようです。そこでいつも言っているのが

私「自転車は運転免許証が無くても乗れますよね?そして軽車両だということもご存知ですよね?つまり、自転車は免許が無くても道路交通法の管理下にあるのと同じで、確認申請を出さなくて良くても、建築基準法は守らなければいけないんです。」

飲食店以外の用途の建物を飲食店に変更する場合、飲食店として、建築基準法をクリアしている内容になっているか、もしくは、飲食店に変更するに辺り、当初の事務所から建築基準法を満たすための構造、設備、避難経路、耐火性能、消防設備などが補完されているかなどを証明しなければなりません。それだけではなく、変更しようとする部分以外の部分が建築基準法に抵触していないかの確認もしなければなりません。実はこのことを理解していないで管理されている建物の場合、この条件をクリアできないことが多々あります。

こんな事例がありました。もう随分前ですが当社に

質問者B「C市D町1丁目の5階建てビルの2階で200㎡以上あるんですが、用途変更する部分を200㎡以下に抑えれば、用途変更の確認申請はいらないんですよね?」

私「そうですけど・・・。建築基準法は守らないと・・・」

質問者B「でも、誰もチェックしないんですよね?」

私「基本的に誰にも迷惑を掛けなければ、建築基準法の検査はだれもしません。あまり酷いと消防検査の際に役所に通報されるということは稀にありますが・・・。」

質問者B「わかりました。要するに誰も来ないんですね!」

咄嗟にこの質問者は確信犯だなと感じました。そして、何年か後に、当社にこんな質問が来ました。

質問者E「C市D町1丁目の5階建てのビルの1階で220㎡あります。物販店を飲食店に用途変更したいと考えていますが、いくらぐらい掛かりますか?」

その後、ビルの概要などを聞いていると、

『どっかで聞いたことあるビルだな?』

と感じました。そう、確信犯が2階を200㎡未満で用途変更の申請をしたビルです。私は質問者Eに

私「そのビルって2階、飲食店になってませんか?そして、2階の一部を使ってないような感じになってませんか?」

質問者E「はい。2階は飲食店です。190㎡ぐらいの飲食店と飲食店とは別の名前の30㎡ぐらいの事務所があります。ただ、その事務所、2階の飲食店の事務所だと思います。従業員が事務所に出入りしているのを何度か見たことがあります。」

案の定でした。私は質問者Eに依頼を受け、その建物が用途変更ができるかを調査することになりました。現地を調査してみるとそして、その2階の飲食店は換気設備や非常用照明などがあきらかに建築基準法に違反している上に勝手に梁に穴を開けて、厨房の換気ダクトを通していました。これは著しく建物の構造を毀損しています。

私は質問者Eに対して

私「このビルは新築時には完了検査も受領しており違法性は無かったと考えられますが、現在、2階の飲食店が違法状態になっています。違法状態にあるビルは行政庁との相談になりますが、最低限、違法状態の解消をしないと、その他の部分の用途変更が出来ません。」

※単純に違法状態を解消するだけではダメで、違法状態を解消する方法やその報告の仕方などは行政庁と建築士が協議して決定されます。場合によっては行政庁が許可しない場合もあるので注意が必要です。建築基準法第10条の対象になるので、使用禁止や除去の対象となっています。誠実な対応をして、使用禁止や除去の命令が出された建物を見たことはありません。

この質問者Eは用途変更というよりも、このビルでの飲食店の営業を断念しました。そして、このビルの所有者に対して、賃貸借契約の白紙解除、ここまでに掛かった費用や営業損失の損害を請求したそうです。そして、何よりも、このビルの所有者が質問者Bに対して

・ 建物を適法な状態で使用していないことによる契約不履行による退去

・ 建物の構造を欠損させたことによる弁償

・ 質問者Eがこの建物を利用できなくしたことによって、所有者が被った損害

この3点を主とした請求をして係争となりました。その結論がどうなったかは解りませんが、先日、そのビルの前を通った時には、2階のテナントは退去していました。

また、この後、建物所有者の方から、

質問者F「うちのテナントが用途変更の際に違反建築をしているらしく、別の場所を貸そうとしているが用途変更ができないという理由で借り手が付かない。どうすれば良いか?」

という趣旨の質問も何件か来ています。

私「違反建築をしたテナントに違反状態を解消するか退去の選択を迫り、もし、物理的に違反が解消できない場合は損害賠償請求になりますが、それについては私の仕事ではありません。必要であれば、当社の方で弁護士をご紹介させて頂きます。」

