【開発】大規模小売店舗立地法1
さて、今回は大規模小売店舗立地法です。
大規模小売店舗立地法(以下、「大店立地法」と言います。)という法律をご存知でしょうか?
この法律、建築の専門の方も不動産の方も、あまり詳しい方がいません。しかし、私の様に商業施設の開発をやっていると、この法律を避けて通ることができません。
では、大店立地法の概要と歴史を書いておきます。
【概要】
大店立地法の管轄は原則として都道府県にあります。経済産業省が定めている法律ですが、各都道府県が規制する内容を制定することができます。
基本的には売り場面積が1000㎡を超える、物販店舗を新規に作る場合に必要な許可制度です。
では、売り場面積が1000㎡を超えると、どんな規制が掛かるかと言うと・・・
・ 駐車場台数や駐輪場台数の確保(売り場面積と駅からの距離などで台数が変化します。)
・ 渋滞対策
・ 騒音対策
・ ゴミなどの搬出対策
などなどの規制がありますが、一番、やっかいなのは駐車場の確保です。
極端な話をすれば、都心のど真ん中の商業地であって、とても自動車で来る人なんかいないだろうと、思われる場所でも、この法律は有効です。
また、経済産業省管轄の為、一級建築士試験や宅地建物取引主任試験などにも、ほとんど出てきません。その為、この法律に詳しい方というのが、あまりいない訳です。
また、この法律のやっかいなのは、申請から許可までに最低でも8ヶ月ぐらいかかります。以前は、基本設計が完了した時点で、大店立地法の申請をします。そして、実施設計を行って、確認申請が完了するまでに、大店立地法の許可を取得するという方法でした。
大店立地法は、住民との交渉などもあり、ちょくちょくプラン内容が変わったりします。以前はその度に確認申請に軽微の変更を掛けたりしていました。
しかし、建築基準法改正に伴って、プランが変わると、確認申請が最初から出しなおしになったり、構造計算のやり直しなど、面倒な手続きになります。そこで、大店立地法の許可がおりてから確認申請を出すことになるので、大店立地法申請から確認取得までに1年以上を要するようになります。このタイムロスがこの法律のやっかいなところです。
【歴史】
では、そもそも、なんでこんな法律があるかというと・・・
よく勘違いされるのが、イオンやイトーヨーカドーの様な、大型店が出店すると、その地域の商店街などが空洞化してしまい、地域経済が破綻するために定められた法律。と思っている方が多い様です。地方の役所などで、若い大店立地法の担当の方と話しても、地域経済保護の為に定められた法律だと思っている方もいます。
たしかに、現在のこの法律は『まちづくり三法』の一つでシャッター商店街阻止の為の法律になっているのは事実ですし、1950年代後半に大型のスーパーマーケットの進出で地域商店街の大型店舗出店反対運動に連動したのは事実です。
しかし、最大の目的は、アメリカなどの大型スーパーの日本上陸を防ぐための国内産業の保護が目的だったといわれています。
また、大店立地法に近い法律で百貨店法という法律がありました。それの拡大版が大店立地法になったとも言われていて、最初は1974年に施行されています。その後、幾度の改定を経て、現在の法律になっています。
さて、過去にも、この法律を逃れる為に色々な手法が見られたのですが、現在の法律を逃れる為に、出来た商業施設の話を次回から、書いていきます。
ちょっと、小難しい話だったけど・・・
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