最高裁で9割完成の建築確認取り消し

新宿区下落合のマンションの確認申請取消しというニュースが出ています。

マンション:9割完成 建築確認取り消し 最高裁判決

 タヌキがすむ東京都新宿区の住宅跡地へのマンション建築を巡り、反対する周辺住民が区を相手に建築確認取り消しを求めた行政訴訟の判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は17日、区の上告を棄却した。区側逆転敗訴の2審・東京高裁判決(1月)が確定した。

 住民側代理人によると、マンションは9割方完成していたが、高裁判決後の1月に工事がストップ。完成間近の建物の建築確認が取り消されるのは異例。違法建築になるため、建設業者は建物の取り壊しを迫られる。区の責任を追及する動きも起こりそうだ。

 問題となったのは、新宿区下落合4に建設中の3階建てマンション(30戸)。敷地はがけや塀に囲まれ、長さ約34メートル、最小幅4メートルの通路だけで外の道路に通じる。

 災害時の避難のため建物敷地に接する道路の幅を定めた都条例では、幅8メートルの通路が必要とされているが、区は「中庭が設置され、耐火性があるなど安全上支障はなく、条例の例外規定に該当する」として建築確認を出していた。

 1審・東京地裁は区側勝訴としたが、2審は「幅8メートルの通路がある場合と同程度の安全性はなく、例外を認める根拠はない」と指摘。小法廷も「2審の判断は是認できる」と述べた。

出典:毎日jp


下落合の解らない方に簡単に言うと、高田馬場の近くです。

高田馬場から早稲田通りを昨日、小滝橋に向かって歩くと、隅田川の両側に閑静な住宅街があるのが下落合です。

しかし、確認申請が認可されて、建築中に取り消されると言うのは極めて異例なケースです。

デベロッパー(新日本建設)はご愁傷様でしたとしか言い様がありません。

以前、国立市で明和地所が建物が完成してから削れという、物凄い地裁判決を受けていましたが、結局、高裁でひっくり返り、最高裁も高裁支持で確定しました。

詳しくは・・・Wikipedia 国立マンション訴訟

しかし、今回は最高裁で敗訴確定です。

一般の方からしてみると、

『違法建築なんだからしょうがないだろうね・・・壊すしか・・・』

『新宿区も変な確認申請を認可したもんだね。』

で終るかもしれませんが、これって凄いことなんです。

私は以前、ある建物(収益不動産としてのマンション)の購入を検討しました。その物件には確認(建築確認)も検済(建築検査済証)もありました。しかし、実際に建物をよくよく調べてみると、どう見ても違法建築である部分が見受けられます。そこで、検済後に違法改築しているのかと思ったら、確認申請時の図面とまったく同じでした。

つまり、この建物は違法建築のまま、確認申請も認可され、検査済も出ているのです。

そこで、この建物の確認申請を受け付けたX区の建築指導課にどういうことかを問い合わせました。

建築指導課の課長に言われた、凄い言葉は・・・

「検済が出ているということは、建築基準法に仮に抵触していても、その建物は合法です。もちろん、同じ建物の再建築はできません。まぁ、既存不適格ということにしてください。」

もう、こうなると意味が解りません。

しかし、確認とか検済というのは、それ程、重要なことなんです。確認や検済があるということは、その時点で合法建築であるという証明なんです。

ところが、今回の話で行くと、その根底がひっくり返ったわけです。

つまり、何を信じていいのか、もう解らないということです。

例えば・・・

建築確認が出て、ちゃんと、その内容通りに建築しているマンションがあったとします。

しかし、そのマンションを開発しているデベロッパーが建設途中で倒産したとします。

そして、そのマンションを他のデベロッパーが買い取ったとします。

その後、近隣住民に訴訟を起こされ違法建築判定で建築中止となったら・・・

当然ですが『隠れたる瑕疵』ということで、契約解除になりますが・・・

相手が倒産しているので支払った金額は債権者が持っていてるでしょう。

となれば、恐らく、回収は不可能です。

当然、確認申請を出した行政機関を相手取って、損害の補償、物件の買取を請求するのでしょうが、その時間のロス等は中小デベロッパーにとっては恐らく命取りになります。

今回は、どうもデベロッパーが近隣交渉の際に『火に油を注いだり』している様なので特殊な事例なのかもしれませんが、一つの最高裁判例が出たという事で、今後はこういうリスクもあるということを十分に注意しながら、不動産の取引をしなければならないということです。

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