【経緯】外伝2【立退き】
さて、前回の続きです。
そのマンションの購入申込をしてしまったのですが、
買わないで済むチャンスが直前にありました。
ここまでの間に売主と私は何度か打合せを行っていました。
その物件の境界確認は売主が完了して、実測を行った上での売買ということでした。
※これを実測売買と言います。実測を行わないで登記簿の面積で行う売買のことを公簿売買と言います。
この境界確定が行われてない状態で不動産を買ってしまうと大きなトラブルが発生します。
例えば、境界付近に塀があったとします。
その塀は自分の物のつもりだったのが、実際に境界を確定したら
『相手の土地と自分の土地の間にまたがっていた。』
自分としてはそこに綺麗なオフィスビルを作りたいからその塀を作り直したいけど、所有権が明確にならなくなっているので作り直せない・・・
そして、境界が確定しないので土地の面積も確定しないから建物を作るのにも困るし、次の売却の時も買い手が付かない。
という事態が発生します。
そして、この様なことは信じがたい話ですが良くあることなんです。
本題に戻りますが、契約前日になって、隣地の一箇所の境界が確定していませんでした。
理由は隣地の所有者と連絡が取れないという問題です。
隣地は借地で所有者がその場にいなくて連絡が取れなかったのです。
私はN氏に『境界が確定しないと、当然、社内の承諾は取れない』ということを伝えます。
N氏はもう、必死です。
契約前日の夜11時を過ぎた段階で私はこの契約を断念しようということをN氏に伝えたのですがN氏は諦めません。
「契約までに境界を確定すれば問題ないわけですよね!。私が今から隣地所有者のところに行って押印してもらってきます!。」
(この仕事は売主の仕事でN氏の仕事ではありません。)
私は絶対に無理だと思いながらもN氏からの連絡を待ちます。
ついに午前0時をまわって、契約当日に突入。
午前2時ぐらいに携帯が鳴りました。N氏からです。
「隣地所有者のところに来ているんですが呼鈴鳴らしても出てきません。」
私は一言・・・
「当たり前だろ・・・。」
さて、朝になって、その旨を上司に報告しました。
契約日になって境界が確定していないで契約が流れる・・・
怒られるだろうなぁ・・・と思いながら報告しました。
すると上司は・・・
「N氏の意気込みを買った!
契約後にN氏と協力して境界を確定しろ!」
と言い出しました。
(おいおい、5億からの取引なのに意気込みでいいのか・・・)
と思いつつも、上司が良いというので当時の私もよく解っていなかったのであえて反論もしませんでした。
今考えれば、上司も上司で、境界確定の重要性が解ってなかっただけの話です。しかし、その物件はこうやって無事に買えることとなってしまいました。
さて、次回からは購入後の立退きの話を書きます。
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