消防検査と用途変更
最近、問い合わせの多くで
「消防検査を受けようとしたら、消防士に「この建物は用途変更が必要ですね。」と言われました。」
という、問い合わせを多く頂きます。
以前は、消防士は消防法のことだけを考えていたので、建築基準法に伴う、用途変更のことについては、あまり口を出さなかったのですが、このところで突然の様にその問い合わせが増えてきました。当社が東京にあることから、問い合わせが関東圏からが多いにしても、実際には日本全国からの問い合わせが来るのに、「消防から言われた」というのは、ほぼ関東に集中します。
というわけで、ある消防署予防課で、その辺りの事情を聞いてみたところ・・・
「2015年5月17日に神奈川県川崎市で起こった簡易宿所の火災で、消防署は消防設備の立ち入り検査などで、建築基準法違反の実態を把握していたが、消防法に基づく検査しかしていなくて、さらにその建築基準法違反について特定行政庁に報告もしていなかったということが、世間で問題視されたことから、消防署で把握できる明らかな建築基準法違反については、特定行政庁に報告するなどの対応を取っている。」
とのことでした。つまりに、今までは、
・ 用途変更の確認申請を出さずに消防の検査だけ受けちゃえばいいや
・ 保健所の営業許可さえ貰えればいいや
というのが通用しなくなってきています。
ここで問題なのは、消防検査の段階で消防士に用途変更が必要だと言われているということは、工事が概ね終わっていたりすると考えられます。
ここから、用途変更の申請を建築士に依頼すると、そもそも建築基準法のことを考えずに内装を行ってしまっているでしょうから、建築基準法に抵触する箇所がいくつも出てくることになります。そして、当然ですがそれを全て是正しなくてはならなくなるので、二度手間が発生します。
そして、何よりも面倒なのは、「消防検査が終われば営業開始が出来る!」と思っていたものが、用途変更の確認申請から工事完了届を出すまでの間は営業ができないということにあります。
用途変更の確認申請は設計事務所への依頼から工事完了届出まで、最低でも9週間程度は掛かります。
さらにもっと酷い場合においては、「そもそも、その建物では用途変更は不可能だった」「その建物ではその業態を営業することは不可能だった」ということも、多々あります。
貸主や不動産会社が
「その場所で営業していいよ!」
と言っても、貸主や不動産会社は、建築のプロではありません。
できれば、その物件を借りる前に、そして遅くとも工事に入る前に、用途変更のことを詳しく解る建築士にお問合せください。
違法建築と欠陥住宅 ~欠陥住宅問題が起こったら何をすべきか?~
前回、欠陥住宅とは、どのようなものかの定義が曖昧だということは書きましたが、基本的には、客観的判断材料となる資料と証拠が必要であることを書きました。
しかし、『欠陥住宅問題』に直面した時に、冷静に対応できない方が多くいます。
重大な構造的問題からクロスのわずかなシワも同じように捉えて、「あれもダメ、これもダメ」と大騒ぎしだす人がいます。そして、
「役所(検査機関)も適切な検査をしていないから、役所も悪い!」
と、設計事務所、施工会社、市役所、県庁、国土交通省とあちこちに怒鳴り込む人がいます。
構造的重大な問題もクロスの貼り方も問題なのは、よくわかります。検査機関がちゃんと検査をしていれば、この様な問題にならなかったという、お気持ちも理解できなくはありません。
『欠陥住宅問題』に直面したときに考えなければならないことは、自分が何をしたいのかを明確にすることです。自分が何をしたいか・・・通常は『欠陥住宅問題を解決』することになると考えられます。
ところが、ここで的確な戦略を立てないと、『欠陥住宅問題』は泥沼化するだけになってしまいます。例えば、見た目で解りやすい施工不良を捉えて、施工会社のアフターサービス担当に大騒ぎをしてみたり、自分で天井点検口や床下点検口から、構造を見て、わずかな施工不良を役所(調査機関)の見落としだと、役所に行って大騒ぎをする人がいます。そして、施工会社や役所(調査機関)に建築基準法等や何らかの技術的指針を示して反論されると、「建築基準法が悪い」
とまで言いだす人がいます。欠陥住宅問題に直面した人の中で、もっとも勝てない、そして解決できないパターンです。仮に勝ったとしても、事件屋みたいな人にいっぱいお金を搾取されているだけのパターンを多く見ます。(弁護士費用や調査した建築士に支払う費用と損害賠償の割合が合わない。)
施工会社の手抜き工事、役所(調査機関)の見落とし、建築基準法等の矛盾点、どれも存在するのは建築士であれば、多かれ少なかれ、知っていることです。
