宅地建物取引主任者資格試験
今日は宅地建物取引主任者資格試験の申込日です。
この時期になると不動産会社や住宅販売会社の社員のみなさんは今年こそと思われている方も多いと思います。私は先に一級建築士やビル経営管理士を取得していたので、都市計画や借地借家権の部分にややアドバンテージがあったことと、持っていないと仕事にならなかったということもあって、さすがに一発で受かりました。
私の資格試験でのモットーは
『資格は合格最低点で受かる』
です。資格というのは高得点で受かっても偉くもなんともありません。高得点で受かって良い事と言えば、
『試験日から合格発表まで安心できる』
『高得点だったことを自慢できる』
と言うことだけです。
合格最低点で受かれば必要以上の試験勉強をしない、もっとも効率の良い勉強をしたということになります。(まぁ、結局のとこと楽して受かりたいというだけの話ですが・・・)
私はお盆休み明けの8月20日ぐらいから勉強を始めて受かったのですが、さすがに今まで不動産経験の無い方やなんらかの別資格でアドバンテージの無い方はちょっとそれではキツイと思います。
しかし、今から勉強しても『たぶん』受かるという方法を書いておこうと思います。
※『たぶん』の理由は試験当日、マークミスをするとか、体調が悪かったとか運の悪い理由までは責任がもてないからです。
用意する参考書は住宅新報社の
『パーフェクト宅建過去問10年間』
と
『パーフェクト宅建基本書』
だけです。
別に住宅新報社の回し者ではありません。私が使ったものです。もちろん平成21年度版は買ってませんが・・・
※よく、古本で最新版じゃなくても受かったという話を聞きますが、それでも受からない事はないと思いますが最新版の場合、今年用に過去問なども法改正のあった場所は問題ごと是正されています。
- パーフェクト宅建過去問10年間〈平成21年版〉 (パーフェクト宅建シリーズ)
- ¥2,625
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- パーフェクト宅建〈平成20年版〉 (パーフェクト宅建シリーズ)
- ¥2,940
- Amazon.co.jp
- 別にこれじゃなくても良いのですが、とにかく過去問は絶対に
分野別にばらけている物はNG
です。
この試験、はっきり言って『国語』の試験です。如何に速く読解できるかに掛かっている試験と言っていいです。どんなにパーフェクトな知識があっても、慣れていないと時間が足りなくなります。
つまり、この資格は慣れることが凄く大事になります。その為に分野別で○×式だとかはなんの意味もありません。とにかく、『実戦型式で2時間に区切って問題を解く!』ということが重要です。 宅建の試験は四択50問です。ということは確率論的に言えば12.5問は適当にマークしても当ります。各問題の選択肢のうち「この二つは絶対に間違っている」というところまで絞り込めれば25問は行けます。そして、各問題の選択肢のうち「この三つは絶対に間違っている」ということが解れば正解の選択肢の正誤が解らなくても、50問全問正解になります。運が良ければ75%の知識でも満点が取れるということになりますが、満点は必要ありません。合格ラインは約70%ですから、理論的には75%の知識があれば楽勝で合格ラインには届きます。
この理屈で行くと、
『民法は全ての選択肢が完璧に解るけど、業法は二択に絞り込むことすらできない』
という人が落ちるパターンになります。実際にこのパターン多いんです。
つまり、過去問を本番形式で解かないで分野別に勉強する人や、参考書を最初から読むという人が落ちます。そして、それを毎年繰り返して、
「俺は○○の分野だけは、得意なんだよなぁ~」
と言っている人をよく見かけます。
もう一つ、この資格は持っていないと宅建業は出来ませんが、持っているからと言って宅建業が出来るわけではありません。この例えが
『足の裏についた米粒』
です。足の裏についた米粒は取らないわけにはいきません。しかし、取ったからといってその米粒は食べれません。どんな資格でも一緒かもしれませんが・・・。何故かと言うと、資格試験は実務からは、かなり掛離れた知識を求められます。だから、この資格で点数を取るよりもさっさと受かって、実戦経験を積むことが重要です。
『参考書に書いてあることは試験に出る知識であって実戦にはあまり役に立たない』
