リストラ ~第4話~(番外編「独り言」)

連載シリーズ 【 リストラ ~第4話~(番外編「独り言」) 】 第 4 話 / (全 16 話)

私は元々、建築学を学び、社会に出ても、しばらくは建築の技術屋であり設計者でした。そして、その後、不動産屋になった次第で私の拙い経済学の知識では間違っていることもあるかもしれません。(間違いだらけかもしれません。)

今回は本題から思いっきり逸れる話を書きます。ですから、M部長のリストラの話だけを読みたいと思っている方は今回は飛ばして読んで頂いても話は解るようにしておきます。

この話を書いていますが、私はリストラ(人員整理)は必要悪だと思っています。企業は、人を雇用した以上、雇用した責任があるのは当然のことです。ですから、社会保険や厚生年金に加入していないことは固より、雇用保険に入っていない企業というのは許しがたい存在です。

雇用保険というのは、雇用されている労働者にとっては微かなセーフティーネットです。

(私の知っている会社で解雇をするにあたって、会社責任ではなく自主退社を社員に迫った会社がいくつかあります。これがどういうことなのか?解雇される社員のことをどう考えているのか?極めて腹立たしい話ですが、この様な会社が社会には腐るほど存在します。)

例えば、解雇された場合において、その解雇した会社に8年間勤め、30歳で月収30万円の人であれば約19万円の失業保険を3ヶ月間支給されます。

この辺のことを詳しく知りたい方はハローワークに尋ねるか、こちらのサイトを見てください。

・・・失業保険給付日数一覧表

良く考えてみると、30万円の月収を貰っていた人が19万円ですから、その生活は相当にきついはずです。ここで、そもそも収入が19万円に満たない人から見れば、

『働かないで19万円も貰えるんだから充分だろ!』

と思われる方がいると思います。

しかし、その人に扶養家族がいたり、家賃を払っていたり、ローンがあったりすれば月々の出費は給与の30万から行われていたはずです。ですから、それが19万になってしまえば、必然的に家計は大赤字になってしまう訳です。そして、3ヶ月以内に新しい仕事先が見つからなければそれは0円になります。その精神的不安は言葉では言い表せません。これに対して、

『こういう時代で解雇されることだってあるんだから、予め貯金をしておくことが大切。』

と考える方も多いと思います。一つの考え方でそれを否定することはありません。しかし、全員がこの考え方を持てば消費活動が減退し、ますます、景気は悪化し、雇用情勢も更に悪化していきます。失業保険が雇用保険料で支払えなくなれば、必然的に税金を使うことになります。ところが財源を確保しようにも雇用者が減っている訳ですし、消費活動が減退している訳ですから、法人税も所得税も消費税も増税しようにも出来なくなるという悪循環に陥ることになる訳です。

この様な悪循環を極論だと思われる方も多いと思いますが、これに近い状態が実際に歴史上にはありました。

第31代アメリカ大統領ハーバード・フーヴァーの自由放任政策です。彼は極めて古典的な経済学の信者でした。しかし、ますます、景気が悪化するのを見て、保護貿易政策を取ったり、フーヴァーモラトリアムという債務支払猶予処置(借金の返済期限の延期)を取ったりしました。

しかし、悪循環に陥った景気を回復するにはいずれも後手々々の政策であり、手遅れでした。

これを救ったとされるのがフランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策とされていますが、その効果の程は解りませんが、同じく、その時期に不況に喘いでいたドイツでも、アドルフ・ヒトラーによるアウトバーン・建設などで一気に景気回復はしていました。

※ニューディール政策:農業政策による、農作物の価格安定による消費の拡大と公共工事拡大により、企業の適正利益を回復させる政策。

しかし、この様な財政出動はそもそもが『伝家の宝刀』だったのではないでしょうか?日本ではそれが常習化していて、『今更それを使うことすら、儘ならない』というのが今の日本の現状だと思います。

フランクリン・ルーズベルトがやった政策により、当時のアメリカ合衆国は社会主義革命が起こらずに済みました。ところが、日本は極めて社会主義革命に近いことが選挙によって起こったと私は思っています。

企業がリストラをすることは仕方がありません。会社に全員分の賃金を支払う能力が無くなったのですから、全社員を路頭に迷わさない為に、一部を切り捨てるのは仕方がないことかもしれません。問題はその雇用の受け口をどうやって作るかです。今の企業は、とりあえず給与の高い高齢者から人員整理を行ったり、解雇しやすい派遣労働者から人員整理をします。至極、当然の事だと思います。

これで当然で仕方がないことで済ましてしまうことは『姥捨山』の話と同じになってしまいます。姥捨山の物語では親を山に捨てた若者が良心の呵責に耐えられなくなるのですが、企業にそんなものはないので、そのまま放置ということになります。

しかし、解雇された人間は姥捨山に捨てられた老人の様に死んでしまう(話によっては良心の呵責に耐え切れなくなった息子が翌日に迎えに来るのですが)様に死んでしまうことはありません。

つまり、どの様にして、その人達を新しく雇用するかという事を考えることが資本主義なのではないかと考えています。解雇をした企業が再雇用する為には景気回復が必要です。悪循環に陥ってしまうと解雇をした企業は現状では外国の景気回復に頼る以外の自力回復は不可能です。

新しい産業の創出こそが、新しい雇用を産むことだと考えています。

新しい産業の創出には産みの苦しみが付いて回ります。その苦しみに耐えられるのは解雇という苦しみを味わった人の力も必要なのではないかと思います。

今の日本は既存産業におけるニューディール政策はできません。新しい産業の創出に官民一体となって、力を注ぐことが大事だと考えています。

新しい産業とは何も今までに無かった産業を創出することである必要性はありません。今までと同じものを作る産業でも、より効率的に、より高品質が保たれるのであればそれも新産業であるはずです。

次回はM部長のリストラ話の続きを書きます。

今日は寝ちゃうけど・・・

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