この場合は、このような回答しかできません。

この事例からも貸主(大家さん、ビルの所有者)も借主(テナント)も100㎡未満で用途変更の確認申請がいらないからと言って、何をやっても良い訳ではないことをよく考えなければなりません。また、仲介の不動産会社、用途変更の経験があまりない設計事務所、役所の建築課(建築指導課、建築審査課など)などに

「200㎡未満は用途変更の確認申請は不要ですから…」

と言われ上記の様なことになった後に当社に

質問者G「私に用途変更の確認申請が不要だと言った専門家の人たちには何ら責任はないんですか?」

と聞かれる方がいます。

私「お気持ちは解らなくはないですが・・・。まず、仲介の不動産業者さんは、概ね建築に関しては素人同然です。中には、建築会社から不動産会社に転身した人や、私のように設計事務所と不動産会社の二足草鞋の人もいますから一概には言えませんが、極端に言えば、宅建士というのは不動産の契約書や重要事項説明書が作れるだけの人です。そして、通常の建築士や役所の建築関係の人というのは、その場における建築基準法のことしか理解していない人が殆どです。不動産に関する原状回復義務や契約不履行などによる損害賠償請求などのこと、つまり、民法や借地借家法については、経験も無ければ知識もない方が殆どです。ですから、聞いた相手が間違っていて、もしくは素人の言うことを鵜呑みにしたということになってしまいます。」

と、お答えすることになります。当初、事業を始める時にはなるべくコストを掛けたくないという気持ちは解ります。そして、それを誰かに確認した時に、自分にとって都合の良い回答をしてくれる人の意見を取り入れてしまう気持ちも解らなくはありません。

また、『契約書に建築基準法に抵触することをしてはならない』などと書かれていなくても、法律を守ることは当たり前なので、日本国の法律に抵触すれば、契約の解除、原状回復、損害賠償の請求が来るのは当然です。

ですから、建物を借りる側も、

『200㎡未満で用途変更の確認申請がいらないから適当にやっておこう』

などと考えていると後々、痛い目に遭う可能性があるので十分に注意が必要です。最近は消防署の予防安全課の方々が建築基準法のことに詳しくなっているので、そちらから行政庁に連絡が行って、違法建築が発覚する場合もあります。平成27年5月に川崎市で発生した簡易宿泊所の全焼火災(9人死亡)の事件後に消防署と行政庁の連絡が密になることも考えられます。

そのことからも、適切に建築基準法及び関連法規を守っておくことが必要になります。できれば、建築基準法に抵触していないことを書類と写真で証拠として残しておくことも重要です。その書類については次回の記事で書きます。

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用途変更の確認申請を出さないといけない業種(用途)とは?

連載シリーズ 【 用途変更の確認申請を出さないといけない業種(用途)とは? 】 第 1 話 / (全 16 話)

本内容は2015年1月28日に掲載されたものの修正版です。

 

用途変更に掛かる費用については、変更後の用途によって違います。それぞれ用途別に価格設定しておりますので、下記のそれぞれから選択して、参照してください。(直接、当社にお問合せ頂いても構いません。)

飲食店・物販店・遊技場等への用途変更は『用途変更の設計費用について~飲食店・物販店・遊技場など~(平成28年より)』を参照して下さい。

老人介護施設・児童福祉施設等への用途変更は『用途変更の設計費用について~老人介護施設・児童福祉施設など~(平成28年より)』を参照して下さい。

簡易宿泊所・旅館・ホテル等への用途変更は『用途変更の設計費用について~旅館・ホテルなど~(平成28年度より)』を参照して下さい。

その他の用途については、直接、当社にお問合せ下さい。


 

用途変更について、

「マンションの各部屋を事務所で使おうと思うのだが用途変更は必要ですか?」

「コンビニが退去して、その部分を事務所で使おうと考えているが用途変更は必要ですか?」

と言うような、質問を受けますが、いずれの場合も、事務所が特殊建築物ではないので、用途変更をする必要性がありません。また、同一グループ同士の場合は、用途変更の必要性が無い場合もあります。(当社では同一グループに該当した事例がありません。公共事業や風俗店の場合だとある可能性があります。)

下記に該当する用途で建物を利用しようとする場合に、その前に利用していた用途が、これから利用している用途と違った場合で当該用途部分が100㎡(現在は200㎡)を超える場合に用途変更の確認申請が必要となります。