例えば、雨漏りがあったとします。施工会社との信頼関係が完全に成立していると、施工会社に電話をして、その施工会社がすぐに来てくれて、雨漏りを修理してくれれば、それで終わりです。実は『雨漏りをした家』なので、欠陥住宅と言えば欠陥住宅なので、ここで解決してしまった方は、自分が欠陥住宅に住んでいるとさえ思わず、
「うちを建ててくれた施工会社は対応も良くて・・・」
と思っていることが多かったりします。実際に私がハウスメーカーに勤めていた時に雨漏りがあったけど、たまたま、その近くの現場にいた監督がクレームから1時間程で、雨漏りの家に到着。腕のいい現場監督ですぐに原因を解明。業者をその日に手配して終了。後日、改めて放水試験(わざと水を掛けて雨漏りしないかをする試験)をして問題解決でした。
その結果、そのお客様は、数か月後に別のお客様を紹介してくれました。時々、こういうお客様にも
「ハウスメーカーなんかに騙されちゃダメですよ!損害賠償請求しましょう!!」
などと煽る業者がいるのも事実です。そして、調査費用を稼ぐという商売をしている建築士がいたりします。(「〇〇件以上の訴訟をした。」「〇〇件以上の勝訴を得た!」などと宣伝している建築士は、弁護士法に抵触しているので注意しましょう。建築士は弁護士ではありません。)
ところが、ここで施工会社と所有者(もしくは施主)が対応を間違えると『欠陥住宅問題』に発展していきます。
『欠陥住宅問題』に直面すると、何もかもすべてが悪いのではないかと疑心暗鬼になってしまうことが多くあります。夢のマイホームですから、お気持ちはよくわかります。しかし、五月雨式に問題点を相手にぶつけたり、相手の対応が悪いから、即座に特定行政庁に駆け込んだりするのは、得策ではありません。
まずは、施工会社に対して、どの様な対応をしてもらうかを考えなければなりません。
その為には、何をもって相手に瑕疵を認めさせるかを考えなければならないのです。相手がいつまでも認めなければ、ことの次第によっては裁判になることだってあります。施工中や完成直後のトラブルだと工事費を支払わないことになりますが、相手が請求権を持って訴訟をしてくることも十分に考えられます。
※当社では、すべてではありませんが裁判になる前に問題解決することが殆どです。
時々、自分が欠陥住宅問題に直面した時に、そのハウスメーカーや施工会社の全ての建物が、欠陥であったり、認定工法そのものに瑕疵があるなどと騒ぎ出す人がいます。そして、ハウスメーカー不要論やゼネコン不要論を持ち出す人すらいます。そもそも、ゼネコン不要論は、欠陥住宅から来るものではありません。
しかし、大手のハウスメーカーは日本の住宅産業や建築技術に大きく貢献し、多くの識者が集まって、研究開発をしているのも事実です。
ただ、建物と言うのは、どんなに工業化をしても、すべてが工業化できるわけではなく、結果として現場で多くの人力によって作業されています。人のすることですから、精度の限界や人的ミスも絶対に出ないとは言えません。
ですから、まずは冷静に、自分が何をしたいのかを明確にして、適切な建築士に相談されることをお勧めします。
次回は欠陥住宅問題に直面したときの戦略の立て方を書きます。
違法建築と欠陥住宅 ~欠陥住宅とは何か~
私は、ニュースと野球以外は、あまりテレビを見ません。建築系の番組であっても、「大改造!!劇的ビフォーアフター」も見ませんし、バラエティー番組やワイドショー番組で取り上げられる欠陥住宅を大袈裟に煽るような番組も殆どみません。(メディアの関係者から大袈裟に演出していると聞いて以来、見なくなりました。)ですから、私の見聞で飛び込んでくるのは、ニュースの特集などで、取り上げられる欠陥住宅や、大型マンションでの施工不良での話と、欠陥住宅についての話は、実体験で知っているものです。
ただ、実体験として、「欠陥住宅」だと、私に訴えてきた人の殆どが、訴えてきた人の主観論に基づくもので、客観的には、それが欠陥住宅かどうかを判断するのが、極めて難しいケースが殆どです。私の判断基準が客観的判断というわけでもありません。もちろん、他の建築士の判断であっても、それ客観的判断とは言えません。
以前にも書きましたが、「違法建築」という法律用語はありません。もちろん、「欠陥住宅」などという法律用語はありません。建築士は建築基準法とその関連法規(以下、「建築基準法等」といいます)に基づいた、資格権者ですから、自分の経験値などで
「これは、欠陥住宅!」
などと法的根拠のないことは、国家資格権者である以上、軽々しく言っては、なりません。もし、そういうことを軽々しく言う建築士に出会ったら、「事件屋みたいな人」だと思って相手にしないことです。
1.明らかに欠陥住宅と言えるケース
