【開発】大規模小売店舗立地法4
大規模小売店舗立地法について、勘違いされている方が多いみたいので、ちょっと前回から話題が逸れますが、書いておこうと思ったことがあります。
つい最近、こんな会話がありました。
「K区で、すごーーーく、いいビルが手に入ることになったんですよ。」
余程、気に入っていたのでしょう。
「良かったですね!」
どんなビルかは想像できなかったのですが、適当に相槌を打っておきました。
「もともとは飲食ビルだったんですけど、周辺の相場賃料ぐらいは取りたいんですよね。ただ、飲食店ではそこまで賃料は伸びないですよね。だから物販系でいきたいんですよ。相澤さんのところで、テナントのあたりを付けて貰えませんか?」
「いいですよ。物件資料、できれば建築時の平面図なんかあると助かります。」
「では、メールしておきます。」
次の日にメールを見てみると・・・
延床面積は約1700㎡、専有部分は1300㎡ほどあります。
それを見て、私はすぐに電話しました。
「このビルを物販店に入れるんですよね?」
「はい、1棟貸しが希望ですが、何か問題でも?」
「いえ、ただ大店立地法に掛かる可能性がありますよ。」
「へ?だって、用途変更しますから問題ないのでは?」
「いえいえ、用途変更は関係ないですよ。」
と、この後、しばらく噛みあわない会話が続くので、大規模小売店舗立地法について下記の様な説明をしました。
大規模小売店舗立地法とは
① 新築、既存ビルに関わらず、売り場面積が1000㎡を超えた時点で申請し、許可が降りるまでは営業ができない。
※例えば、5階建てのビルで各階が240㎡だとして、1~4階までが床面積全てを売り場とする物販店で、5階がレストランだっとすると、この時点では、このビルの売り場面積は960㎡だから、大店立地法には抵触しない。しかし、5階のレストランが退居して、この階に本屋さんが入居しようとすると、このビル全体の売り場面積は1000㎡を超えるので、大点立地法に抵触することになる。
② 大店立地法はテナントではなく所有者が申請するものである。
※上記の例で言うと、本屋が入居するのだから、その本屋が申請するように感じるが、本屋は他のテナントの売り場面積は把握できない。申請者は所有者であり、罰則規定も所有者に適用される。ただし、テナントも営業停止になる。
③ 大店立地法の申請から許可までは8ヶ月かかる。許可が降りるまでは営業できない。
※上記の例で言えば、この本屋が営業できるのは8ヶ月後からとなる。当然だが賃貸借契約の際には、営業開始が8ヵ月後であることを伝えておかなければならない。営業を目的とした賃貸借契約にも関わらず、所有者に申請義務のある法律に於いて、8ヶ月間、営業ができないのであることを事前にテナントが理解していなければトラブルは必至である。
④ 建築基準法、消防法などには連動しない。
※建築基準法などは国土交通省管轄で管理官庁は市町村の建築主事となるが、大規模小売店舗立地法は経済産業省管轄の法律で許可権者は都道府県知事である。
売り場面積1000㎡以上の物販店を新築しようと思って、大規模小売店舗立地法の許可が降りて無くても、確認申請は申請できるし、確認済書もでる。また、確認済書が降りて無くても、大規模小売店舗立地法の申請もできるし、許可も出る。
ただ、確認済書が無ければ建物が建てられないだけで、大店立地法の許可が降りなければ営業ができないだけである。
用途変更をした場合でも同じである。
また、所有者には罰則規定があることを理解しておかなければなりません。
上記の例を逆手にとる方法はあるのですが・・・。
ここには書けませんので、もし、知りたい方がいれば、メッセージ(プチメ)等でご質問下さい。
※細かい条件等を見ないと正確には答えられない場合があります。
次回は第3話の続きを書きます。
まずは1本、お電話ください。些細な疑問にも答えます。プロ、アマ、一般の方、すべて歓迎。