【賃貸】希望賃料と契約条件の工夫
昨日、ある大手不動産会社の担当と話していて・・・
「御社の事務所の家賃って、前は65000円/坪だったけど、安くなったの?」
「う~ん、僕は直接はタッチしてないんでわからないですけど、定借(定期借家契約)だから、下がってないんじゃないんですか?」
「そりゃ、大変だな・・・」
「そうなんですけど、相手もファンドですから、家賃を下げて利回りが下がっちゃうと、さらにビルの評価が下がっちゃうから必死だと思いますよ。」
この会社のビルは東京駅周辺の中でもSクラスと言えるビルではあるんですが、それにしても物凄く高いです。しかし、その周辺で三菱地所辺りが作っているビルは80000円/坪が募集賃料だったりするので、当時は仕方がないかなぁと思ったものの、その家賃で今後、決まっていくとはとても思えません。
さて、そんな中で最近は、物件を売却できない、不動産会社から、せめて空室を埋めて、不動産評価額を上げて、売却はできないにしても評価損を減らそうという動きが出ています。この手法では体力の無い会社では、実際のキャッシュが生まれるわけではないので意味がないのですが、その手の会社は大半が倒産したか、物件を売却して大赤字をすでに出して、企業規模を縮小したかのどちらかです。つまり、テナントをつけて、利回りを上げて評価損を減らそうとしている会社はある程度、体力のある会社です。また、この手法を取って評価損を減らしておかないと、与信枠の減少で会社のキャッシュが回らなくなるということもあっての依頼です。
しかし、そこで言ってくる賃料をとても市場を反映している賃料ではありません。
そもそも、売却すれば大赤字での売却になり、その損失を確定するのが嫌だからという理由ですから、利回り計算で不動産評価を出した場合の評価額を売却できる価格よりもはるかに高いラインで設定しなければなりません。
例えば・・・
24億で買った専有800坪の空ビルを売却しようとしたら、12億円でしか売却できそうもない。12億円の赤字を出すわけにいかないのでテナントを入れて鑑定評価をしてもらおうとした。
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評価損を出さないためには鑑定評価額を30億円にしなければならない。
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そのためは不動産鑑定で周辺の売買事例の利回りを調べる。実際には事例なので『最近』と言っても過去のものである。最近の急激なダウントレンドではちょっとでも過去のものの方が有利に働く。
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実際には利回りが8%でないと売れない物件でも鑑定評価では6%と出るので、なんとか6%の利回りが回る家賃を取りたい。
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24億×6%÷12ヶ月÷800坪=15000円/坪
の家賃を確保してくれと言い出します。
実際の賃料は簡単です。なぜ、12億円でしか売却できそうも無かったかと言うと・・・
12億×8%÷12ヶ月÷800坪=10000円/坪
ということになります。もちろん、貸主希望家賃では決まりません。
仮に、10000円/坪で決めたとしても
800坪×10000円/坪×12ヶ月÷6%=16億円
という鑑定評価になるので実際に売却するよりも、4億円分、赤字が減ったことになります。
しかし、担当者は少しでも評価損を減らしたいので、自分の持っているビルのポテンシャルは他のビルとは違うことを一生懸命にアピールします。
「あなたの子供の良い所をどんなに説明されても、あなたの子供は受験に成功しませんよ。」
ということを言って、アピールするだけではなく、リニューアルするなり、契約条件(保証金など)を工夫しないとダメだということを教えてあげるのですが・・・
「我が子はかわいい」
と言ってなにもしないから、余計に苦戦する現実があります。
オーナーも大変だから・・・
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