ということを忘れないでください。実戦に役立つ知識は私のブログの方が良いと思います。
- さて、勉強方法を具体的に書きます。
① 『パーフェクト宅建過去問10年間』を古い方から順番に解いてください。制限時間は2時間です。もちろん、途中で解答は見ちゃダメです。
初めてチャレンジした方はおそらく時間内に最後まで到達できません。それでも構わないので2時間で解いてください。1時間ずつ2回に分けてやるのはダメです。解き終わったら答え合わせです。そして、解答の解説で理解できないところは『パーフェクト宅建基本書』を読んでください。『パーフェクト宅建基本書』は読めばいいです。マーカーを入れても良いですが、マーカーだらけになるとどこが重要だか解らなくなるので、マーカーは入れる必要はないと思います。食べる必要もありません。っつうか、お腹を壊すので食べないほうが良いです。
また、1回目のチャレンジだと宅建試験を始めて受験する人だと15~20点ぐらいしか解けないかもしれませんがそれで十分です。それに問題の単語の意味が解らないという方も多いと思います。私も1回目は20点そこそこしか取れませんでした。それでも2ヶ月の勉強で受かりました。また、一番最初は問題を解くのに2時間、答え合わせに3~4時間は掛かります。ですから10年分をやるのに60時間ぐらいの時間が掛かります。
初回を乗り越えれば、楽になります。これを7月中にやればO.Kです。
②10年分を解き終わったら、また古い方から順番に解いてください。もちろん制限時間は2時間です。
初めての時よりかはいくらかできる筈です。しかし、それでも30点に到達できない人が多いと思います。それで十分です。慌てる必要はありません。答え合わせも前回よりかは短くて済みます。2回目だと答え合わせと間違った場所のチェックに掛かる時間が減ってきます。ここまでをお盆休み前にやります。
③10年分を解き終わったら、もう一度チャレンジです。もちろん、制限時間は2時間です。今回から、解けなかった問題は問題と解答(解説)をノートに手書きで書く!
おそらく、そろそろ30点を超えてくると思います。
今回が重要です。3回やってみて、まだ解けない問題があったら、問題と解答をノートに手で書いてください。ワープロを使ったりしちゃだめです。また、解答をぐりぐりマーカーしたり、赤線をひくのもダメです。手で書くことで体に染み付かせます。お盆休み中(5日間)でやります。つまり、1日2年分です。ここが正念場です。
④さて、もう1回10年分を最初から解いてみてください。出来なかった問題は手書きで問題と解答(解説)をノートに書きます。
概ねその年の合格点に達していると思います。今回も解けなかった問題と解答をノートに手で書きます今回も出来なかったけど③の時に書いたから、書かないというのはダメです。この頃に8月もそろそろ終わりです。
⑤ ④を繰り返します。
④を繰り返して、40問以上がコンスタントに出来るようになれば受かると思っていいです。実戦形式で経験をここまで積んだ貴方はすでに何問目までを何分で解かなければならないとか、どういう問題が出たときはその問題は後回しにしようなどということが経験則的に解っているはずです。9月中にこれが3回ぐらいできるとベストです。
※試験2週間前(9月一杯)までに40問以上がコンスタントに取れる様になってください。試験1週間前に試験1週間前の勉強方法を書きます。
- 問題を解くに当ってのポイント
- これはどんな勉強方法をしてる人でもそうですが、余程、法律にアドバンテージがある人でない限り、業法や都市計画から解く方が得です。これは民法は問題文や選択肢の文章が長いから、解答するのに時間が掛かります。
- で、どこが業法だとか、どこが都市計画だとかは探すのが面倒です。だから、50番から解いていくという方がいいと思います。
あと、便利なサイトをいくつか紹介しておきます。
まず、ある程度の傾向を把握しておくと自信に繋がると思います。また、法改正のポイントなども紹介してくれてます。過去問題10年を1回ぐらい解いてから息抜きに1日、このサイトを眺めてみるのが良いと思います。
・・・
【無料】宅建の参考書・テキスト【宅建業法】
