伊勢丹が上海進出
昨日の日経の朝刊に伊勢丹が上海進出というニュースが出ていました。
何を今更?と思いました。というのは、伊勢丹はすでに上海には出店しているからです。しかも、上海の中でももっとも良い場所のひとつに出店していると聞いたことがあります。もっとも私は上海のどこが良い場所だとかはよく解りません・・・
そこで、よくよくニュースを読んでみると30000㎡(9000坪)と言うのだから大きいのですが・・・。ということは、上海在住の日本人をターゲットにしているのではなく、完全に中国人をターゲットにしているということです。
たしかに、伊勢丹以外の日本の百貨店は中国進出に対して出遅れ気味です。そこで、中国にこの規模の百貨店を出すということは、日本の百貨店に対しては優位に立てると考えられます。
また経済成長を続けていて、日本よりも遥かに市場規模の大きい中国はたしかに魅力的です。
しかし、日本と同じ戦略で上海で成功するとは考えにくいです。
上海の実質人口は約1800万人です。それに対して、上海の1人あたりのGDPは約90万円弱です。日本の1人当たりGDPが約340万円ですから、平均所得は日本人の26%強ということになります。
また、中国人の貯蓄率は日本人よりもはるかに高いので無駄遣い(見栄を張る)率は日本人よりも低いと考えられます。ただ、仮に上海が10%ずつの経済成長を10年続ければ1人当たりGDPは200万円を超えてきます。(と言ってもまだ今の日本の2/3以下ですが・・・)ただ、10%の経済成長を10年というのは『奇跡の復興』と言われた日本の高度経済成長と同じです。その事を考えたら、かなり厳しいと思われます。
また、諸外国の百貨店の中国進出状況はよくわかりませんが、アメリカのウォルマートやフランスのカルフールなどのGMSは10年ほど前からすでに進出しています。カルフールが先導して、ウォルマートがやや苦戦と言った感じです。しかも、上海だけで見ると外資系のGMSが約半分で中国系のGMSがまだ半分あります。
『上海は魅力的な市場に見えるが、実際には競争が激しくて商売にならない。』
と中国人は言います。
GMSと百貨店は日本ではある程度の住み分けができています。
たしかに、GMSの包装紙で包まれた引き出物はちょっと・・・と思う方が多いと思います。
つまり、日本では百貨店というブランド戦略でかろうじて存在していると言っても過言ではありません。しかし、それも専門量販店やGMSに押されていて、一部の富裕層、もしくは『見栄を張って』『自分へのご褒美』『お祝い』的な極限られた消費場所になっています。
中国でそこまでのブランド戦略ができるのか、また、ある程度成功したとしても、上記の様な所得と『日本』のブランドがそこまで浸透するかは微妙です。
一時、日本のブランド米が中国ですごく売れているといったニュースがありましたが、超富裕層に向けた商品ということは解ります。ということは全体量からすれば経済に全く影響の無い話で、物珍しさでマスコミが話題にしたのは誰しもが、わかったことです。
そして、一番怖いのが『日本ブランド』ということです。
2008年のカルフールの中国での非買運動を覚えているでしょうか?
チベット騒動に対するフランスのサルコジ大統領が火種になり、あっという間に広がりました。それが収まったのは四川大地震のカルフールの寄付金?だったと認識しています。
ということは、日本は首相が靖国参拝する度に、もしくは失言する度に非買運動が起こりそうな感じです。
しかし、この様な大規模小売店が日本での市場が苦しいことは昨日書きました。
結局、日本に市場が無い以上苦しくても海外に行くしかないのでしょう。
百貨店という世界的に見ても厳しい業態が新興市場で通用するのか、答えが出るのにある程度の時間が掛かるとは思いますが、しばらく注視してみたいと思います。
個人的な私見ですが同じ記事にファーストリテイリングも中国進出と出ていましたがこちらは成功する様なきがします。
昼から文字だらけだけど・・・
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