【経緯】外伝3~いきなり逮捕される~【立退き】

連載シリーズ 【 【経緯】外伝3~いきなり逮捕される~【立退き】 】 第 3 話 / (全 7 話)

今日は私の会社の社員Fが自分のマンションの契約をする予定日でした。

しかし、結局、契約には至りませんでした。

部屋はすごく良い部屋で社員Fも気に入っていたのですが・・・

契約の手続きの仕方と契約書の内容に大問題があって、一応、それを訂正するように貸主と交渉したのですが貸主がそれを理解できず結局、破談となってしまいました。

賃貸住宅をやっている不動産会社のみなさん、東京ルールは守りましょう。

http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-0-jyuutaku.htm

詳細については後日書きます。

さて、今日は買えてしまったマンションの立退きの話です。

 

皆さんは立退きというとどんなイメージをお持ちでしょうか?

きっと、こわ~いお兄さんがやってきて、怒鳴りまくるとか、

いっぱい、嫌がらせをして、そこに住めないようにするとか、そんなイメージを持っている方が多いと思います。

しかし、実際にそんな立退きをするのはバブルの時代の話で、
(その頃だってそんな立退きをする人が沢山いたわけではありません)

今はもっと紳士的に行います。

簡単に言えば『条件交渉!』これにつきます。

 

さて、まず買ったマンションの住人の属性をチェックすることになりました。

住人の属性のチェックとは、
簡単に言えばどんな人が住んでいるのかを調べるということです。

私はすでに、そのマンションのオーナーである会社のその物件担当ですからオーナーと概ね同じ権限を持ってます。契約書を全部見ること、その際に提出されている住民票や身分証明書のコピー、連帯保証人の身分証明書なども見ることができます。

この物件は27の賃借人がいました。

うちわけは法人3、一般で借りている方で単身者(契約時に一人で住むと言って借りた方)が18、家族で住んでいる方が6という内容でした。法人は出版関係、自動車関連、不動産関係といった感じです。個人の方の中に、ぱっと見て、これは・・・と思う方は2名いましたが、後は契約書及びその添付書類だけではわかりませんでした。

まず、立退き交渉の基本はそこを利用している(住んでいる)人と面識を持つことです。この面識の持ち方が一番、重要なんです。ここで、相手に好印象を与えることができるかどうかで交渉が上手くいくかどかが決まります。これは、立退き交渉だけではなく、すべての交渉においての基本です。

というわけで、その面識を持つための作業に入ります。

一番簡単な面識を持つ方法は、その物件の所有者が変わったという理由で

・ 家賃の振込先の変更のお知らせ

・ 賃貸借契約の作り直し

・ 新オーナーの挨拶

という理由で借主に会いに行くことです。

まずは、所有者が変わった旨のご挨拶のお手紙を出します。そこに、家賃の振込先の変更の旨を書いておきます。そして、前オーナーと連名でお手紙を出すことが重要です。前オーナーとしっかり話ができていれば、賃借人は安心します。

※実際には賃貸借契約の作り直しなどは必要はありません。また、オーナーに変わったことの承諾を賃借人に取らなければならない法的な理由もありません。前オーナーからオーナー変更のお知らせを出してもらえればそれで法的には完了です。

さて、お手紙を出したら、挨拶スタートです。当然ですが、いきなり行って、

「こんにちは~、新オーナーです。」

で、会ってくれる方は1割から2割で非常に効率が悪いので事前に電話して、アポイントを取っておきます。アポイントを取ろうとして、なかなか、会おうとしてくれない人は危険です。この段階では私は単なる新オーナーで押し売り(セールス)ではありません。

契約書や家賃の振込先変更の説明と言っているのに会いたがらないというのは、『来てもらっては困る。』なにかがあると考えて良いでしょう。この『危険な賃借人』から、交渉に入ります。なぜなら、こういう方は会うのも交渉するのも時間が掛かるので最後まで残ってしまうからです。

私の目的は再開発ですから、全員に出て行ってもらわなければならないので、どんなに他の方を早く立ち退いてもらっても、1人に居座られたらおしまいです。ですから、危険な人から交渉するわけです。

もっとも、このマンションで会いたがらない人は4人しかいませんでした。私は立退き交渉はこの時が初めてですから、それが多いのか少ないのかは解らなかったのですが、後にこれは約1割で少ない方だということが解ります。

