【開発】大規模小売店舗立地法2

カテゴリ:ブログ 不動産開発
連載シリーズ 【 【開発】大規模小売店舗立地法2 】 第 2 話 / (全 6 話)

前回の話で、大規模小売店舗立地法(以下、「大店立地法」といいます。)について、説明して、大店立地法の概要はご理解いただけたと思います。

大規模店を開発する場合に実際の開発の話の前にもう一つ、書いておかなければならないことがあったのでそちらを書きます。

前回もちらと書きましたが、『まちづくり三法』の一つである、改正都市計画法です。

実は我々の頭を悩ませたのは、大店立地法よりも、建築基準法改正と都市計画法の改正でした。前回も書いた通り、建築基準法の改正により、大店立地法を申請して許可を貰ってからでないと、確認申請がだしにくくなったという話を書きましたが、それ以上に、2006年に施行された改正都市計画法は対処のしようがなくなりました。

改正都市計画法

10000㎡を超える大型店舗の出店できる地域が

・商業地域

・近隣商業地域

・準工業地域

に限定されてしまったのです。

それまでは、上の3つの地域以外にも

・第二種住居地域

・準住居地域

・工業地域

での出店は可能でした。

この法律のややこしいのは、これだけでもダメージが大きいのに、各都道府県行政が準工業地域での出店も条例で規制していることです。

※全ての都道府県で規制しているかどうかはわかりませんが、少なくとも愛知県や長野県では実際に準工業地域での建築は認めてくれませんでした。

ではこれの何が問題かというと・・・

大店立地法は許可制度ですが、こちらは許可制度ではなく、10000㎡以上はダメということです。

都市計画法で定める都市計画地域というのは、そこに工業地帯を作りたいとか、そこに商業地域を作りたいとか、住居地域を作りたいという行政の思惑があります。

これは、公共施設を有効に配置したり、公害問題であったり、都市計画道路の計画であったりと、色々な問題が絡んでいます。また、地方行政が企業誘致(工場誘致)による税収の確保なども、そこにはあります。

しかし、往々にして起こることが、都市計画とは関係なく、物事が進むことがあります。

それはいくら、そこに工場を建設してほしくても、民間企業は物流コストや人件費などの問題などで工場用地として魅力がなくなれば、そこに工場を出さなくなります。また、既に準工業地域でもロードサイドに小売店や飲食店が建ち並ぶようになれば、地価そのものが工場に適さなくなる場合もあります。

では都市計画の用途地域そのものを変えてしまえば・・・と思うかもしれませんが

これがまた、物凄く大変なんです。

私は東京都下のある場所で工業専用地域から、準工業地域への変更を申請したことがあります。

申請した場所は準工業地域に隣接する場所で、隣接地にはスーパーマーケットや住宅で既に工場と呼べるものは一つもありません。当該地は数十年前に工場になり、現在は倉庫として存在します。

6m道路を挟んで、準工業地域と工業専用地域だったのですが、既に工業専用地域と言っても工場としての事業採算はどうやっても取れない場所です。

ですから、準工業地域に変更してもらって、別の事業を行う方が有効に活用できると考えたので、用途地域の変更を依頼しました。そこで言われたことは

「どんなに短期間でも10年は掛かるよ・・・」

でした。つまり、用途変更と言うのは経済事情にはまったくと言って良いほど、追随できないものなんです。しかし、街というのは一日一晩でできるものではないから、ちょくちょく計画を変更して良いものではないことは理解できます。

色々な手法を考えたのですが、こちらは何をやってもダメでした。

一番簡単な手法が、土地を二つに割って、10000㎡に届かない建物を2つ作ることです。しかし、改正都市計画法だけなら、それで済むのですが、条例で「一団の敷地に・・・」という縛りを儲けているところが多いんです。

つまり、隣接する二つの土地でショッピングモールの様に作るということが規制されてしまいます。

そこで、隣接してなければ良いだろうと考えて、間に開発道路(位置指定道路)を一本入れて、土地を分けます。唯一の方法がこれなんですが、その開発許可を通してくれるかが協議になります。もし、用地を取得してからその開発許可が通らないと、その土地は活用できなくなってしまうというリスクを抱えるわけです。

※用地を取得する前に相談すると、実際に開発申請をしてからの協議と言われます。

この法律により、商業地域や近隣商業地域という地価が高いところでしか大型店の出店を規制することになるのですが、それにより、それ以外の用途地域でのロードサイドで出来るのは10000㎡未満の小売店だけです。

これにより、大型の物販店は国内地方での展開を諦めることになってしまうわけです。

その結果、物販店は国内での産業拡大が見込めなくなり、市場を求めて海外に行くことになっていきます。

しかし、東京23区内などの都心部では、この改正都市計画法に抵触するほど、大きな土地はあまりありません。10000㎡以上の住宅地や工業地域を探す方が大変かもしれません。つまり、都心部に於いては、改正都市計画法よりも大店立地法との戦いになります。

※ちなみに昨年の宅地建物取引主任者試験で改正都市計画法の問題が出ていて、各掲示板サイトで話題になっていました。受験者の皆さんは、ちゃんと読んでおいた方がよいです。改正都市計画法についての過去問題は昨年しか事例がありません。ですから、過去問だけでなく、しっかり把握しておかないと問題が解けない可能性があります。

次回からはいよいよ大店立地法との戦いの成功例、失敗例の話を書いていきます。

次回から事例を書くから・・・

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