前年比と前年度比

連載シリーズ 【 前年比と前年度比 】 第 3 話 / (全 3 話)
宅地建物取引者試験~こぼれ話~

先日も書いたのですが、今年の宅建の試験は
没問(問題に瑕疵があり、その問題は全員正解)により
その没問を間違えていた人が合格するという事態が発生しました。

さて、その没問の間違えというのは・・・

「度」という一文字でした。

「前年比」と書かなければならないところを「前年度比」と問題で書いてしまったことにより、その問題には正解が無くなったというのが理由です。

前年・・・昨年の1月1日~12月31日
前年度・・・任意の昨年の期間のこと。例えば3月末決算の会社であれば、今年(2011年)から見た前年度は2010年の4月1日から2011年の3月31日

つまり、前年度というのは任意の期間になりますから、問題としては確かに不適切です。前年度と書くのであれば、その期間を何年何月何日~何年何月何日を指定しないと解答が無くなります。

しかし、実は同じ間違いを新聞やテレビのニュース等でも良く見かけます。
記事のタイトルでは「××商事、営業利益前年比○%減・・・」と書いてあるのに
記事の内容では「前年度比で営業利益が○%減した。」等ということはよくあります。

それに対する、お詫びの記事や訂正を私は見たことがありません。

つまり、今回の宅建の試験に於いて、
「確かに問題に日本語としての間違いはあるが、それにより、全員を正解にするほどのことではない。」とも思います。

しかし、世の中には私よりも日本語に詳しい人で
この間違いに気が付き、この没問に正答が無いと言うことに
試験中に気が付いた人がいます。

この間違いに気が付くぐらいだから、当然に合格しているかというと
結果は35点(ボーダーライン36点)で不合格だそうです。
この人は、この没問には正答がないのでマークをしなかった。

結果、49問で34点。

没問が全員正解になったので自己採点の結果35点とのことでした。
この問題にかけた時間が20分(試験は50問で120分)だそうです。

言い訳にも聞こえますが、見直す時間があれば、正解にできた問題もあったそうです。
(でも、「あと1点ぐらいなんとか、なんなかったのか!」と言いたい。)

たかが宅建ですが持っているといないでは、大きく影響を与える場合もあります。
自分も、言葉の間違いで人に勘違いを与えることや迷惑を掛けることもあります。
注意しなければならないとよくよく考えさせられた事象でした。

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