【立退き】内容証明
久々に、『立退き・地上げ』のテーマで・・・。
最近、立退きが絡んでいる不動産売買の仕事をやっています。私自身が立退きを請け負っている訳ではなく、その売主さん(法人)自身がやると言うので見守ることにしました。本当は激しく不安だったので、私が請け負いたかったのですが、その売主さん、立退きの委託手数料が無い・・・、というか、そんな手数料払わなくても自分でできると言うので、私は相談役に徹することにしました。
そろそろ、テナントにアポイントを取る時期になってきたので、売主の部長に電話をしました。
「そろそろ、テナントにはアポイント取りましたか?」
「いや~、まだ連絡来ないんですよ!」
『ん?連絡が来ない?そりゃ、立退きするのに、賃借人から連絡は来ないだろ・・・。それとも、なんらかの連絡をしたけど不在だったとか・・・???』
「それって、アポイントを取る為に、なんか連絡をしたってことですか?」
「内容証明だしました!」
「えええええええええええ?何でですか?」
「弁護士に言われたので・・・」
これだから、立退きや地上げを弁護士入れてやろうとすると、ややこしいことになるんです。
ここで、内容証明をご存知無い方に、内容証明について説明します。
※ご存知の方は飛ばしてください。
まずは原則論です。
内容証明とは郵便事業株式会社(所謂、郵便局です。)が、『○年○月○日に誰から誰あてに、どのような内容の文書が差し出されたかを差出人が作成した謄本』によって証明するものです。
ですから、別にトラブルじゃなくても
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平成22年2月12日
東京都○○区▲▲▲町1丁目1番1号
松浦亜弥様
東京都××区△△町2丁目2番2号
不動産と建築の相澤印鑑
通知書
私は、今日から、貴女のファンになることを宣言します。
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※1 松浦亜弥様、勝手に事例に使って申し訳有りません。
※2 差出人は本名じゃないとダメです。
※3 実際に松浦亜弥に上記内容で内容証明を送っても無視されると思います。
※4 受け取って貰えないかもしれません。
※5 横20文字、縦26行など書式が決まっています。
※6 この手の内容で度が過ぎるとストーカー規制法に引っかかるかもしれません。
※7 内容証明に絵文字は使ません。(英語も固有名詞だけです。)
とこんな内容でもO.Kです。
もし、この内容証明を松浦亜弥さんが受け取ると、松浦亜弥さんは、私が松浦亜弥さんのファンであることを宣言したことを
「知らない、聞いてない」
とは言えなくなります。そして、それを郵便事業株式会社が証明してくれる訳です。
もちろん、こんなことに使う人はいません。(いないと思います。)
では、どんなことに使うかというと・・・
・ 借金や売り掛け金などの債権回収
・ 債務不履行による契約の解除、もしくはクーリングオフなど
・ 代金支払い済みの商品の納入の催告
・ 養育費などの支払催告
などなど・・・主に、相手側が債務不履行状態にある時に、それを催促するのに使います。
さて、内容証明についての説明はこれくらいにして、
上記の様に内容証明は主に債務を実行してくれない相手に、それを法的に証明する状態で催告する訳ですから、相手に対して、極論を言えば、
『催促に応じない場合は出るところに出て話をつけよう!』
と宣言している様なものです。出るところとは法廷です。
つまり、相手にケンカを売っている様なものです。
弁護士はこれをやりたがります。
そりゃ、裁判になった方が収入が増えますから・・・。
もちろん、内容証明を見た相手がビックリして、催促に応じてくれれば良いのですが、応じない場合は法廷闘争になっちゃいます。
立退きや地上げの場合、当然ですが、スピード勝負です。
もし、法廷闘争になれば、調停に持ち込むだけでも半年、1年は軽く掛かります。そんなに気長にやる訳にはいかないことが殆どですし、裁判費用だってバカになりません。
また、相手が家賃未納などの債務不履行や重大な契約違反の場合の立退きを除けば、賃貸人は不利な条件ですから法廷闘争に持ち込んでも、満足な結果が得られるとは限りません。
ですから、立退きの場合は内容証明はあまり使わないのが普通です。
ヤクザ屋さんが脅しや暴力に訴えて、立退きをやる場合は別ですが、一般的には賃借人に頭を下げて、相手の気分を害さないように、やんわりと立退きをやるのが普通です。ちなみに脅しや暴力で無理な立退きをやると逮捕されます。
もちろん、私も内容証明は100じゃ効かないぐらい書いていますが、その時は訴訟覚悟でやっています。
ちなみに、今回の売主さんは、内容証明を受け取った賃借人に
「内容証明送ったけど、お話し合いで解決しましょう」
と、相手を怒らしてから、頭を下げるという、良くわからない手法を取っています。
纏まると、いいんですが・・・
まずは1本、お電話ください。些細な疑問にも答えます。プロ、アマ、一般の方、すべて歓迎。