棄捐令

カテゴリ:ブログ 趣味・雑学

このタイトルの文字を読めるでしょうか?

私のブログを読んでいる方の多くは不動産関係者だったりするので、

『き・そん・れい』

と読んでしまいそうですが違います。

これは『き・えん・れい』と読みます。

ちなみに恥ずかしながら私も普通に『き・そん・れい』と読んでしまいました。

そして、これを読めて、さらに意味を知っている方は相当な歴史通です。

みなさんは『寛政の改革』というのを覚えているでしょうか?

忘れている方も多いと思いますが、小学校の歴史の教科書に出てきます。(30年前の社会科の教科書には出てました。)と言っても、その後は受験の時にぐらいしか出てこないので普通の方は忘れていると思います。

寛政の改革(かんせいのかいかく)

松平定信(白河藩主:暴れん坊将軍こと徳川吉宗の孫)が18世紀後半に行った経済改革のことです。

当時、日本は江戸時代です。1783年の浅間山大噴火により、日本は東北地方を中心として、大飢饉が発生しました。これが天明の大飢饉です。これにより、東北地方を中心として、多くの餓死者がでました。

当然、格差社会&専制政治下に於いて、危機的な事態が発生すると、武力蜂起が発生します。当時の日本ではそれを『一揆』もしくは『打ちこわし』などと言います。

※『打ちこわし』とは正確には不正を働いた人や不正に高収益を上げているとみなされた人(それが適正利益であっても異常に高収入を得ている人)の家を襲い壊すことを言います。

この、天明の大飢饉の時に、民衆が怒ったことは、単なる経済的ダメージではありません。その時に常套化していた『賄賂政治』です。それによって、一部の役人や商人が不正に利益を得ていました。

代官「越後屋、お主も相当な悪よのう・・・クックック・・・」

越後屋「いやいや、お代官様程では・・・グフフ」

というのが、正にその時代を反映しているシーンです。

そして、このお代官様の総元締めが老中『田沼意次』です。この人、政治能力は高かった(と思う)のですが、如何せん、賄賂だらけで私腹を肥やしていきます。そのため、多少のことならこの人に賄賂さえ渡せば・・・という風潮になっていきます。

しかし、それに対して、民衆や田沼意次派じゃない旗本の心中は相当に煮えくり返っていました。

そんな時に浅間山が大噴火して天明の大飢饉が発生したわけです。

そして、その最中に田沼意次さんにとって、不幸な出来事が起こりました。

9代将軍徳川家重が亡くなります。この家重という将軍はな~んにもしない人でした。政治は全部、田沼意次さんに任せきりです。しかし、家重の死亡によって、田沼意次さんは失脚します。

この天明の大飢饉で東北地方に一人も餓死者が出ていない藩があると評判が江戸城に噂が流れます。

それが白河藩で、その藩主が松平定信さんです。

松平定信さんのおじいちゃんは(松平謙演じる)あの、徳川吉宗です。

『質素倹約清廉潔白、弱気を助け強気を挫く、正義の味方メラメラ

漢字多すぎ・・・汗そんな訳でこれを二文字にすると「友愛」でしょうか・・・ひらめき電球

の代表者です。(たぶん、『暴れん坊将軍』の見すぎです。)松平定信はそれを真似して、この大飢饉を乗り越えていました。

そこで時の11代将軍徳川家斉の元で老中に抜擢され、寛政の改革に着手します。

その政策は・・・

賄賂の禁止

囲い米・・・行政買い上げによる穀物の備蓄

人足寄場・・・今風に言う、派遣村の設立

重商主義の廃止・・・田沼意次が取った重商主義政策をけん制し、株仲間や専売制を廃止し、特権商人を抑制

そして、本タイトルの棄損令です。

棄損令・・・今風に言うと、亀井大臣がやろうとしている、モラトリアム法案で、借金を棒引きにしました。

この上の政策、なんとなく今の日本に似ていると思いませんか?

この松平定信さん、老中になった時には相当に人気がありました。民衆にとっては最初は正に救世主だったと思います。

ところが、この松平定信さん、あることから人気が無くなり始めます。

まずは棄損令の失敗です。最初は借金が棒引きされたことで民衆、特に浪人は喜びました。ところが、すぐに札差が困り始めました。

札差・・・今風に言うところの質屋ですが、当時の給料がお米であり、そのお米専門の質屋です。厳密にはその、給料であるお米を配給する人ですがこの話の場合、金融機関と解釈してもらうと話が解りやすいです。

そりゃそうです。貸したお金を返してくれない訳ですから、今度は札差が経営危機に陥ります。

そこで松平定信さんは札差に幕府(政府)が資金を提供します。亀井大臣が言っている、モラトリアム法案で銀行が貸しているお金の金利や元本返済を政府が肩代わりすると言っているのと同じです。しかし、札差も馬鹿ではありませんから、借金を棒引きにした相手には、もうお金を貸しませんでした。

そもそも、借金を棒引きしてもらった人はお金が無いからと言うよりも稼ぐ力が無かったから、お金を借りていたわけですから、お金を貸してくれる人がいなくなった途端に生活に困り始めます。最初は喜んだのですが、この『棄損令』のせいで、札差がお金を貸してくれなくなったと考えました。

さらに、札差に幕府が貸すためのお金はどうしたかと言うと、増税はすでにできません。すでに天明の大飢饉で当時の日本は疲弊しきっています。そこでさらなる、質素倹約です。

今風に言えば、

「子供手当も高速道路無料も廃止じゃ!」

と言ったところでしょうか・・・。(子供手当てを廃止したら、民主党は次の選挙で敗北決定なので、さすがに無くならないと思いますが・・・)

ちなみに今の民主党政権は国債(借金)でまかなうと言うのだから凄いです。ちなみに貸金業法改正で年収の3分の1を超える貸し出しが出来なくなっていますが、国家はなんでも有りで、税収が40兆円無いのに、国債は50兆円と言うのだから『盗人猛々しい』とは正にこのことです。

質素倹約と言うと聞こえは良いですが、松平定信さんは贅沢をしている人を許しませんでした。特に増税が出来ないゆえの緊縮財政は公共事業の縮小にも繋がり、最初は理論的に正しいと思った政策も次第にその窮屈さに辛くなっていきます。しかし、この松平定信さんはおじいちゃんである、『徳川吉宗』が絶対ですから、その手を緩めることは無く、「隠密の後ろに隠密」と言われるほどそれを徹底しました。

※隠密の後ろに隠密・・・隠密とは忍者ですが、この場合は不正を監視する人です。不正を監視する人に監視を付けたということです。

そして、ついにはこんな詩が流行り始めます。

白河の清きに魚も住みかねて

もとの濁りの田沼恋しき

白河とは白河藩主であった松平定信のことです。

松平定信さんが悪かった訳ではなくて、必然として、この人が政治の中央に出てきたと私は考えています。この人の登場を民衆が望んだわけですから・・・。

ちなみにこの松平定信さんは田沼意次さんを失脚させる際に賄賂を使ったというのも有名な話です。

歴史は繰り返します。

次回はこの話の続きで、『旧里帰農令』を書きます。

夜中になんだか解らない話だけど・・・

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