初めて、受験する方などで、どうしても一度は参考書を読んでみたいという方がいると思います。しかし、300~400ページもある参考書を最初から読んで過去問で練習するとなると今からではとても間に合いません。そこで如何に簡潔にまとまっている参考書を読むかというのがポイントです。はっきり言って売っていません。私的にはA4で20ページぐらいにまとまっているものが良いと思います。このサイトがまさにそれです。ちなみに携帯版もあるので通勤中にも読めます。昼休みにも読めます。営業に出て喫茶店でサボっている間にも読めます。おそらく、5~6時間もあれば全部読みきれます。どうしても、過去問に突入する前に参考書を読みたいという方はこのサイトを読んでください。
・・・
登記関連と税金関係が苦手という方が多いと思います。これだけは、過去問を一生懸命やってもなかなか点数が取れません。また、参考書も解りにくいものが多いです。日建の有料講習にでも行けば、結構解りやすいテキストをくれますが、高くつきます。どこよりも解りやすい上にタダなのがこのサイトです。宅建を受けるかた向けではなく、実際に不動産を買う素人向けに出来ていますので実例を含めて、大変よく出来ています。
・・・
他にも紹介してもいいかなと思うサイトもありますが、そんなのを見てるぐらいだったら過去問題をやった方がいいです。最近は問題の傾向が変わってきてるから過去問題だけじゃ受からないと言う人もいますが、去年の問題でも、そんな問題は3題ぐらいしか出ていませんでした。どうしても満点合格を目指したい方は私の勉強方法では無理ですから、参考書を完璧に理解する勉強をしてください。
初めての方も複数回目の方も頑張って下さい。
相続登記手続きと収入印紙
お恥ずかしい話ですが私は今日、生まれて初めて不動産の登記手続きをやりました。今まで、登記の手続きは司法書士に任せっきりで自分ではやったことがありませんでした。
今回、自分の血縁に相続が発生し(私に相続権はありません)、代理で相続登記をすることになりました。何分初めてなもので、法務局に行っていろいろと聞くことになりました。
とりあえず、遺産分割協議書の雛形を作って、登記申請書の雛形を作成しました。
インターネットで調べると雛形はいくらでもあるので作成そのものはどうってことはなかったのですが・・・
今回の不動産の固定資産評価額はおおよそ2000万円です。登録免許税8万円を登記申請書に書き込んで、書類は一通り揃ったのでそれを持って、登記をする不動産の管轄である東京法務局○○出張所に相談に行きました。そこでのやりとりです。法務局の職員には私の職業などは明かしています。
※不動産登記の場合の登録免許税は固定資産評価額の0.4%です。
「こんなもんで、登記できますかね?」
「ああ、大体こんなんでいいかな・・・。被相続人の謄本類は全部揃ってるのかね?」
「はい、後は除籍謄本を取り寄せたら全部揃います。」
「じゃあ、それを揃えたら、登記申請書に登録免許税分の収入印紙貼って提出すればOKだよ」
「なんだ・・・簡単っすね。」
「まぁ、おたくは職業が職業だから、話が通りやすいよな。」
そこで、私はある疑問を感じました。そこでなかなか法務局で質問する機会もないので質問してみました。
「今回は固定資産評価額は2000万だから登録免許税は8万円ですけど、もし100億円の固定資産評価額があったら、登録免許税は4000万円ですよね?登記申請書に10万円(収入印紙の最高額)を400枚貼るんですか?A4の登記申請書に400枚の収入印紙は貼れないですよね?」
「○○市に100億円の不動産はないから心配いらないよ」
『そういう問題を聞いているわけじゃないって・・・』
と、言いたいのを抑えて・・・・
「でも、銀座ならありますよね?」
「あはは・・・。その場合じゃ、A4じゃ無理だな。だから、そういう時は模造紙みたいな大きな紙で登記申請書を作って、その裏に貼るんだよ」
「マジっすか!?」
もう、私の頭の中は10万円の収入印紙を大きな紙に400枚貼ることでいっぱいです。
「そんな訳ないだろその場合は税務署に行って4000万円を支払って、その証紙を貰ってきて貼るんだよ。でも、400枚の収入印紙を貼ってもいいよ。」
「・・・」
最近の法務局の職員は侮れないと思いました。
不動産の売却なら、リデベにご相談下さい。
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※リデベの不動産査定は、当社から査定をされた方の個人情報を出さずに査定します。
