【立退き交渉】10年ぶりの再会
現在、しがかり中の案件で立退きが絡んでいる案件があり、本日はその打合せを電話で午前中にしていました。
その会話の中で昔の立退き交渉のことを思い出しました。
平成17年ごろの話です。
私はあるマンションの立退きをやっていたのですが、そのマンションは8割の賃借人が法人です。場所も渋谷のど真ん中ですから、法人が多く入っているのは仕方がないのですが、それにしても間取りが普通の居住用だったので、事務所としての使い勝手はそんなに良くなかったと思います。
さて、そのある法人との交渉です。
法人は、自称IT系の事業を行っているということです。商業謄本も『ITの○○を行う。』等のことが書いてありました。帝国データを取り寄せようとしたのですが、会社が小さすぎてデータが無いとのことでした。
私は立ち退き交渉に原則的には弁護士に出ていただくことはありません。同業者の方なら解ると思いますが、弁護士を入れると時間が掛かるからです。基本的に弁護士は成功報酬の他に実働した労働単価を請求してきます。裁判になれば、その裁判1回につき、いくらと言うような請求をしてくる弁護士がいます。弁護士が入って裁判になれば時間も掛かり、得をするのは弁護士だけということが多々あります。
しかし、3年前のスルガコーポレーションの一件以来、立退き交渉を弁護士以外がやると、弁護士法72条違反になるという懸念が発生しました。それ以来、立退きに関しては弁護士に依頼すると言う法人が多くなり、立退き交渉に時間が掛かるようになりました。
しかし、訴訟に至れば、権利事件ですから必然に弁護士が必要となりますが、双方が合意出来る様な内容であれば事件性があるとは言い切れませんから、 弁護士法72条に抵触するとはいえません。スルガコーポレーションの場合は反社会的勢力との絡みがあって、別件逮捕的なことがありました。
ところが、その立退きの時に、私は弁護士を入れざる得ない状況が発生しました。
相手が弁護士を介してでないと話さないと言ってきたのです。私が直接、その弁護士と話すこともできたのですが、相手が弁護士を出してくる場合はこちらも弁護士を用意した方がいいことが多いです。ただし、私は弁護士を用意したとしても、私も一緒に行くことが多いです。
その時、私は交渉先の弁護士の事務所に私が依頼した弁護士とともに行きました。
そして、その弁護士事務所に行くなりお互いの弁護士が・・・
「あっ・・・」
と言うと、相手の弁護士が
「お久しぶりです。」
私は、相手の弁護士に会うのは2週間ぶりだったのですが、
『ついこないだ、会ったばかりのような・・・』
と思いつつも
「お久しぶりです。」
と答えると・・・私の依頼した弁護士が・・・
「よお、久しぶり!何年ぶりかなぁ・・・。10年ぐらい経つか? 」
どうも私ではなかったようです。(心の中では「Roots飲んでGo」みたいな気まずさでした。)
弁護士同士が随分前に同じ弁護士事務所の先輩後輩だったようです。
立退き交渉は駆け引きも何も無く、1週間で万事終りました。
こういう偶然があると、立退き交渉はあっと言う間に終ります。
今回もこういう風に済めばいいなぁと思いました。
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