尖閣諸島問題
最近、私の仕事でも、チャイニーズマネーは、少なからずとも直接的に関与しています。日本の大口の不動産投資には、チャイニーズマネーはあまり大きな影響を及ぼしていないように感じますが、5億円未満のマンション投資などにはちらほらと、チャイニーズマネーが動いています。
そんな状況の中で、最近、ニュース等で話題になっている尖閣諸島の問題が大分、大きく報じられる様になってきました。
日本の報道ですから、実際に中国国内が騒然とするほど、騒いでいるとは思ってはいません。おそらく、一部の人が騒いでいるだけだろうと、思っています。中国には、日本系の企業が多数、入っていますが、そこが攻撃されたとかなど、直接的な中国国民による攻撃は今のところ確認されていませんし、バブル時のアメリカ合衆国内であった様なジャパンバッシングも今のところ感じません。
しかし、実際に、閣僚級の交流もしくは国交が停止されていることや、文化交流団などの受け入れ中止、8000人規模の観光集団(企業の慰安旅行らしいですが・・・)中止になったり、SMAPのコンサートが延期になったりと、政府絡みだったり、規模が大きい交流などは中止もしくは延期されているのは事実です。
これだけ、大きな問題になって、大規模集団の観光客が来日するのを辞めている様ですが、新宿にいる中国人観光客が減った様子はまったくありません。新宿西口付近にある家電量販店も、相変わらず中国人観光客で盛況です。
これだけ、騒ぎになっているのだから、随分と報道された、富士山の五合目にいた中国人観光客も、さぞかし、減っただろうと思うのですが、なぜか報道されません。おそらく、マスコミ的に『いい絵』が撮れなかったからだと思います。
日本に来ている中国人観光客は、ビザの要件緩和があったにせよ、それにしても中国では明らかに中流プラスαぐらいの人が来ています。もちろん要件緩和によって、初めて日本観光に来れるようになった人たちと言うのは、日本では最低所得層にも満たない所得しかありませんが、そもそも物価が全然違う国ですから、単純に比較することはできません。
たしかに、要件緩和の前の観光客は表参道のブランドショップを梯子する能力があり、今の観光客の購買能力はせいぜい、化粧品をマツキヨで買う程度かもしれません。
しかし、中国では、明らかに中流以上の人たちだと思います。
おそらく、この中流以上の人にとって、尖閣諸島問題での対日圧力などは、ほとんど、問題視されることの無い問題で、それよりも自分に与える経済的マイナス要因の方が心配されることだと考えているでしょう。
現在、日本のサラリーマンで、最も稼いでいる上位5%の人の正確な平均年収は解りませんが、私の知る限りでは、2000万円弱だと思います。実際には1800万円ぐらいではないでしょうか・・・。逆に、最低賃金はというと、都道府県や職種にもよりますが、時給800円ぐらいですから、月間実働時間が160時間とすれば、12万8千円が月給で、年収では153万6千円ということになります。(なんか、生活保護の方がいいかもしれない年収ですが、それは別問題なので、ここでは長く書くことはしないでおきます。)
ということは、経済格差は約12倍ということになります。
では、中国ではどうかというと・・・。はっきり言って解りません。
しかし、一部の実例で比較してみます。先日、日本の中間管理職を中国企業が引き抜きに掛かっているというニュースがありました。日本の中間管理職(課長クラス)の年収は、おそらく、600万円~800万円でしょう。ちなみに、その中国企業は社員3500人で、求めている日本の中間管理職は30人程度とのことでした。これが、何を意味しているかと言うと、中国でもサラリーマンで上位5%に入る高所得者は、この程度の給料は貰えるということを意味していると考えられます。
では、中国の最低年収はというと・・・。これまた、よく解りません。
主要都市の最低賃金は大幅に改善されて950元~1100元(約1000元とします)で1元=12.7円程度ですから、12,700円/月で年収ベースで15万円程度となります。
しかし、中国の内陸部や農村部ではもっと恐ろしく低いことになっています。ある中国人労働者を派遣する団体の人に聞いたところによると約8000円/月が相場だとも言っています。実際に、それでビジネスが成り立っているので嘘ではないと思います。ということは年収ベースで約10万円程度が本当のところでしょう。
ということは、経済格差で約70倍ということになります。
すでに、この国は共産主義という言葉を撤回するべきだと考えられる経済格差です。
中国政府がもっとも恐れていることはなんでしょうか?
中国は直近の過去の歴史を振り返ると、天安門事件やチベット問題がネットで検索しにくい様に規制したりして、先日Googleともめていました。
所得が上がると言う事は、国民の教育レベルも、それなりに上がってくるということです。中国国内の問題が先進国と対比した時に、どれだけかけ離れているかとということの報道規制をするぐらいの国です。
もし、この経済格差の問題が、大きくクローズアップされたらどうなるでしょう?
デモで済むような問題ではありません。
私が想像するに、国際取引の経済的恩恵に直接的に与れない人の中にも、僅かながらにハイレベルな教育を受けていて、リーダーシップを取ろうとする人が出てくると想像します。そういう人が政府の目をかい潜ると、経済格差に不満を持っている人の思いが爆発することになるでしょう。
中国政府は、世界経済の中心に躍り出るために、経済成長を遂げることに躍起になっていますが、その反面、急激な経済成長における経済格差という国内問題抑制に必死になっています。この相反する問題を解決できずにいます。
因みに、最低賃金を一気に引き上げる様なことをすれば、中国は「世界の工場」としての地位をその瞬間に失うことも解っているはずです。
そういう状況において、尖閣諸島問題は、大変に好都合だったと思います。
国際取引の経済的恩恵を直接、享受できない圧倒的多くの中国国民が不満を外に目を向けてくれたら、こんなに好都合なことはありません。特に、北京オリンピックや上海万博など、国民が注目するイベントが終わり、何かネタが欲しい時だけに、尚更、好都合でしょう。
あまりに、タイミングが良すぎて、中国政府が故意に今回の問題を引き起こしたのではないかと考えてしまうぐらいです。
中国政府は、日本との経済外交に於いて、直接的に利益を享受している人を傷つけない様にしながら、圧倒的多くの国民の不満をここに散らせるようにしていると考えるのが自然です。
日本から見れば、領土問題をこれ以上こじらせない様にしながら、経済損失を出さない様にすることが肝心です。
日本の法律に従って粛々と処理をしながら、最終的には「国外退去処分」で後は、中国に任せるぐらいの対応を素早くすることで、あとは、日本から見れば、日本経済にはあまり影響の無い中国国民が騒いでいるだけという環境は作れます。
これで、当面の問題は解決できるでしょう。
しかし、この様な問題を抱えている国です。
人口13億人、世界の5分の1の人口がここにいます。
この問題や民族問題が顕著化したら、この国は平和であることは、人類の歴史を遡れば、極めて不自然な状況です。
中国バブルの崩壊は経済破綻よりも、もっと酷い形で終わると考えているのは私だけでは無いと思っています。
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