公示地価と相続税

まずはニュースより

国土交通省は20日、2011年7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を発表した。全都道府県の住宅地、商業地が3年連続で下落し、1年前に比べ下落した地点は91・5%に達した。東日本大震災で激しい被害を受けた地点は調査対象から外したが、震災後に関東・東北を中心に取引が落ち込んだことが響いた。特に東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県の下落率が顕著だった。
 回の調査地点は2万2460地点。東北被災3県と液状化被害の大きかった千葉県の一部地域など93地点は「判定不能」などとして調査対象から外した。
 住宅地の全国平均は、マイナス3・2%(前年はマイナス3・4%)と20年連続で下落。商業地はマイナス4・0%(同マイナス4・6%)で4年連続で値下がりした。ただ、下落率は前年から縮小した。低金利や住宅ローン減税を背景に震災前まで、住宅需要が堅調だったため。
 下落は2万564地点に上った。一方、地価は88地点で、前年の27地点から約3倍に増え、横ばいも863地点と、前年の302地点から約2・5倍になった。

【産経新聞 2011年9月20日 より抜粋】

公示地価が、実際の取引価格ではない。しかし、一つの指標となっていることは間違いない。
今回の公示地価から見ると、東日本大震災の被災地を除くと、大方の予想通りの結果となった。日本の不動産価格はバブル崩壊(平成元年)以降で言うと、平成17年~平成20年の4年間を除けば、ほぼ一方的に下がっている。この上昇した4年間と言うのも、三大首都圏を除けば右肩下がりの状態だった。

私は今後、当面の間(向こう30年以上)、日本の不動産価格が大幅に上昇することは無いと考えている。と言うよりも、下がっていくと考える方が賢明だろう。投機目的で不動産を買おうと考えている人がいればお勧めはしない。実需や投資(イールドギャップ)でしか不動産は買えないだろう。

しかし、規制緩和等があれば、瞬間的には上昇するチャンスはあるが、それでも上昇率は余程の一等地(東京主要3区の商業地)で30%程度の上昇で逆に反動で下がる方が大きいだろう。

日本の不動産価格が上昇しない理由の一つに相続税の問題が挙げられる。
相続が発生するから不動産を手放す人がいて、不動産の流動化が進み、不動産価格が上昇する様に感じられるが、これは人口が増加していたり、景気が上昇している場合で、実際には、需要が減少している時に相続で不動産が出てくれば供給量が増えるだけで、不動産の価格は下落する。

現在の税制改革の一環で相続税を上げる方向で調整が進んでいる。基礎控除額も引き下げる方向でほぼ話がまとまっている。
日本で相続税を支払う人と言うのは基礎控除額があることから、一定の富裕層である。日本は民主国家であるから、その富裕層から税金を徴収する案に反対する人は少ない。だから、増税しやすい項目ではある。

ところが、相続税というのは税収の僅か1兆円程度で、全体の税収の2%程度でしかない。逆に固定資産税や都市計画税は、10兆円もある。
もちろん、国税と地方税の差があるのだが、国家であれ、地方であれ、国に動かす税収であることは大差はない。

相続税、固定資産税や都市計画税は全てが土地に掛かるものではない。建物にも掛かるし、金融資産、現金など様々なものに掛かる。しかし、不動産が占める割合が圧倒的に大きい。
今、相続税を上げて、供給を増やし、不動産価格を下落させれば、固定資産税や都市計画税も下がり、結局は財政を悪化させ、富裕層以外の人の負担も増える。そして、基礎控除額を下げていき、今まで相続税の支払い対象者以外の人にも相続税が及んでいく。

しかも、都心の一部を除けば、相続税として物納された土地が財務省所有のままになっているものが沢山ある。(もちろん、都心にもあります。)
中には馬鹿な経済評論家がいる。基礎控除を下げて(例えば2000万円にして)、課税対象の税率を100%にしてしまえば53兆円の相続税が出るなどと言っているが、税率が100%になれば(近づけば)、資産2000万円以上の部分は生前に使ってしまおうとか考えるし、資産が2000万円を超えそうになれば、その人は働くのを辞めるだろう。この意見はすでに不動産価格下落以上の問題を抱えている。

相続税を上げるということは、僅かな税収と引き換えに、大きなものを失うということを少しは考えて欲しいと思っているが、今は、相続税を上げ、基礎控除額を下げる方向に進んでいる。

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