例えば物販店の裏にあるバックヤードや事務所を除いた純粋な売り場面積が100(現在は200)㎡未満であっても、バックヤードや事務所が、物販店に明らかに従属している場合は、建築基準法においては、バックヤードや事務所の面積も含みます。

 

用途変更の確認申請が必要な用途(業態)(下記、太文字が該当用途)

カテゴリー1

グループA

劇場・映画館・演芸場

グループB

観覧場

グループC

公会堂・集会場(※1)

※1 結婚式場・披露宴会場・セレモニーホールはこのカテゴリーになります。

グループAの中の用途同士、グループCの中の用途同士は用途変更の確認申請の必要はない。

Ex.1 劇場→映画館 確認申請不要

Ex.2 セレモニーホール→披露宴会場 確認申請不要

Ex.3 演芸場→集会場 確認申請必要

 

カテゴリー2

グループD

病院

グループE

ホテル・旅館

グループF

共同住宅

グループG

寄宿舎(※2)・下宿

グループH

有床診療所・助産所・身体障害者社会参加支援施設(補装具制作施設及び視聴覚障害者情報提供施設除く)・婦人保護施設・老人福祉施設・有料老人ホーム・母子保護施設・福祉ホーム・障害福祉サービス事業・身体障害者更正援護施設・精神障害者社会復帰施設・知的障害者援護施設

※2 社員寮・グループホーム・シェアハウスはこのカテゴリーになります。

グループEの中の用途同士、グループGの用途同士、グループHの用途同士は、用途変更の確認申請が不要です。

Ex.4 ホテルや旅館を買い取って、無届け老人介護施設を営業しようとしている方がいます。介護報酬は、そのホテルに介護者が引越してきた形態を取り、訪問介護報酬を得ているケースが多いようですが、この場合、建築基準法の観点から、ホテルを寄宿舎に用途変更する必要性があります。

 

カテゴリー3

グループI

学校

グループJ

博物館・美術館・図書館

グループK

体育館・ボーリング場・スキー場・スケート場・水泳場・ゴルフ練習場・バッティング練習場・その他スポーツの練習場

グループJの中の用途同士、グループKの中の用途同士であれば、用途変更の確認申請は不要です。

 

カテゴリー4

グループL

百貨店・マーケット・物品販売業を営む店舗

グループM

展示場

グループN

キャバレー・カフェー(※3)・ナイトクラブ・バー

グループO

ダンスホール

グループP

遊技場(※4)

グループQ

公衆浴場

グループR

待合(※5)・料理店(※6)

グループS

飲食店(※6)

※3 昔で言う特殊喫茶、今風に言うとキャバクラ・ホストクラブがこのカテゴリーになります。

※4 パチンコ店、ゲームセンターはこのカテゴリーになります。

※5 酒以外の料理は主に仕出しでまかなう貸席型の業態

※6 料理店は料亭、飲食店は喫茶店や通常の飲食店になります。

グループLの中の用途同士、グループNの中の用途同士、グループRの中の用途同士は用途変更の確認申請は不要です。

 

カテゴリー5

グループT

倉庫

 

カテゴリー6

グループU

自動車車庫

グループV

自動車修理工場

グループW

映画スタジオ(※7)・テレビスタジオ

※7 イターネット動画の撮影やDVDシネマの撮影場所はこのカテゴリーになります。

 

Point1 用途変更の確認申請を出さないと

建築基準法第99条により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。建築基準法第104条二により法人の場合は、さらに法人に対して同額の罰金が付されます。

Point2 用途変更をする際に、確認申請を出さないだけでなく、用途によって耐火構造などの技術的な部分に抵触すると

建築基準法第98条により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります。建築基準法第104条一により法人の場合は、さらに法人に対して1億円以下の罰金となります。

Point3 用途変更の確認申請は建築士でないとできない

時々、行政書士事務所が確認申請を請負う宣伝を見かけますが、建築士法第21条により、用途変更を含む確認申請業務は建築士でないとできません。


 

用途変更に掛かる費用については、変更後の用途によって違います。それぞれ用途別に価格設定しておりますので、下記のそれぞれから選択して、参照してください。(直接、当社にお問合せ頂いても構いません。)

飲食店・物販店・遊技場等への用途変更は『用途変更の設計費用について~飲食店・物販店・遊技場など~(平成28年より)』を参照して下さい。

老人介護施設・児童福祉施設等への用途変更は『用途変更の設計費用について~老人介護施設・児童福祉施設など~(平成28年より)』を参照して下さい。

簡易宿泊所・旅館・ホテル等への用途変更は『用途変更の設計費用について~旅館・ホテルなど~(平成28年度より)』を参照して下さい。

その他の用途については、直接、当社にお問合せ下さい。


 

