不動産市場 大底打ちVS二番底
今週の週間東洋経済は
『差し迫る構造大転換
マンション
ゼネコン
不動産』
と文字の色も真似て見ました。
・・・真面目に書きます。
書いてあることは業界にいる人間なら殆ど知っていることなので驚くことはないのですが、そこで面白いのが今後の不動産業界の予想です。
(ゼネコンの将来はもう真っ暗という感じで筆舌につくしがたいという感じです。って、ちゃんと書いてあるけど・・・)
で、不動産業界の予想は
『大底を打った!』Vs『二番底がある!』
の双方の予想があることです。
業界側の人の意見を要約すると・・・
「大底は打ったが、大きな市場回復は当面の間、見込めない。」
調査会社やマーケティング会社は
「政府の景気対策息切れで、所得が回復しなければ二番底はある。」
という見解でした。
まぁ、どちらとも捕らえることができるのですが・・・
自分の意見を書くと、まずは
実需の市場にはやはり二つの可能性があります。
日本の製造業市場は中国経済が堅調であることが確認されたことから、急激な悪化は避けられると思うし、ブラジルにオリンピックが決まったことでBRICsのBが経済発展を約束された感じがありますから、アメリカ合衆国の経済も上向いてくる可能性は高く、円高懸念さえ払拭できれば、景気そのものは落ち着いてくると考えるのが自然です。
たしかに、CMBSなどの金融不安はあるものの、実需面が回復してくれば、所得が落ち着いてくることから、オフィス市場やマンション市場の実需面は東京から回復してくると思われます。
問題は亀井さんが吠えているモラトリアム法案です。
たしかに中小企業などで借金に苦しんでいる会社は救われる感じがしますが、金融機関は必然的に貸し渋りをせざる得なくなります。住宅ローンも、査定が厳しくなることは必死です。また、同様に新規の設備投資に対し、金融機関の査定が厳しくなれば、オフィス市場も苦しくなるでしょう。
メディアなどが報道している、モラトリアムの間の金利等を政府が補償すれば、その財源の確保そのものが危うくなることも十分に考えられ、結局は優良資産が動かなくなることは必至です。
そのことから、実需面での二番底は『亀井さん次第』と言ったところではないでしょうか・・・。
投資用不動産市場は二番底があると考えています。
現在のJREITは官民ファンドの効果もあって、少し落ち着きましたが、その効果もそろそろ息切れ気味だと思います。個人的にはJRIET同士の合併などで、拡大しすぎた市場をある程度、安定させる方向に民間の力で向かわせるべきだったと思うのですが、そこに政策投資銀行という実質上『官の力』を投入したことで、延命処置をしてしまいました。景気さえ、回復すれば、その延命処置により、自然回復すると考えたのかもしれませんが、結局のところは、それが実態経済に即してなければ、その『官の力』が無限でない限り、息切れします。
日本の不動産市場の場合、外資による制限がないですから、外資が大量に流れ込んでくれば別ですが、欧米市場から大量に日本の不動産市場に資金が流れ込んでくることについてが懐疑的です。もっとも中国などの新興国の資金やアラブ系の資金が流れ込んでくる可能性はあります。
しかし、先のダヴィンチのPCPの様にデフォルトするケースも多発することが考えられます。そうすれば、その物件が格安で出回ることとなりますから、それに向かって二番底が十分に考えられます。
この事から、実需市場で無理をしないということが現在の不動産業界の生き残る道かと思います。投資用不動産市場はニッチな世界で細々と・・・と言ったところでしょうか。
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