違法建築物であることを不動産業者は説明しなくてよいのか?

多くの宅地建物業者さんや、重要事項説明で違法建築であることの説明を受けなったという方がいるので解説します。

まず、大前提になりますが、

違法建築物は、存在そのものが違法です。法では行政処分により、使用禁止や除去(取壊し)、さらに悪質な場合は、刑事処分や罰金刑という場合もあります。これは完了検査を受けていない、各行政の定める条例に違反している等も含めます。

悪質な場合とは

・ 違法建築物に対する行政指導に対し、それを無視する、もしくは度重なる勧告に従わない。

・ 営業を目的とする複数の建物で同様な建築基準法・条例違反を繰り返す。

・ 建築基準法・条例違反であるということを認知していて、それを故意に行う。

 

実際に、行政処分があるのかと言われると、事例は非常に少ないのですが、いずれも見たことがあります。

そのことを前提に読んでください。

Q.違法建築物であることを不動産業者は説明しなくてよいのか?

【解答】

仲介業者は、違法建築物であることを知っていれば、説明義務はあります。

【解説】

まず、今回の質問は「違法建築物であることを不動産業者は説明しなくてよいのか?」ということですが、責任の所在は

・売主(貸主)

・不動産仲介業者

となります。

本質問から、ずれますが一応、売主(貸主)の責任について書いておきます。

売主の場合は、民法570条の瑕疵担保責任という問題が発生します。つまり、隠れたる瑕疵があった場合については、買主が気づいた時点から1年以内に契約解除又は損害賠償の請求ができます。

貸主の場合は、建築基準法87条違反になります。詳細については『違法建築物を賃貸してよいか?』をお読み下さい。

さて本題の不動産業者の責任です。

まず、解答に書いた通り、違法建築物と知っていれば、宅地建物取引業法47条に抵触します。これは、売買であっても、賃貸であっても当然に抵触します。

宅地建物取引業法

47条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

47条1項 次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為

二 前略~、現在若しくは将来の利用の制限、~後略

つまり、知っていれば告知義務が発生します。これは同法35条の重要事項説明の列挙事項に入っていなくても同法47条に抵触しますから、重要事項説明時に説明しなければならないということになります。

と、ここまで書くと、不動産業者は「知らなかった」で全部押し通せてしまうような感じがしますが、以下のような場合に知らなかったと言えなくなります。

1.売主もしくは貸主から、違法建築であることを伝えられていた場合。

2.元付け業者(売主から物件を預った不動産業者)から、違法建築物を伝えられていた場合。

3.敷地面積に対して、建築面積や延べ床面積が建蔽率や容積率を明らかに超えている場合や確認申請証や検査済証が無い場合。

1や2の場合は当然です。

問題は3のような場合です。宅地建物取引業者は建築のプロではありません。建蔽率や容積率が明らかに超えているような場合は、建築のプロ如何に関わらず、違法建築が疑われます。この程度のことは宅建主任者試験にも出ることです。また、売主や貸主に、確認申請証や検査済証の有無を確認して無い場合は、当該物件の行政機関に行けば解ることです。

しかし、一般の不動産業者に、例えば、その居室の採光面積が確保されているかとか、必要換気量が確保されているかとか、建物その物が日影規制に抵触していないかとか、天空率や各種斜線に抵触していないかなどを調べることは不可能です。ですから、このようなことは、売主や元付け業者から、教えてもらわない限り、仲介業者は知りようが無いということになります。

不動産業者が知らなかったから説明をしなかったとしても違法建築物にあることには変りありません。これによって、行政指導がある場合もありますし、罰則規定もあります。その詳細については『違法建築物を賃貸してよいか?』『違法建築物に出店してよいか?』で詳しく説明しています。

 

違法建築物かどうかの調査は、リデベにご相談ください。

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