その為、他の仲介業者、デベロッパー、買取業者からの営業など査定をされた方にご迷惑を掛けることはございません。
【用地購入】~額縁?~【後編】
N氏から、電話が掛かってきました。
もう、鳴る電話すべてがN氏ではないかと思い、掛かってくる電話を全て私が取るような3分間でした。
「あ、相澤さんですか?」
「額縁なのか?」
「ガ・ク・ブ・チ?・・・その意味が解りませんが・・・その細い2筆も売買対象地ですね。」
額縁の意味を説明するには時間が無かったので無視して・・・
「へ?だって、物件資料には水色の土地の部分以外は物件資料にはどこにも出てないよ?」
「ええ、私も気が付きませんでした。共担にも入ってないですから・・・」
「売主はこの細い筆は別売にするつもりなのか?」
「いえ、一緒に売ろうとしています・・・。」
N氏はなかなか、要点を言おうとしません。
「じゃあ、その2筆を入れたら、値段は上がるだろ。」
「いえ、最初の価格で問題ありません。というよりも土地の面積が増えたってことで勘弁してもらえませんか?」
N氏かなり、テンションが低いです。
「土地の面積が増えたって・・・。もう、稟議も回してるのにそんな説明で納得すると思うか?うちの上の連中は絶対に額縁だって思うぞ!」
「ガ・ク・ブ・チ?の意味がわかりませんが・・・。え~っとですね。怒らないで聞いてくださいね。」
「すでに怒ってるよ。」
「うちのこの物件の担当はUって言うんですよ。プロパーで入社4ヶ月目なんですが・・・。」
「U氏の紹介はいいよ。」
「そのUに聞いたら・・・。売主からは3筆とも預かってきたらしいんですが、面積も少ないし、全ての筆を物件概要に記載して、謄本を取るのが面倒だったから、一番大きい筆を記載したって言うんですよ。」
「×○※△★×※」
その理由を聞いて私は言葉にならないことを発しました。
そうこうしているうちに、執行役員Fが戻ってきました。
「お~い、社長も買っていいって言ってたぞ」
さすがに説明しないわけにもいかないので・・・
「あの~。土地の面積が増えちゃいまして・・・」
「はぁ?値段があがるのか?」
「いえ、値段はそのままで土地の面積が増えました。」
「ん?公簿と実測の差かなにかか?」
「いえ、単純に隣接する筆を売主が同じ値段で付けてくれました・・・。」
(こんな言い訳が通じるわけないよなぁ・・・)と思っていると
「よかったなぁ!今どき気前のいい売主もいるもんだなぁ!」
(こいつ、絶対にバカだな・・・)
と思いましたが社内はなんとか大騒ぎにならず、通り過ぎました。
この後、N氏に額縁について超長々と説教して、U氏の教育をちゃんとするように言いました。その際にN氏は
「だから、Uが担当の物件を相澤さんに紹介しなかったんですよ・・・」
最初に物件には『たぶん問題ない・・・』とN氏が言ったのは物件には問題ないが担当に問題があるということを言いたかった・・・ということでした。
おしまい。
面倒くさがりな仲介もいるけど・・・
【用地購入】~額縁?~【中編】
N氏からの物件資料を見ると、
『なんか・・・どっかで見たことのある様な気が・・・』
その頃は、物件資料が10~30件も手元に届く毎日です。だから、似たような条件の物件もいくらでもあります。だから、思い過ごしかな・・・・。と思ってそのまま、検討にはいりました。
収支もばっちり、合いました。
さっそく現場を見に行くと、地下鉄銀座線の某駅から歩いて5分。大通りから50mぐらい入っているところで静かです。
ワンルームマンションを計画するには絶好の立地でした。
その場から、すぐにN氏に電話して・・・
「買うぞ~!物件を押さえてくれ!」
「了解っす!」
さて、事務所に戻って、思い出したことがありました。
『あっ、謄本取り寄せてみなきゃ・・・』
N氏からの資料にも謄本は付いていたのですが最新のものをチェックすることにしています。
※法務局の印がないもので内容の確認はネットでできます。法人会員登録をしなければならず、有料です。
事務の女性社員に住所を伝えて謄本を取ってもらおうとしたら・・・
「この物件、Gさんが一度、検討されてますよ?」
「へ?まぁ、とりあえず謄本は取って・・・」
すぐにGさん(先輩社員)に確認・・・
「××町の物件って検討しました?」
「あああ、したよ~。半年以上前にね!今の所有者が買うときに検討したけど稟議が通らなかったんだよ」
(Gさんの机の上にあった資料を私は微かに覚えていました。それでどこかで見た記憶があったわけです。)