用途変更については、お気軽にリデベまで、ご相談ください。

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違反建築物に使用停止、除去の命令を出せない理由(2022年9月21日更新)

下記の記事を2014年12月20日に書きましたが、昨今の行政の対応や、私の書き方が悪かったこともあり更新します。

赤字部分が加筆になります。

掲題の問合せを時々受けます。

この問合せで、こちらから聞き返すことがあります。お問合せをしてきた方をAさんとします。

私「Aさんは、その違反建築の為に何か損害を被っていますか?」

この質問で多くの回答は、

1 建物が少し傾いているから怖い。

2 隣地の建物の一部(多くの場合、換気扇のフードやエアコンの室外機)が越境している。

というもので更には、

3 うちの建物は建築士の人に目一杯の高さで設計してもらったのに隣の建物がうちの建物より高いのはおかしい!

という、回答もありました。

さて、この回答、いずれも、その建物が違反建築と即座に言えるものではありません。ただし、1の場合は、違反建築ではなくても隣地に倒壊したら危険な場合は建築基準法(以下、「法」といいます)10条で、特定行政庁が除去、使用禁止、是正などの命令を出すことはできるのですが、しかし、私は今までこれを見たことがありません。1の場合、建てられた当時の建築基準法は、守っているが劣化によって傾いてしまったかもしれません。2の場合は法に違反しているというよりも、民法の権利関係の問題になります。

しかし、完全に法に違反していても、特定行政庁は、是正命令は出せますが、除去や使用禁止の命令をだせないのが実態です。

法第9条では

特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

法第10条では

特定行政庁は、第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる。

とあるので、違反建築やあまりに建物が劣化している場合は特定行政庁の命令で除去命令や使用禁止にできるはずなのですが、これを出せないのには、法的な理由があります。特定行政庁の担当者に

私「違反建築物、若しくは激しく劣化した建物に対して、除去命令とか使用停止命令って出しますか?」

と聞くと

担当者「法9条命令、法10条命令は出しますよ。」

と言います。

私「では、〇〇町〇丁目○番〇号にある、この建物ですが、台帳記録では、完了検査も受けていません。さらに、この建物、すでに柱の一部が腐食して、壁の一部が倒壊し、屋根が傾いている状態で、近隣の方が迷惑しています。ですから、法9条、法10条のどちらでも構わないので、何らかの行政命令を出して頂けませんか?」

と聞くと

担当者「検討します・・・。」

で、大体、何もしてくれません。親切な担当者だと現地まで見に行って、なんとか所有者に注意してくれたりはしますが、除去命令や使用禁止命令というのは私のしる限りでは見たことがありません。

最近は除去命令や使用禁止命令が出るようになってきました。これの理由には大別すると3種類に分けられます。

1.公共性が高く、不特定多数の第三者が利用する建物の場合で、著しく危険性が認められる場合。

2.その建物が倒壊などをした場合に所有者以外にも害は及ぶ可能性が高い、もしくは緊急輸送道路などを塞いでしまう場合。

3.市街化調整区域などで、都市計画法第53条の許可を得ずに建てた建物で、インフラ設備などが整っていない場所に勝手に建築された建物

などで、是正が困難な場合、もしくは是正勧告を無視した場合などには除去・使用禁止命令が出されます。

これは、憲法第29条と憲法第98条の問題があるからです。特定行政庁の担当者は解ってないかもしれませんが、特定行政庁の上司はちゃんと解っています。

憲法第29条

財産権は、これを侵してはならない。

2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。

3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

憲法第98条

この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

2  日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

ちょっと解説すると、憲法第29条で、「財産権に対する国による制約は原則として許されないとしながらも、他人を侵害することとなる場合や、 経済的な弱者を守るためなどの社会的な事情から、合理的な規制を受けることがあること」と規定していることから、その違反建築物が他人に直接的な被害を与えていないと特定行政庁(国)によって、その財産を侵害することが難しいことになります。

ただし、私有財産権も他人の権利を侵害してまでは成立はしない。ということは念頭にいれておいて下さい。

これは、法第9条や法第10条と相反しています。

しかし、憲法第98条で憲法に反する法律は効力を有しないとあるので、法第9条や法第10条が憲法に反している可能性があり、財産権が確立してしまった、つまり完成した建物に対して、簡単に除去や使用禁止命令を出せない訳です。因みに、財産権が確立していない建築中の建物には法第9条命令で工事中止命令が簡単に出ます。また、憲法第29条は他人を侵害する場合は、この限りではないので、明らかに危険な場合は、法第9条、法第10条の命令を出せそうな感じもするのですが、この線引きが難しく、もし安直に認めると、この世から、除去、使用禁止にしなければならない建物が沢山でてしまいます。

