【開発】L字溝 第5話
※ 前回、メッセージで解答を下さった方、有難うございました。さすがに設計関係の方しか解答はありませんでしたが、正解はありませんでした。っていうか、正解を導く為の状況説明が足りなかったと反省しています。
さて、前話の様な内容で無事に確認申請も合格したのですが・・・。このエリアは商業化が進んでいるエリアと言っても元々は住宅街です。ですから、小さいとはいえ、店舗を作ることに周辺の反対がありました。実施設計はすでに設計事務所(設計担当はM氏です。)に任せていましたので、私の仕事は近隣対策とリーシングに移行していました。
もう、細かい計画のことは頭から抜けていたのです・・・。
近隣の方にもようやく、ご理解を頂き、近隣の方とは仲良くなっていました。
リーシングも一棟で借りてくれる物販を見つけることができました。外資系の物販店で内装の打合せに、その会社の本国から明け方に電話が掛かってきてやり取りをするのに、少し、うんざりしていましたが、それも終って、後は竣工を待つばかりでした。
竣工まであと3週間。建物も殆どできて、既にテナントのB工事に入っていました。A工事の範囲はあとは外構と外部階段の塗装を残すぐらいになっていた頃・・・
※ A工事・・・施主負担の工事。
※ B工事・・・テナント負担でテナントの為に施主が工事してあげること。
注 C工事・・・テナント負担でテナント自信が工事すること。
現場監督のYさんから電話が掛かってきました。この現場は大手ゼネコンのO建設に発注していましたが、実際に工事をしていたのは下請けのF建設で、YさんはF建設のベテラン監督です。
「相澤さんですか?隣地との境界の仕上げはどうすればいいですかね?」
「は?細かいことはM氏に聞いてください。」
「いや・・・Mさん、ここにいるんですけど・・・」
なんとなく、困った様子が電話の向こうから伝わってきます。
「M氏に替わってもらえますか?」
すぐに設計のM氏が電話に出ました。
「相澤さん、すいません・・・。大きな見落としがありました。」
「どうしたんですか?」
「隣地と私道の部分の仕上げを忘れてました。」
その時、私はM氏が、私道と隣地の仕上げを忘れていて、ゼネコンがその部分を見積に入れてないものなのだと、まったくの勘違いをしていました。
「ん?それで、いくら追加が発生するんですか?」
この物件は当初の予算よりも多少の余裕があったので、あっさりとこの言葉が出ました。
「いや、予算は見てるんですが・・・」
「じゃあ、何を忘れてたんですか?」
「仕上げの厚みを・・・、あ、これから相澤さんの所に伺って説明します。」
「いや、私がそっちに行きますよ。別件もあるので・・・」
テナントとの打合せがあったので実際にその物件に行く用事がありました。
私は電車の中で図面(製本)を広げて、敷地と隣地の間の部分を確認してみました。
ちゃんと、擁壁の図面が入っています。厚みも細かく指示してあります。展開図を見てもおかしな点はありませんでした。(今、考えればこの時点で気がつかなかったことが恥ずかしいです。もっともこの時点ですでに手遅れだったのですが・・・)
私道(2項道路)と隣地の計画はこうでした。
平面(サムネイルになっています。クリックすると拡大します。)
立面(サムネイルになっています。クリックすると拡大します。)
※「一級建築士の割に毎回々々、随分とチープな絵を描くねぇ」というご批判もありますが、なにしろ、パワーポイントで描いていますのでご容赦ください。
「はい!そこの貴方、CADを使え!とか無茶を言わないように!」
電車の中でこの絵を見ていても私はまだ気がついていませんでした。
ここまで来ると、何がミスなのか気がついた方もいるかもしれません。
私も、この絵を眺めた30分後には気がつきました。
現場を見て・・・
次回は、ようやく何をミスったかに入ります。
やたらと長い話だけど・・・
まずは1本、お電話ください。些細な疑問にも答えます。プロ、アマ、一般の方、すべて歓迎。