① 建築基準法等が守られていない
② 設計請負契約が守られていない
③ 建築請負契約が守られていない
この3点が主な内容になってきます。特に①の「建築基準法等が守られていない」というのは、そこに違法性が存在しているので、証拠が確定しているので、不法行為確定です。②の「設計契約が守られていない」や③の「建築請負契約が守られていない」というのは、図面通りに施工されていないとか、工期が契約期間内に終わらなかったということが多く、欠陥住宅とまでは言えない場合が多いかです。
2.瑕疵担保責任をもって欠陥住宅を訴える
平成11年6月以前の建物なら、民法566条1項及び570条をもって、もしくはそれ以降であれば、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、「品確法」と書きます)第95条を持って欠陥住宅として戦うことが可能です。
民法
第五百六十六条
売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。
第五百七十条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
品確法
第九十五条 新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、民法第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第一項 並びに同法第六百三十四条第一項 及び第二項 前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第一項 及び第二項 前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第一項 中「請負人」とあるのは「売主」とする。
2 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。
3 第一項の場合における民法第五百六十六条第三項 の規定の適用については、同項 中「前二項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十五条第一項」と、「又は」とあるのは「、瑕疵修補又は」とする。
と、法律的条文では、難しく書かれているのですが、瑕疵担保期間内であれば売主に責任があるということになります。問題は、この「瑕疵」をどの様に考えるかです。1で書いたように建築基準法等に抵触しているような問題が発生していれば、これは完全に「瑕疵」と言えます。しかし、
「床がちょっと傾いている」
「歩くと床がミシミシ言う」
「外壁にヒビが入った」
「雨漏りがして、壁紙に染みができた」
などという、問題をよく耳にします。例えば床が傾いている時に、どれくらい傾斜していると欠陥住宅になるかというと、明文化されたものはありません。
例えば、床の傾きに於いて品確法の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年7月19日建設省告示1653号)というものがあります。それを見ると、
3/1000未満の勾配・・・構造体力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性=低い
3/1000以上6/1000未満・・・構造体力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性=一定程度存在する。
6/1000以上・・・構造体力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性=高い。
と、書かれています。そして、この話が先走って、「6/1000以上の傾きがあるから欠陥住宅」だとか、当然ですが所有者の目線からみれば、「一定程度存在する。」でも、十分に怖いですから、「3/1000の傾斜があるから欠陥住宅」だと、騒ぎ出す人もいます。
重要なのはこの技術的基準は、上記の傾斜があるから、直ちに構造に瑕疵があると言っている訳ではありません。また、測定の仕方も「凹凸の少ない仕上げによる壁又は柱の表面と、その面と垂直な鉛直面との交差する線(2m程度以上の長さのものに限る。)の鉛直線に対する角度をいう。」となっています。
そして何よりも、この基準を持ち込んで欠陥住宅と言えるかの大きなポイントは
平成12年7月19日建設省告示1653号
第2 適用範囲
この基準は、住宅に発生した不具合である事象で、次に掲げる要件に該当するもの(以下「不具合事象」という。)について通用する。