ただし、明らかに第三者に迷惑が掛かる可能性があり、昨今の災害などで同様の建築物が事故の対象になっているような建物の場合は、是正が出来ないような状況だと、使用禁止・除去命令が出るようになってきました。

また、市街化調整区域などで、特にインフラ設備が整っていないところに、勝手に排水をするなどをするなどの物件は環境破壊など、やはり第三者に迷惑を掛けることになるので、何らかの処置ができないと、使用禁止・除去命令が出ます。

しかし、除去や使用禁止の命令が出ないからと言って、違反建築をしてよいという訳ではありません。最終的に最も損害を被るのは所有者です。違反建築や明らかにメンテナンスを怠り劣化してしまった建物は法第9条、法第10条に抵触していることになり、財産価値が大きく毀損することになります。もし、建物を売ろうと思っても買い手が付きにくいとか、貸そうと思ってもなかなか借り手が付かないということになりかねません。

ですから、このような状況に陥った場合は、なるべく早めにこの状況を是正することをお勧めします。現在は、「建築基準法適合判定」※というものがあり、費用と時間はかかりますが、多くの場合で財産価値を復旧させることができます。

 

建築基準法適合調査の流れ(検査済証の無い建物を適法化する方法)

 

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用途変更の価格比較について

連載シリーズ 【 用途変更の価格比較について 】 第 11 話 / (全 16 話)

用途変更の確認申請の難しいところは、建築基準法上、現在の法律のどこまでを守らなければならないかの判断をするところにあります。おそらく、用途変更を請負った建築士の方の多くがここで悩んだと思います。そして、国土交通省指定確認機関(役所や民間機関)に聞いても、多くのミスリードを見かけます。

先日、ある建築主から、

「事務所の2階部分を飲食店に用途変更したいから、建築士に用途変更を依頼したら、エレベーター全ての扉に遮煙という機能を付けなければならず、何百万という費用とそれだけで3ヶ月ぐらいの工期が必要だと言われたんだけどなんとかならないでしょうか?もう、物件も借りて家賃も発生しているのに用途変更の申請期間や内装工事期間だけでも辛いのにとてもじゃないけど・・・」

という悲鳴に近い問い合わせがありました。

もちろん、用途変更時にこのエレベーターの扉に遮煙の性能を附加する必要性はありません。現行法ではエレベーターの扉には、遮煙の性能が付いているのですが、平成12年より前の建物だと、その性能はありません。これは、既存不適格として建てられた当時の法律が守られていれば、そのままで良いのです。

話を聞いてみると、指定確認機関の民間機関の担当者が設計者にその様に伝えたとのことでした。その設計者が、「エレベーターの遮煙」=「防火区画」については既存不適格で良いということを理解していない故に発生してしまった話です。

しかし、この建築主、私と話をするのは2回目でした。よくよく、当社の問合せ履歴を調べてみると数カ月前に同じ物件の用途変更の問合せが来て、当社の概算金額(約140万(税別))を伝えてありました。その後、音沙汰が無かったので当社も別の方に頼んだのか、用途変更をしなかったのか・・・。正直、問合せだけなら1日に何件もくるので、全ての問合せ内容を覚えている訳ではないので、そのままにしてありました。

そこで経緯を聞いてみると、当社に概算金額を聞いた後、数件に電話をすると、やはり、200万円前後~300万円近い金額を提示されたが、1社だけ100万円税別でやってくれるところがあったので飛びついたとのことでした。

結果的には用途変更の経験の浅い建築士が値段だけで引き受け、指定確認機関に言われるままに用途変更をするから、設計費は安くても工事費や期間がとんでもないことになってしまったという事例です。

当社は豊富な経験から指定確認機関言われるままになどと言うことは絶対になく、不要な工事により建築主の負担を増やすようなことは絶対にありません。

当社の場合、基本的に設計業務しか受託しませんが、必要とあれば工事業者もご紹介します。当社のご紹介する業者は、用途変更の確認申請が必要な工事ばかりをやっているので、工事のスピードも格段に速いですから、一度、設計費と合わせて見積を取って頂くと良いかもしれません。

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