「なんでっすか?」
「その物件に古屋があって、アスベストがあったんだよ。解体費とかの問題があってねぇ・・・」
「今日見たら、更地でしたよ」
「じゃあ、今の所有者が解体したんだな。更地ならいい物件だよなぁ」
Gさんのお墨付をもらって、GOサインです。
謄本を見れば乙区になにも無い綺麗な土地です。
※乙区:乙区とは謄本上、甲区に書かれている所有者の債務状況が書かれている欄のことです。例えば、「この土地を抵当で○○銀行が10億円を貸している」という様な旨が書かれています。その場合、その所有者が8億円でその土地を売ると言った場合、2億円は別途、○○銀行に返さなければなりません。そのお金が無ければ銀行は抵当権を外さないということはよく有ります。その場合は売主の一存ではその物件を売れないということになります。
もう、ケチの付けようはありませんでした。
私はすぐに稟議書を作成して、役員会停止条件はついていますがすぐに購入申込書を作成しました。
※役員会停止条件:停止条件とは「この条件が成就できたら、物件を買います。」ということです。つまり、「自分の会社の役員会でこの物件を購入すること認められることを条件に買います。」ということです。曖昧な感じですがこの停止条件をい行使して買わないことを連発すれば信用を無くします。逆に役員会停止条件でもいつもちゃんと買えば、この人は会社での影響力がちゃんとある人と信用度は上がります。
所属部署の執行役員が稟議書を持って社長の了解を取りに行っている時でした。
Gさんが、その稟議書のコピーを見て・・・
「相澤~。なんか、俺が検討した時と微妙に地積がちがうな・・・」
※地積:土地の面積
「Gさん、記憶力いいっすねっつか、そういう問題じゃないか・・・Gさんの検討したときの資料あります?」
「おう、あるよ」
すぐに貸してくれました。
たしかに・・・3㎡弱ですが私の稟議書の方が面積が少ないのです。
Gさんの稟議書を見ると3筆、私の資料は1筆しかありません。
Gさんの資料によると、Gさんが検討してた土地はこうです。
私の検討している土地は水色の部分だけです。物件資料を再度確認しても赤と緑の部分はありません。すぐに赤と緑の土地の謄本を取り寄せました。赤と緑の所有者も水色の土地の所有者と同じです。赤と緑の土地は幅が15センチほどしかありません。
『ちっ、共担でもあれば気がついたものを・・・。乙区がまっさらだったからなぁ・・・』
※共担:共同担保の略。上の図を使って説明すると、水色、赤、緑の土地を合わせてお金を借りようとした場合、それぞれの土地で借りるのではなく、当たり前ですが一団の土地としてお金を借ります。その場合、それぞれの土地から別の2つの土地が共同担保ということになります。もし、この物件を担保にお金を借りていて、抵当権の設定がされていると水色の土地の謄本には乙区にその旨が書かれて、乙区の下に共同担保目録として赤と緑の土地の地番が記載されています。
しかし、そんなことよりも私の脳裏をよぎったのは
『額縁』
ということでした。もし、額縁であれば水色の土地の境界は確定しています。しかし、赤と緑の土地に対して境界が確定できなかったということは、赤と緑の土地の向こう側隣地の人が境界を認めてくれなかったという可能性があります。(というより、その可能性が高いです。)ということは隣地所有者となんらかで揉めた可能性が高いということです。とすると、水色の土地にマンションの建設をしようとしている私は隣地所有者と揉めることになるのは必至です。
私はすぐにN氏に電話しました。
「本物件の西側に細い筆が2つあるんだけど、その筆の所有者は本物件の所有者と同じだぞ。なんで、売買対象地じゃないんだ?」
「へ?すぐに物件担当に確認して折り返します」
「ん?売主じゃなくて?」
「あっ、その物件はうちの会社の別の者が担当なんっすよ」
大きい仲介会社の場合、物元と客付けの担当が違うことはよくあります。
※物元:売主側の担当している仲介
※客付け:買主側を担当している仲介
「とにかく大至急確認してくれ執行役員Fが社長に稟議を持って行ってるんだぞ」
「了解っす」
N氏からの電話が掛かってくるまでの3分間ほどがすごく長く感じました。
今回も長いので次回に分けます。
次回が本話の最終回だから・・・
【用地購入】~額縁?~【前編】
みなさんは『額縁』という言葉をご存知ですか?
