建築コスト(第1話) ~CM編~

カテゴリ:ブログ 不動産開発
連載シリーズ 【 建築コスト(第1話) ~CM編~ 】 第 1 話 / (全 3 話)
建築コスト・コンストラクトマネジメント

大型の賃貸マンションなどを建築しようとする時に、
当然ながら、建築主は、『如何に安く作るか!』という命題に当ります。

これを考えずに、ゼネコンの言いなりの仕様、近隣の不動産会社の言いなりの仕様、もしくは設計を依頼した設計士の言いなりでマンションを建築すると高いコストについてしまいます。

そこで、一般的にはCM(コンストラクション マネージメント)を取り入れます。

これは、時々、分離発注と勘違いする人がいるのですが、狭義の意味に於いては分離発注もCMの一部と考えてよいでしょう。

さて、分離発注を簡単に説明をしておきます。

あるマンションの見積をゼネコンAとゼネコンBに依頼しました。

ゼネコンA:5億円
ゼネコンB:5億5千万円

各社は上記の見積を出してきました。この時点で、ここまでの価格差があるとゼネコンAに発注しようとします。

しかし、よく見積を比較してみると、各戸に入れる流し台(キッチン)の価格が、

ゼネコンA:10万円/台
ゼネコンB:9万5千円/台

同じ仕様にも関わらず、ゼネコンBの方が安い。だからと言って、ゼネコンBから流し台だけを発注する訳にはいきません。

そこで、キッチンメーカーなどと直接交渉をして、ゼネコンAに流し台を別途にしてもらい、流し台を建築主が支給する方法を分離発注方式といいます。

これを、流し台に限らず、多岐の分野に渡ってやれば、大幅なコストの削減になります。
ハウスメーカーなどでは、極々当然に行われています。

しかし、ハウスメーカーのような組織で、しかもプロ集団が、建築の流れ、物流、倉庫などのを完璧に押えてやるから出来るのであって、素人がやると大変なことになります。

そこで、登場するのがCM会社です。

CMを専門にやっている会社もありますが、別にCMを専門にやっている会社に頼む必要性もなく、普通の設計事務所でCMを得意とするところに依頼するというのでも、一定の効果はあげられます。

設計事務所の中には、過去にゼネコンで現場監督の経験があったり、ハウスメーカーの購買発注関係の仕事をしていた人が独立してやっている場合もあります。

普通の設計事務所、もしくは設計しかやったことのない建築士の見積のチェックというのは、粗雑なチェックになり勝ち(というか、良くわかっていない)が多いですが、現場監督、購買発注、積算の経験がある建築士がいる設計事務所であれば、充分にその効果をあげることができます。

もちろん、建築主にその能力があれば、建築主がそれを行うことも出来なくはないのですが、一戸建ての注文住宅レベルなら別として、3階建て以上で10戸以上あるような共同住宅などで、この能力が無い人がやると大変なことになります。

ある知人が設計した現場で、こんなことがありました。知人は桜田先生(仮名)という、私よりもちょっと早く一級建築士になって、まもなく一級建築士暦20年というベテランです。もともとゼネコンの設計部や工事管理部にいたキャリアもあります。

建築主は山岸さん(仮名)という方で、相続で一定の資産を得て、将来のことを考えて、相続した土地に賃貸マンションを作ることにしました。この建築主の方は、まだ、現役で働いている方です。仕事は、産業機械を開発する会社の技術系の方でした。

桜田先生が設計した、マンションは地上9階だての52戸のマンションです。

簡単な概要ですが、1階はエントランスと管理人室と駐車場。
2階~6階までがワンルーム(約25㎡)で各階8戸の計40戸
7階~9階までが2LDK(約50㎡)で各階4戸の12戸

このマンションで大変な問題が発生しました。

どのような問題が発生したかについては第2話で書くこととします。

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