建築コスト(第3話) ~CM編~
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- 建築コスト(第3話) ~CM編~
前回に続き、その他の問題事例を書くこととします。
私の知っている他の事例でも・・・
建築主がインターネットで見つけた安いフロア材に変えようとして、建築主がいざ発注してみたら、必要な数量が納入されるのに半年以上掛かってしまうことが解り、結局、当初の床材に戻したけど、そっちも生産に1ヶ月かかるということで、結局、工期が1ヶ月延びてしまいました。
工期が1ヶ月延びれば、現場管理費がその分、増えてしまいます。(現場監督を余計に1ヶ月配置しなければならない。現場事務所も1ヶ月余計に借りなければならない等)
特に、最近ではインターネットでの通信販売等で、通常では素人がなかなか買えなかったようなものが簡単に手に入るようになりました。しかも、人件費が掛かってない分、そちらの方が安かったりすることが普通にあります。実際に私も、自宅の建具のラッチが壊れた時にネットで1個だけ取寄せて、自分で直したりできるので便利だと思います。
そして、素人がゼネコンの見積よりも安く買えることが簡単にわかってしまう時代です。
ただし、製品の値段だけの問題ならです。
問題はこのような、搬入の手順や数量だけのトラブルだけではありません。
アフターのトラブルもあとが絶えません。
製品は建築主が支給したものですから、製品に関する欠陥はメーカーの責任です。しかし、取付けたのはゼネコンですから、施工不良はゼネコンの責任です。
簡単な問題ですが、実際にはどちらも責任は取りたくありません。そもそも、建築主もどちらにアフターを頼んで良いか解らない場合もあります。
ある時、クッションフロアを支給した建築主さんがいました。それも、日本の有名メーカーのものではなく、韓国製のものでした。結果、2年後にそのクッションフロアが剥がれてきました。最初は施工不良だと思いゼネコンに修理を依頼しますが、調査の結果、そのクッションフロアの専用接着剤の耐熱性があまりに悪く(40度前後で劣化する)、窓際の日当たりの良い場所から剥がれてきているということが判明しました。
ところが、その韓国製のクッションフロアは、日本の小さな商社(ネット通販専門の商社)が韓国の会社にOEM生産を依頼したものでした。
その日本の小さな商社はすでに無くなっており、韓国のOEM生産を依頼した会社も解らず仕舞いでした。
結果的には建築主の負担で、全てのクッションフロアを貼り替えるということがありました。
また、これは建築時のトラブルではなく、マンションのリフォーム工事のときの話です。
リデベで、マンションのリフォームを依頼されました。依頼された範囲はキッチン等を含む水周りのリフォームがメインでした。
そこで、見積を出したのですが、キッチンだけで50万円+αぐらいの価格になってしまいました。
これは
1.既存のキッチンの解体廃棄費用
2.既存キッチンを取り外すのでタイルが使えなくなるのでキッチンパネルの材工費用
3.梁下にキッチンの換気扇がぶつかるので、その部分の特注費用
4.新しいキッチンの費用
5.新しいキッチンの運搬費用
6.キッチンの取付費用
7.ガス工事費用
8.給水給湯排水工事費用
の全てが入っている値段で、その明細もちゃんと書いて提出しました。
しかし、この依頼主は
「キッチンなんて、ニトリで12万円以下で手に入るだろ!」
と言って怒り始めました。
たしかに、ニトリで安いキッチンを買うと12万円以下ですが、これは上記でいう6の部分だけの値段です。しかも、ニトリで買うキッチンは梁型に合わせた特注などできません。この依頼主に、キッチンの解体廃棄やキッチンパネルの取付は大工、キッチンの取付はキッチンメーカーの専属業者、ガス工事はガス屋、給排水工事は設備業者と4つの業者が必要なことを説明しましたが、
「キッチンメーカーが全部やればいいだろう!」
と言い出す始末です。
私は、一生懸命説明しようとしたのですが、なかなか、ご理解を頂けませんでした。正直言えば、2回説明した時点で面倒だなとも感じていました。
当然ですが、この話は破談になりました。
結果、その物件がどうなったかと言うと、水周りは一切にいじらずに家賃を下げて募集していました。おそらく、その依頼主は修繕費という概念があまり無かったものと考えられます。しかし、周辺の新築物件も今の経済状況下の中で賃料は下落していますから、更に下げないと決まらないでしょう。
そして、一度下げた家賃はどんなにリフォームしても、元には戻らないということを知らなかったものと考えられます。
前回の洗面所の件もそうですし、今回のクッションフロアの件もそうですが、値段が安いことだけでは、全く話になりません。必ず考えておかなければいけないことは、
・ 着工前に設計事務所、施工会社と相談して、仕様を決定しておき、取付費用や搬入のタイミングなどで発生する運搬費用・保管費用などを検討しておく。
・ インターネットやホームセンターで見つけたものの場合は、必要な数量やどこまでの工事を行ってくれるかを確認しておく。価格.comで調べた値段が全てではないということです。
・ 分離発注や施主施工にする場合は、建築基準法や消防法などに抵触しないものか、製品性能が問題ないかを事前に設計事務所などの専門家の意見を仰ぐ。
・ 分離発注などを行う場合は、責任の範囲を起こりうる事態を想定して、責任所在を明確にしておく。
このようなことが、できなければ分離発注は不可能です。しかし、これができれば、建築費などのコストダウンも可能です。
コンストラクションマネージメント、建築費の削減などは、是非リデベにご相談下さい。
まずは1本、お電話ください。些細な疑問にも答えます。プロ、アマ、一般の方、すべて歓迎。