その内、1名の方は会いたがらない理由が明確でした。

それは不動産関係の方で、契約書の新作成などが不要であることをちゃんと理解しているからでした。しかし、こういう方は話が早いです。我々のこの物件の購入した意図を正直に話して、後は立退き料の話ですが、相場をちゃんと知っていますから、大幅に値切ることもできませんが、無茶なことも言ってきません。

問題はあとの3名です。

1名は電話を何回しても出ません。

1名はなぜか、いつ電話してもいるんですが、忙しいからと言って会ってくれません。

そして、もう1名は・・・電話には出ますが、言葉が通じません。

相手が何を言っているかも、私が殆ど理解できません。

(私は義務教育レベルの英語と日本語が理解できるだけです。)

契約書にはカタカナで名前が書いてありました。しかし、この方は必ずしも会いたがらないわけではなく、言葉が通じなくてアポイントが取れないだけなので、後回しにします。

まずはこの電話にぜんぜん、出てくれない人から交渉開始です。

と、自分の中で勝手に決定しても電話には出てくれないのでアポイントは取れません。

さて契約書をチェックすると名前はYさん、年齢は・・・っと

80歳を超えています!

仕事は無し・・・

一人暮らし・・・

なんとなく不安になりながらも、とりあえずアポイントが取れないので現地に向かいます。メールボックスを確認すると、特に郵便類が溜まっている様子はありません。ということはメールボックスは誰かが確認している可能性が高いと思い、今度はお部屋まで行って、呼鈴を鳴らすも全く反応はありません。

(居ないのかな?)

と思いつつもドアに耳をあててみると、テレビの音声と思われるものが聞こえます。しかし、呼鈴を鳴らしても出ないので、その日は帰ることにしました。

さて、翌日です。

私は諦めるわけにもいかないので、この日もやってきました。

呼鈴の反応は相変わらずありません。しかし、この日もテレビの音声は聞こえます。この事態は当然、想像ができたので、手紙をもってきました。

『新オーナーで挨拶に来ましたが、電話も呼鈴も応答がありません。しかし、テレビの音声が聞こえるので中にいらっしゃると思うのですが、もし、倒れていて動けないなどのことがあったら心配ですから明日は合鍵で開錠します。』

という内容です。

手紙を玄関についている郵便受けに入れて、この日は帰りました。

さて、翌日・・・

相変わらず電話は出ません。

呼鈴を鳴らすも反応は無し・・・。

テレビの音声は聞こえます。

ここで、自分の中では本当に手紙に書いた事態が心配になってきました。

一応、ドア越しに

「鍵を開けますよ~~~~」

と何度か言って、合鍵で鍵を開けました。

(チェーンが掛かってる!!!中には誰か居るってことじゃないか!!!)

もう、頭の中ではYさんがテレビの前で倒れている姿しかありません。

私は必死に少しだけ開いている玄関から、

「Yさん、Yさん」

と叫びました。

開錠してから、10分ぐらいがたったでしょうか・・・

まだ、玄関越しに名前を呼んでいると、誰かが私の肩を叩きました。

振り返ると、ちょっとルーズな背広を着た男性が2名。私が何も言う前にそのうちの一人が

「建造物不法侵入の現行犯で逮捕します。」

「えっ・・・ガーン

一生懸命に事態を説明したのですが

「詳しい話は警察署で聞きますから・・・」

の一点張り。

私はそのまま、パトカーに乗せられて警察署に連れて行かれました。

立退き1件目でいきなり逮捕された立退き屋さんとなってしまいました。

続く・・・

Facebook にシェア
Pocket

株式会社リデベはプロも御用達の不動産・建築の総合コンサル会社です。
店舗物件、テナント賃貸、投資、空家対策、開発、地上げ等、貴方の問題を解決します。
まずは1本、お電話ください。些細な疑問にも答えます。プロ、アマ、一般の方、すべて歓迎。
無料電話相談
03-5389-6082
(営業時間:平日10時~18時30分)
・無料メール相談はこちら
・弊社サービス概要はこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

カンタン見積もりシステム
株式会社リデベのカンタン見積もりシステムは、お見積り内容を細かく選択でき、 簡単にお見積り作成・送信ができます。
金額の参考にもご利用ください。