ビル経営管理士
さて、ビル経営管理士という資格をご存知でしょうか?
この資格、かなり、マイナーな資格です。
なにせ、受験者が昨年700人ぐらいしかいない資格です。
受験者 合格者
平成18年 342名 225名 65.78%
平成19年 698名 482名 69.05%
平成20年 不明 448名
合格率も60%台後半という、割と受かりやすい試験です。
平成3年から始まってる資格なのですが、如何せんマイナーすぎて資料がありません。
また、受験資格もありません。
しかし、この資格、受験して合格するだけなら、なんの資格もいらないのですが・・・
ビル経営管理士として登録しようとすると、ちょっと厄介なことがあります。
それは実務経験です。
5階建て以上かつ、1000㎡以上のビルの賃貸管理を最低でも2年以上していないとダメです。(2年やっていれば誰でも良いというわけではありません。2年やっていれば講習を受けるなどで、カバーできるという意味です。)
つまり、賃貸管理などのプロパティーマネージメントの実務経験者が受けます。
実際に一昨年受けたのですが、会場は知り合いだらけです。AMやPMの会社の人ばかりが受けています。
試験内容は・・・
1.賃貸ビルの企画・立案に関する知識
- 事業企画(市場調査、敷地選定)
- ビルの商品企画(テナント構成、建築意図)
- ビル建設と法規制
- 不動産投資理論
- 不動産事業の税務と会計及び事業分析
- 不動産の証券化に関する仕組みと法制及び税制
- 長期事業収支計画・長期維持管理計画(ポートフォリオ)
- 不動産特定共同事業、業務管理者実務
- 不動産投資顧問業登録制度
- デューデリジェンスの調査項目と結果分析
- 不動産投資市場及び不動産流通市場の知識及び分析
- 金融市場の動向に関する知識及び分析
- 遵法性の確保、アカウンタビリティー、プレゼンテーション、リスクマネジメント等を行う上で必要な専門知識について
2.賃貸ビルの賃貸営業に関する知識
- 賃貸条件の設定
- テナントの募集
- テナントとの契約手続
- テナントの入退去時の対応
- テナント契約管理(退室・増室・同居・転貸・滞納等)
- 賃料・共益費の改定
- テナントニーズの把握
- その他(催事企画等)
- リーシング・マネジメント等を行う上で必要な専門知識について
3.賃貸ビルの管理・運営に関する知識
- プロパティマネジメント体制・管理企画業務
- 資産管理業務
- ビル運営管理コスト、エネルギーコスト管理
- 館内規則の策定
- 管理委託契約締結、委託管理業者管理、業務品質評価、業務品質管理
- ビルメンテナンス(日常管理業務:施設・設備・警備・防災・環境衛生等)の管理
- 建物維持保全業務(点検、修繕、モダナイゼーション等)の管理
- 各種許可・届け出等の手続き、立入検査対応管理等
- 日常管理業務に関するテナント等への対応管理
- コンストラクションマネジメント
- デューデリジェンス(エンジニアリングレポート)
- ライフサイクルコストマネジメント
- 複合用途のプロパティマネジメント等を行う上で必要な専門知識について
とこんな感じで、結構幅広く問われるのに、一つ一つの問題も結構、突っ込んだことを聞いてきます。
収益不動産の取得に関する経営判断を問われたかと思えば、エレベーターの性能判断や環境アセスメントなどの技術的な内容まで盛りだくさんです。不動産系の問題や、収益不動産の経営に関する問題はなんとかなるのですが、技術系の問題は一級建築士を持っている私でも苦戦しました。実際にビル管理の会社などにいて現場の方ならば、簡単かもしれません。
さて、この資格が何の役に立つかと言うか・・・
・ 不動産特定共同事業法の「業務管理者」の要件。
・ 総合不動産投資顧問業登録の人的要件に指定されていることから、金融商品取引法の「不動産関連特定投資運用業」登録の要件。
別にビル系管理士じゃなくても、この要件を満たすことはできますが、何も持っていない場合はこれが一番簡単に取れる資格と考えて取得しました。マンション管理士の方が簡単ですが、マン管ではこの要件を満たしません。
もっとも、今のように収益不動産の流動性が乏しかったり、うちの会社の様に資本金が5000万円未満の会社の場合はあまり意味をなしません。
とは、言うものの大型の収益物件をファンドなんかと取引する際には持っていて損な資格ではないと思います。
当然ですが宅建を持っていることが大前提の資格になります。
情報が少ない資格なので、独学で勉強するしか無い資格ですから、なかなか話題にもならないのですが、収益不動産を扱ってみたいと思う方は受けてみるのも良いかもしれません。
登録できなくても合格さえしておけば、就職の役にも立つかもしれません。(これも宅建を合格していることが大前提ですが・・・)
宅建に合格された方は、来年はこんな資格にチャレンジしてみるのは如何でしょうか?
まずは1本、お電話ください。些細な疑問にも答えます。プロ、アマ、一般の方、すべて歓迎。