住宅用地の需給バランスと値段

カテゴリ:ブログ 不動産開発

最近、こんな話がよくでます。

「大至急、住宅用地を探してくれ・・・」

ほとんど、毎日聞くのですが・・・目ぼしい物件が無いのが原状です。

マンション用地でも戸建用地でもそうなのですが、最近はめっきり物件が減っています。土地そのものが無いわけではなく、単純に価格バランスが崩れているのが現状です。新築住宅の価格は一時、アウトレットマンションなどが出回り、マンション価格が値崩れをした為、普通の値段のマンションは売れ行きが芳しくありません。そこで業者が求める値段が恐ろしく安くなっているんです。

例えば、東京の城西地区で2年前は、200万円/坪で土地30坪、建物30坪で8500万円ぐらいで売れていた物件が最近は概ね7000万円前後まで価格が下がっています。

もともと、建物の工事費の値段と言うのは、急激に上がったり下がったりするものではありません。とすると単純に土地の値段で調整するしかありません。とすると、この土地の場合、2年前は6000万円だったものが4500万円になったということで、売値が約25%下落していることになります。そして、土地の原価を考えると、分譲住宅業者の仕入れ値は、造成費(固定費)や税金、利益などを差引いて、5100万だったものが3750万ぐらいになります。つまり、業者の土地仕入れ値は26.5%も下落しているのです。これでは余程、お金に困っていないかぎり地主さんは売りません。

ある上場している、関東エリア中心の分譲住宅を専門的にやる会社のIRを見ると125億円の評価損を計上しました。この会社は注文住宅や法人からの受注を除くと600棟ぐらいを販売しているので、1棟当り2000万円ぐらいの評価損を計上したことになります。この125億円のうち、どの程度が住宅用地の評価損かは解りませんし、1年分の棚卸し資産の評価損とも限らないのですが、相当な価格下落であることは間違いありません。

※2000万円/棟の下落はちょっと考えにくいですし、高値の時に将来の棚卸し資産を買い込んだことも考えにくいことから、収益不動産などの棚卸し資産があったものと考えられます。そうでなければ、余程、経営センスが無いか、用地仕入れが下手だったかのどちらかになります。両方の可能性もありますが・・・

通常の考え方で行けば、供給不足になれば値段は上がるのですが、住宅を買う側の所得が上がってこないと需要自体が回復しないので、しばらくの間は非常にパイの小さい需給バランスが保たれることになるのではないかと思います。

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