フィットネスジムは用途変更の確認申請が必要なのか?

連載シリーズ 【 フィットネスジムは用途変更の確認申請が必要なのか? 】 第 15 話 / (全 16 話)

 当社に相談がある中で、用途変更の確認申請の必要性の有無で一番、難しいのがこの質問です。

 

 結論から言うと、下記の要件によって回答が変わります。

 1.どの様な経営形態になるのか?

 2.その店舗のみの会員制か?

 3.どの程度の収容人員があるのか?

 

 この辺りによって、行政判断が変わるので、この3点と営業する行政区を聞いて、行政相談をしてからのご回答になることが多いです。(既に当社で何度もやっているエリアは即答できます。)

 

 実は行政も結構、悩んだりします。これには悩む理由が存在しています。

 

 もともと、建築基準法、同施行令、施行規則、告示にスポーツジム、フィットネスジム等という単語は出てきません。

 ※厳密には令和6年1月9日国土交通省告示8号「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準」に「スポーツジム」を設計した場合の設計費の算出基準として登場します。

 

 ところが、日本建築行政会議編集、一般財団法人建築行政情報センターが発行している「建築確認のための基準総則集団規定の適用事例」という本に非常にややこしいことが書いてあることが、フィットネスジム等をどう取り扱ってよいか解らなくなることとしています。

この本の

第1章基準総則 1用語の定義

(2)特殊建築物 スポーツの練習場

フィットネスクラブ等(令第130条の3題6の「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」として判断されるものを除く。)

とあり、

第2章集団規定 2用途規制

(4)学習塾等  学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設

◆「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」の例

〇フィットネスクラブ、アスレッチクラブ 〇ヨガ教室、ホットヨガ

とあります。

 これだけを読むと、フィットネスクラブは「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」であり、それ以外に判断される基準がわからないことになってしまいます。

 

 結局、これを元に各行政庁が、独自の基準を作って、この場合は必要、この場合は不要と判断しているケースが多いです。

 全ての行政区に確認をしている訳ではないですが、全般的には既存建物の一部を利用して、フィットネスクラブ等をやる場合には、「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」と判断しているケースが多いです。

「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」はそもそも、サービス店舗になり、特殊建築物には該当しません。その為、事務所などと同じ扱いになります。

 特殊建築物の中で「スポーツの練習場」だけは、事務所等と比較して緩和される項目があります。

 厳しくなるのは3階以上の階に設ける場合、建物が耐火構造であること、2000㎡以上にするならば、建物を準耐火構造であることという規制が掛かります。

緩和されるのは、排煙設備が不要になることです。(排煙窓が不要になる。)

 

多くのフィットネスクラブは、更衣室、シャワーやサウナ等を設けています。シャワー室などの水廻はどうしても、建物の外周部、既存排水口の近くに持ってこないと最初の設備投資費用が上がってしまいます。しかし、建物の外周部に排煙窓があるために、それが中々できないということで、チェーン店などで遵法性を重視している企業は、何としても「スポーツの練習場」にしようとします。

 

では、本当に「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」に該当するフィットネスジムとは、どんな感じなのかを説明しておきます。

1.コーチやトレーナーなどが常駐していて、全ての利用者が、その指導を受けている。

2.その店舗だけの会員制であり、不特定多数の人が出入りしない。

Point!チェーン店の会員だと世界中24時間どこでも使える様な施設は、学習塾等には該当しません。

 つまり、今流行りの好きな時に行って、勝手に施設の道具を利用して、その会社の会員になっておけば、どこの施設でも利用可能というのは、「スポーツの練習場」に該当し、200㎡を超える場合には用途変更の確認申請が必要となります。また、その建物が非耐火構造や準耐火構造の場合は、3階以上にその施設を設けることが出来ないということになります。

 

フィットネスジム、フィットネスクラブなどを開設することを検討している方は、一度、当社にご相談するか、行政庁にご相談することをお勧めします。

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