日本の不動産の行方

カテゴリ:ブログ 政治経済

昨日から、Yahoo!の経済ニュースに「弁護士業界も熱視線!?賃貸住宅の更新料の瀬戸際」という記事が出ていました。

まぁ、更新料のニュースが出た頃から、ハイエナ弁護士がたかるだろうことは、想像はしていたので、これ自体は驚くことでもなんでもありません。

東京では、エイ○ルやら藤○不動産やら・・・みんな、更新料を取っています。

どちらかというとオーナーのためと言うよりも、不動産会社のためです。更新料が無ければ、この業界で生きていけない不動産会社って沢山あるのが現状です。

特に、街場の小さな不動産会社で、管理物件が少なく、流動性が少ない物件しか持っていない不動産会社にとっては、尚更のことでしょう。

今の日本の住宅産業がどうやって支えられていたかと言えば、安い労働力(職人)を使って、現場で手作業で家を作ることで成り立ってきました。これは、木造の一軒家に限った話ではなく、建築業界全体に言えた話です。

そもそも、戦後の復興期(昭和25年~35年)に

「とりあえず、人の住める家を・・・」

で、建てられた家というのは、それは当時の技術を考えても、かなり、粗末なものでした。当然に、住宅の寿命にも限界があり、バラつきはあるものの、30年程度が限界だったと考えられます。人口の増加と戦後復興期に建てられた家の建替え需要で、今まではそれなりに、住宅の需要はありました。しかし、これからの住宅寿命は50年~70年はありますから、次の建替え需要による、住宅ラッシュは今世紀の後半、2070年~2090年ごろと想定されます。

※ 材木は生きていた年数、建築材料として保つことが出来ます。鉄筋コンクリート造の場合なら、セメントが中和されるまで保ちます。それが50~70年の根拠です。

問題は、これからです。最近、マンションの建替えをやり安くする為(経済対策の一環として)に容積率の緩和を行うことが発表されていましたが、実際にどの程度、必要があるのだろうかと思いました。

住宅の需要が多ければ、当然に有効な手法かもしれませんが、住宅自体は、完全に供給過多で、余っているのが現状です。人口は確実に減る訳ですから・・・。

そこにマンションの緩和を使って、新たにマンションを販売しても、そのマンションを買う人たちが、住んでいたところが空室になります。

また、建物だけではなく、日本の建設産業や不動産業というのは、いずれにしろ、需要に対して、人間が多すぎるのは間違いありません。

不動産業というのは、一応、不動産会社の5人に1人は宅建の免許を持っていることが条件となっています。これは、建設業と比較すると意外に厳しい条件ですが、持ってない人には失礼ですが、宅建の試験とは、扱う商品の額や実務レベルで必要な知識と比較すると、おそろしく簡単な試験です。

実際に、宅建など、不動産未経験者の主婦が試験を申し込んでから勉強しても、やり方さえ間違えなければ、受かってしまいます。

宅建を持ってたら不動産のことが解っているかというと、それもぜんぜん違います。

建設業に至ってはもっと甘いのが現状です。

例えば、一級建築士が一人いれば、あとの実務担当が無資格でも、その設計事務所はやっていけます。極論を言えば、一級建築士が一人で、あとの100人が全員無資格でも、設計事務所として成立するのです。

これでは、一級建築士になるのが、どんなに難しくても意味がありません。

この辺りは改善していかないと、本当の意味で知識のある人や技術力のある人が生きていけなくなってしまいます。

挙句の果てに、建築士でも無い人間が、なんちゃらインスペクターなどという、資格を作って、住宅を診断していたりします。もっとも、この資格を持っていないと今のところ、住宅の診断が出来ないと言う訳ではありませんがアホらしい話です。

簡単に言えば、欠陥住宅を素人が診て、金儲けをしようという資格です。

もっとも、設計で食っていけない建築士がこの資格を取得しているという話も多々聞くので、あながち、素人じゃな方もいるかもしれません。

※ ちなみに、住宅の性能を評価する資格に、住宅性能評価員という資格もあるのですが、こちらは、建築士が前提条件の資格です。

また、建設業や不動産業のGDPに占める割合が大きく、経済効果が大きいのはよく解ります。

しかし、建物や不動産というのは、目先の経済よりも長期的に考えないといけないものです。

景気浮揚のために容積率を緩和して、マンションを一定地域に大量に作れば、保育園や小学校が足りなくなります。しかし、その子供たちが成長すると、今度は中学校が足りなくなります。そして、作った、保育園や小学校は、今度は一転、生徒が足りなくなり、教室が余ったり、私立の保育園は廃業になります。

その子供たちが同一エリアに住む余地は、おそらく無いでしょう。

そして、40年後には高島平団地の様な高層マンション群が出来たりします。

50年後に東京ベイエリアが、限界集落なんて言われているかもしれません。

もっとも、それより前に温暖化で海水位が上がり、とても住める場所では無くなっている可能性もあります。

本来の都市計画とは公共のサービス(学校や図書館、病院、公民館、役所etc)を中心に、循環型の住居地域を形成しなければ、長期的に見れば破綻することになるの必然です。こんなことは、大学で都市計画を学んでいる人なら1年生でも知っていることのはずです。

今、日本の景気はバブル崩壊以降、立ち直っていませんが、おそらく、今後、劇的に改善されることは無いと私は考えています。ある一定のところまで人口が減って、そこから増えだせば別ですが・・・。まぁ、私の目の黒いうちには無理でしょう。

建築や不動産を、そして経済をもう少し、まじめに考えていかないと、将来の日本に暗い影を落とすと思う最近です。

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