暑くて寝苦しいので・・・
冷夏だの日照不足だのといっても、やはり暑いものは暑いです。
暑くて目が覚めてしまいました。
昨日は終戦記念日(刺身の日ともいいますが・・・)ということもあって、テレビ番組では戦争に纏わる話がかなりやっていました。そして、『硫黄島からの手紙』を見てしまいました。映画館でも見て、DVDも持っているのですが・・・ついつい、テレビも見てしまいました。かなりの感動作だと個人的には思っていますが、不景気の時に見ると十分にネガティブにさせてくれます。
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ネガティヴになりますって書いて、誰がクリックするんだろう・・・
さて、暑い時と言えば・・・怖い話に決まっています。
私は分譲住宅を作る会社にいたのですが、随分、多くの分譲住宅に関わりました。以前にも書いたかもしれませんが、1000戸以上の分譲住宅に関わっています。住宅産業というのはクレーム産業でして、そのクレームの多さは他の製造業の比ではないと思います。
さて、そんなクレームの中で、ある時でした。
アフターメンテナンス部のS君から電話です。
「相澤、○○町の4号棟のお客さんからなんだけどさぁ・・・。床下から変な音がするっていうんだよ。心当たり無い?」
※○○町は私が設計した都内の分譲団地で全8棟でした。
「ん?床鳴りか?」
※戸建住宅のクレームで多いのは雨漏り・外壁のクラック(湿式工法の場合)・床鳴りです。
※床鳴りとは根太と下地合板もしくは下地合板とフロアー材の擦れる音もしくは、それをくっつける接着剤が割れて、床の上を歩くたびにミシミシ、キュッキュッ、もしくはパキッ という音がする欠陥です。
「いや・・・。見てきたんだけど、床鳴りはしてなかったよ。」
「なんだ、もう行ってきたのか・・・。じゃあ、原因は解るだろ。」
「いや、それがわからないんだよ。俺が行ってきた時にはまったく音がしなかったんだ。」
「お客さんの勘違いじゃないの?」
「う~ん。最初はさぁ、そう思ったんだけど、お客さんがその音を録音してきたんだよ。」
「録音!?珍しいお客さんだね。で、どんな音なの?」
※ハウスメーカーのお客様対応が悪いと、証拠を提示するお客さんはいるのですが、私がいた会社は対応がすごく良くて、クレームがあると、係りの者がすぐに行きます。
「ちょっと、こっちまで来て聞いてくれる。」
「了解。すぐに行くよ。」
S君と私はフロアが違ったので、とりあえず、私はS君のフロアに行きました。すると、S君とその上司のI部長が待っていました。カセットデッキを用意して・・・
I部長が・・・
「おっ、相澤来たな。お前、なんか悪いことしただろ?」
「へっ?するわけないじゃないですか?」
「まぁ、この音を聞いてみろよ。」
カセットのスイッチを入れると・・・
最初に聞こえるのはなんかガサガサという音です。
「なんです?この音・・・」
「あっ、これはカセットが古いせいだな・・・」
『雑音かい!』
と言いそうになったところで
「まぁ、この先だ。ちょっと静かに聴いて。」
ひゅ~ひゅ~と風が通り抜ける様な音がはっきりと聞こえます。
「なんですか、この音?換気扇回したまんま、窓か給気口のところで録音しました?」
「これ、どこで録音したと思う?」
「わかりません。」
「お客さんが床下から音がするっていうんで、台所の床下点検口からカセットを床下にセットしたそうだよ。」
「なんだ・・・音の発生場所、解ってるんだ。で、そこに何があった?」
I部長とS君は見合わせました。そして・・・
「何もないから、相澤に聞いてるんだよ。」
「何も無ければ、私だって解りませんよ。っていうか、この音は明らかに建物の発生する音じゃないと思うんです。と、すれば私が何かわかるとは思えません。」
「じゃあ、なんの音に聞こえる?」
「風が通り抜けるような音に聞こえますが・・・」
「もう、一回、よ~く聞いてくれ」
今度はヘッドフォンを渡されました。そして、再度聞くと・・・
「あっ・・・」
たしかに、聞こえます。『ひゅ~、ひゅ~』の後に「うぅぅぅ・・・」という唸り声の様な音が聞こえます。
「な・・・なんですか・・・。なんか、風の音じゃなくて・・・。人が息苦しそうに呼吸している音に聞こえます。そして、唸り声の様な音も聞こえます。」
「だろ・・・」
「だろって・・・。これ、クレームというか・・・。設計の私の出番じゃないと思うんですけど・・・」
「そうだけどさぁ・・・。相澤は設計だろ。建てる前にここに何があったとかわからない?」
「いえ・・・。私が担当として、現場に行った時には完全に造成が終っていましたから、なにもありませんでした。ただの土地でした。」
そういえば・・・と思うことが脳裏をよぎりました。
「あっ、地耐力のデータがありますね。ここはたしかボーリングもしてます。」
「地耐力じゃあ、音の原因はわからないだろ・・・。」
「でも、ボーリングのサンプルで地質ぐらいはわかりますよ。」
というわけで、地耐力のデータを見ると・・・
「なんで1m~3mまでの地耐力が殆どないんだ?」
「なんででしょうね?全く無いわけじゃないから空洞ってことはないですが、これは何か埋め戻してるような感じですね。」
ボーリングのサンプルを見ると・・・
「なんか、腐った木片みたいなものが、3mぐらいのところにあります。」
「なんかが埋っていて、それを埋め戻したのかな?」
「とにかく、造成をした会社に聞いてみることにするか」
というわけで、造成をしたG社の担当に電話しました。
「○○町の4号棟付近なんですけど、なにか埋っていました。」
「ええ・・・。なんでですか?」
「いや、そこだけ、地耐力が出てないんですよ。」
「すでにお家も建てたから、今更なんで地耐力のことを聞くんですか?」
※明らかに何か、隠している様な雰囲気です。
「もう、地耐力の件はいいんですよ。ただ、そこに何があったのかを知りたいだけなんです。」
「あの・・・。別に隠すつもりは無かったんですよ・・・。」
「な・・・にを?」
「防空壕があったんです。」
ということでした。造成業者はなにも悪く有りません。
ただ、こっそり、お坊さんを連れて行き、外からお祈りをしてもらいました。
(まさか、お客さんに防空壕の上です・・・とも言えず・・・。重要説明義務も無いだろうし・・・。)
その後、そのお客さんからのクレームはありません。
その音が何の音だったかは、みなさんのご想像にお任せします。
また、くだらない話だけど・・・
まずは1本、お電話ください。些細な疑問にも答えます。プロ、アマ、一般の方、すべて歓迎。