虚栄と依存 ~石井琢朗選手を見よ~

自分の会社は設計事務所であり、不動産屋です。
今日は、新たに一つの設計契約を締結することができました。

この仕事のきっかけは、もう15年以上の付き合いになる、建材業者の社員の方からの紹介の仕事でした。

私だったら、紹介できる建築士だとのことで、大変に有難いお話です。
大きな仕事ではありません。

しかし、私は、
『仕事というのは大小で、力を入れ具合を変えるべきではない。』
と考えています。

とは、言うものの自分の中で・・・
「何か新しい展開ができないか・・・」
「もっと、斬新なアイデアで、新展開を導き出せないか・・・」
などと、考えていることがあります。

そして、その浅慮をうちの社員に話すと、よく言われるのが
「社長の良いところは、その知識の多さと、優しさですよ。一発長打を狙えるタイプじゃないですから・・・」
と言われてしまいます。(うちの社員が私のことを『社長』とは言いませんが・・・)

今日、プロ野球選手の石井琢朗選手が引退を表明しました。
1998年、横浜ベイスターズの日本一の一番バッターです。その年の横浜ベイスターズは、マシンガン打線と言われ、一度、打ち始めると止まらない打線です。一発のホームランの怖さは、無かったのですが、とにかく、ファールで粘られ、相手投手は球数を投げさせられ、そしてペースが落ちたところを一気にたたみ掛けるというのが当時の横浜ベイスターズでした。その筆頭が、石井琢朗選手でした。

私は横浜ベイスターズのファンではありませんが、タイプとしては、一発長打を狙うタイプで無いことは、自分でも解っています。それでも、時々、ホームランを打ちたくなることがあります。
いつもだったら、諦めないで粘る場面で、雑な仕事をしている自分がいます。

でも、本当に仕事が上手く行くときは、諦めないで丁寧な仕事をして、次に繋げて、またそれを諦めないで次に繋げる。時間は掛かるけど、気がつけば仕事に繋がり、そして、それに関連して一気に仕事が上手く行くというのがパターンです。

もう、事件になってから随分経ちますが、ライブドア事件という事件がありました。
一言で言えば、証券取引法違反だったのですが、この事件が取り沙汰される前のライブドアの社長だった堀江貴文氏は、まさに『飛ぶ鳥を落とす勢い』でした。

衆議院選挙に出たり(元国民新党代表の亀井静香氏と対決して落選)、近鉄バッファローズの買収に乗り出したり(紆余曲折の末に現在の楽天イーグルスになる)、ラジオ放送局であるニッポン放送の買収に乗り出したり(実質的にフジテレビの親会社でニッポン放送の買収はフジテレビの買収になる)と世間を随分と騒がせました。

当時、私はサラリーマンだったのですが、自分の所属する部署の役員が、ライブドアに感心していて、朝礼で堀江貴文氏を随分と評価した話をしたことを覚えています。

しかし、その頃の私は
『ライブドアって、何の会社だろう?』
と思っていました。もちろん、ポータルサイトの運営や今で言うところのSNSを一早く手がけていたことは知っていましたが、その部分で多額の利益を得ているようには、到底に見えませんでした。しかし、それが現実で虚栄であったことは、すぐに解ることとなりました。

さて、私はシャープという会社が好きです。
携帯電話は、機種こそ替われど既に10年以上、シャープ製の携帯電話です。家のテレビには、画面の左上に
『世界の亀山モデル』
というシールが貼られています。

そして、私は建築士ということもあるのですが、製図用のシャープペンを愛用しています。このシャープペンを開発したのが、現在のシャープであることをよく話します。(もっとも、私の愛用しているシャープペンはシャープ製ではありません。現在、シャープ社がシャープペンを製造しているかどかは知りません。多分、作ってないと思います。)

現在、シャープは極めて苦しい状況にあります。それは液晶パネルに依存したことに起因します。もちろん、この液晶パネルなどの世界の時間の流れが他の業界と比較して、極めて速いこともあります。しかし、シャープはまさに
『世界の亀山モデル』

に依存しすぎたことが原因で非常に苦しい立場になりつつあります。
今、シャープは多額の緊急融資を調達しながら、大規模なリストラを慣行しています。仕方が無いこととは思いますが、残念でなりません。

シャープの創業者である早川徳次氏の名言の一つ、
「人に真似をされる物を作れ」
で、シャープは今日に至りました。

シャープは今の『亀山モデル』を世界に真似をされるようになりました。しかし、現在の苦しさは次の一手が出ないことにあります。依存しすぎたことが原因だと思います。
広島カープの若い選手は石井琢朗を手本にしているそうです。

石井琢朗選手は、プロ野球入団当初はピッチャーでした。野手に転向して努力を重ね、若い頃はその瞬発力を活かし、広島カープ時代は、一球に賭ける勝負強さを磨く努力をしてきました。虚栄も依存も無かったからこそ、24年間というプロ野球選手として、極めて長い時間を一線でいられたものと思います。

虚栄も依存もせずに諦めないで、
今に必要なことを努力することの大事さを考えた一日でした。

石井琢朗選手、あと少しですが、その勇姿を見せて下さい。

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