① 絵・写真・書画・賞状などを入れて壁などに掛けるための枠
と思った、そこの貴方は普通の人です。
② 窓や扉などの周囲につける飾りの木枠
と思った、そこの貴方は建築関係の方ですね。
③ 掛け布団の表地
と思った、そこの貴方はかなり博学です。
④ そりゃ、筆を薄く切ることだろ!
と思った、そこの貴方はかなり際どいことをやっている不動産屋と思ってください。
①~③については辞書で調べれば詳しいことが書いてあるでしょうから省略します。ただ、④については辞書には書いてないので少し説明します。
まず、下の絵を見てください。
この絵の土地をAさんが所有していたとします。Aさんは売却をしようとしていたところに、この土地を欲しいというBさんが現れました。Bさんは隣地境界が全て確定していること(隣地との境界線について隣地所有者と合意していること)を条件にこの土地を購入したい旨をAさんに申し入れました。
ところが絵の土地の赤線部分の境界が確定できません。(赤線に接する隣地の方が境界について合意してくれないということです。)
そこでAさんは下の絵の様に土地を分割しました。
解りにくいかもしれませんが、境界の確定しない部分を薄く分割し、土地を2筆に分けてしまったんです。そして、オレンジ色の部分をBさんに売ることにしました。Bさんは購入対象面積が若干小さくなりますが水色の土地は所有権がAさんにあるので境界は確定できます。Aさんは水色の土地が残ってしまいますが、とりあえず、土地の大半は売れたことになります。あとは、残った水色の土地をそのまま残しておけば良い訳です。
この手法を使うと、土地の四方の境界が確定していなくても真ん中の大半の部分は境界が確定していることになり、四方に薄い枠状の土地が残ることから、不動産業界では『額縁』と呼んでいます。
と、前置きがすごく長くなりましたが今回はその額縁に纏わる話です。
私は大手仲介会社(N氏の勤める会社・・・N氏について詳しくはこちら
)の会員サイトを見ていました。このサイトはこの仲介会社と取引をしたことがあって、招待されて会員登録をしないと見ることができません。そして、この仲介会社に登録されている物件情報を見ることができません。(レインズに出てない情報もあります。)
私は都内のある場所の更地の物件情報に目が止まりました。
『ん?これ・・・、ワンルームマンションでもやったら儲かるんじゃないかなぁ?』
と思いました。さっそく、N氏に電話しました。
「あのさぁ、今、御社の会員サイトを見てるんだけど、物件ナンバー○○○○○って良くないか?」
「ちょっと、待ってください。確認します。」
「これ、ワンルームやったらいけるんじゃないかなぁ?」
この頃のN氏はもう再開発物件の仲介としてはかなりの域になっています。再開発の為の費用などは頭の中でぱっと計算出来る様になっています。
「ああ、そうですねぇ・・・」
「そうですねぇ・・・って、なんで今まで紹介してくれなかったんだよ!ん?なんか、問題でもあるのか?」
「いや、物件そのものにはたぶん問題はないっすよ」
このN氏の発言をもう少し考えれば、問題は大きくなりませんでした。
「じゃあ、すぐに物件資料をメールしてくれ!!!!」
「は~い」
いつもの通り、メールはすぐに来ました。
この後、大問題になるのですが、今回(いつもと言わないで・・・)は前置きが長かったので後編と分けます。
ブログまで分筆しちゃったけど・・・
分筆・・・登記上、一つの土地を二つ以上に分けること。