商業地の賃料2

連載シリーズ 【 商業地の賃料2 】 第 2 話 / (全 2 話)
商業地の賃料

前回、書いたように土地の値段がここまで、下がれば実需目的(自分でそこで営業する目的)もしくは、投資目的として購入者が出てきても良さそうなのですが、実際にこのエリアに出店しようというテナントが少ないのです。

理由は2つあります。

1.高級ブランド品の需要が一気に悪化したため、高級ブランド店の出店意思が弱い。

2.出店できるテナントが激減したため、テナントからみると、物件に対するライバルがいない。それにより、賃料交渉が容易にできる。

しかし、前回のニュースを読むと賃料は平均で6%しか落ちていません。

これは『募集賃料』です。

募集賃料と成約賃料は全く違います。

簡単に言えば、大家さんが

「100万円/月で貸したい」

と言っても、誰も借りてくれず、しばらくたってそこに、ひょっこり、一人だけ借りたいと言ったテナントが現れて、

「60万円/月しか出せない。」

と言ったとします。他に誰も借り手がいなければ、そこで貸すか、それとも意地で空室にしてでも頑張るかのどちらかになります。

お金がいっぱいあり、当該不動産の簿価が殆ど無い大家さん(つまり、昔からの地主さんみたいな方です。)は賃料下落を防ぐ為に、頑張ろうとします。しかし、その不動産を借金してでも入手し、絶対に家賃が欲しい方(ノンリコースローンを使い・・・以下略)は賃料を下げざる得ません。

つまり、ここに出ているので実際の契約賃料よりも遥かに低い賃料で決まっています。

ただ、平均賃料はこれに近い賃料かもしれません。

曖昧な言い方をしているのは詳細なデータがないからです。

というのは、現在の成約賃料は低いかもしれませんが、高い時に定期借家契約で入居しているテナントが高い賃料を払っているからです。

では、実際の成約賃料はどうなっているかというと・・・

半値とまではいかないまでも60~70%程度にはなっています。特に地価が高騰した銀座、表参道エリアはその傾向が顕著です。

また、地方の商業都市でも一部のエリアでもそういう傾向があると思います。(事例が少なすぎて正確なデータが取れません。)

例えば、仙台のアーケード、名古屋駅周辺、熊本のアーケードなどなどがその例です。簡単に言うと新興不動産会社が東京に投資する場所が無くなり、ターゲットにして地価が上がった場所です。

リンク記事にもある様に募集件数が増えているということは、それだけ空室が増えているということですから、賃料の下落には、もう少し時間が掛かると思います。しかし、地価と賃料の連動を考えれば、地価そのものはバブル崩壊後の最も安い時期に近づいています。株価がバブル後の最安値を更新した様に、地価もバブル後の最安値を付ける可能性は十分にありますが、それにしてもかなり底値には近づいていると考えられます。

ただ、消費が上がらなければ、商業は成立しません。つまり、商業地の需要は上がってきません。

今しばらくの時間が必要かもしれません。

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