北陸新幹線

カテゴリ:ブログ 政治経済

昨日のニュースに北陸新幹線について・・・

14年度末の開業を目指す北陸新幹線(長野-金沢間)の工事計画を巡り、新潟県の泉田裕彦知事が、同県上越市に建設予定の上越駅(仮称)への全列車停車を求め、負担金支払いを拒否している問題で、新幹線を運行するJR東日本の清野智社長は8日、会見で上越駅への全列車停車は行わない意向を示した。清野社長は「新幹線の役割は遠くに早く到達させること。現時点で、上越駅にすべての新幹線を止めることは考えていない」と述べた。

毎日新聞


という記事が出ていました。

そもそも、北陸新幹線の必要性ですが、北陸新幹線が出来てもっとも恩恵にあずかれるのは、北陸地方の人ではなく、東京の企業です。(東京に住んでいる人も一極集中でより住みづらい都市が形成されます。)

なにせ、今まで北陸地方にあった○○支店の必要性がなくなります。交通の便が良くなればそういうものです。

ストロー効果という言葉をご存知でしょうか?

詳しくは・・・ストロー効果 Wikipedia

私が初めてこの言葉を知ったのは、6年程前(平成15年ごろ)のことでした。当時、私の勤めている会社は不動産証券化ビジネスに乗り出していて、ある大手GMS(総合スーパー)の開発を行うことを検討しました。その際に『ライリーの小売引力の法則』を教わり、ちょっと調べてみると、『ストロー効果』にぶつかったわけです。

その後、上記の会社を経て、次の会社とで各地方都市の商業開発をすることになるのですが、地方都市に行くとそのストロー効果はそれぞれ実感することができました。

地方都市にとって、新幹線を作る最大のメリットは大都市との距離が近づくことだと思っている人が多いと思います。特に、その地元の人は観光客が沢山来てなどという甘い夢を見ていると思います。

しかし、それは既に新幹線の出来て、時間の経っている都市を見てみれば一目瞭然です。

山形、秋田・・・どの都市もむしろ衰退しています。

そして、その都市の不動産価格も大きく減少して、地元の資産はどんどん減っていきます。

ストロー効果に対する抜本的な対策は今のところありません。せいぜい、魅力ある商店街の構築などという焼け石に水の様なミクロな対策を行うしかないわけです。殆どが成功せず、シャッター商店街になっていきます。

例えば、『金沢と富山』、『岡山と高松』の関係の様に相手の規模に大差がなければ、そのミクロ対策も多少は効果があります。しかし、高速道路の無料化でより距離が近づいたり、新幹線の開通により、もっと大きな都市を相手にするとその効果は極めて限定的なものになってしまいます。

地方都市にとっての新幹線の最大のメリットは新幹線敷設費用が国庫から出ることだと考えています。しかし、地方行政がそれに対して反発しているのは、地方の負担がそれなりに大きく、また、その投資が殆どの地方空港の様に回収するどころか、赤字になっていくというリスクを懸念しているからであり、その様な状況の物に逼迫した財源から捻出ができないということだと思います。

新幹線とは関係ないですが、その状況で作った静岡空港や茨城空港というのはリスクに対する勇気というよりも暴挙以外のなにものでも無いと思います。

地元のゼネコンが一時潤い(癒着した政治家も・・・)、開通した直後に話題性で観光客が来て、殆どリピーターは無し、そして、企業の支店が統廃合により無くなり、商店街はシャッター化、限定的なオフィス街は空室だらけになり、最後は駅前が更地と駐車場、そしてビジネスホテルだけが乱立するという将来は容易に想像がつきます。

東海道新幹線ができた時の様な経済発展をしている時代ではありませんし、そんな経済成長は当分の間(100年という単位)、来ないことは間違いありません。

開通の目処よりも先に駅を作っちゃっている場所もある様ですが、一部の人の利権よりもまじめに将来を見つめ直すことが必要です。

今後、この問題に対して、少しずつ書いていきます。

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