1,建設住宅性能評価書が交付された住宅で、指定住宅紛争処理機関に対してあっせん、調停又は仲裁の申請が行われた紛争に係るものにおいて発見された事象であること。
2,当該住宅を新築する建設工事の完了の日から起算して10年以内に発生した事象であること。
3,通常予測できない自然現象の発生、居住者の不適切な使用その他特別な事由の存しない通常の状態において発生した事象であること。
つまり、品確法が施行された後で、「建設住宅性能評価書」が発行されている住宅でのみ、品確法によって保護される基準ですから、品確法施工以前の家や以降でも「建設住宅性能評価書」を取得していない家では、訴訟にまで発展したら、材料としては弱いと言えます。
とすると、瑕疵として認められるかどうかも問題です。瑕疵と認定されれば、戦い方もあります。もし、新築住宅を買おうと若しくは作ろうとするならば、その工務店の社内基準を聞いておくと良いでしょう。もしくは、建築基準法等で定められていない項目については、どういうレベルで作るということをあらかじめ確約を取っておくことが大事です。
一番簡単な方法としては、品確法の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年7月19日建設省告示1653号)のどのレベルで作ってくれるのかをあらかじめ確認すると良いでしょう。
3.債務不履行による欠陥住宅
契約図面通りに作られていないなどと言うのは、完全に証拠がある債務不履行です。
しかし、着工後に施主の希望や、現場での収まりの問題で、契約図面から変更されたり、追加削除されたりするものもあります。通常は、設計変更を頼まれた設計者がそれを図面化したり、もしくは施工会社に伝達後、あとで設計者が図面を直したりして、すぐに双方が合意したことを確認するために図面に印鑑を押すなどの作業をするのですが、施主と設計者と施行者の信頼関係が成り立っている間は、その類の契約行為が疎かになりやすいのが実態で、後で「言った、言わない」の問題になり、債務不履行を主張しにくくなります。
また、2で書いたように、品確法の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年7月19日建設省告示1653号)のどのレベルで作ってくれるのかをあらかじめ、文章化して合意しておけば、さらに問題は少なくなるはずです。
欠陥住宅問題に発展しているケースで一番多いのは「プロに任せたから、こんなことになると思わなかった。」というパターンと、他人に煽られて疑心暗鬼になるパターンです。
例えば、大手のデベロッパーが、施工会社(ゼネコンやハウスメーカー)から引き渡しを受ける時には、マンションであれ戸建て分譲であれ、ちゃんと自社のコンプライアンスを持っていてチェックしています。それでも、時々、大きな問題に発生するような瑕疵が出てくるわけです。
個人で大手デベロッパーのような自社基準を作ることはできませんが、2や3に書いたことぐらいが、出来れば大きな問題に発展することは少なくなるはずです。
次回は、それでも欠陥住宅問題が起こってしまったら、どうするべきなのかを書きます。
連帯保証人が亡くなった場合~家賃滞納対策~
先日、このような質問がありました。
Q.「賃借人が家賃を7ヶ月滞納しているが、自己破産宣告をするようなのですが、家賃の回収はできるでしょうか?」
弊社「連帯保証人はいらっしゃいますか?」
Q.「契約時にはいたんですけど、既に亡くなっていまして・・・」
弊社「賃借人と連帯保証人は、どのような関係ですか?」
Q.「親子です。」
弊社「連帯保証人の家族構成はどうなっているか、解りますか?」
Q.「奥様がご健在で、賃借人の他に子供が2人います。」
弊社「では、一般的に考えれば5/6は回収できますね。」
という、やりとりでした。
簡単な話ですが連帯保証債務も法定相続されます。つまり、この場合、連帯保証人が亡くなった時点で、法定相続により、妻帯者が健在なら、妻帯者が50%を相続します。そして、残りの50%を子供たちが相続することになります。
ただし、子供のうちの一人は自己破産宣告をするということは、ここからは回収不可能です。つまり、賃借人からは回収できないので1/6は諦めなければなりません。したがって、5/6だけが回収できるということになるわけです。
最大の問題は、連帯保証人の相続人の連絡先がすべて解るかということになります。
通常の賃貸借契約の場合、連帯保証人の保証能力が喪失した場合、別の連帯保証人を付けなければならないとなっていることが多いと考えられます。
このことから、相続人の連絡先を賃借人から聞き出せば良いだけの話です。賃借人から、してみれば、家賃を滞納して、自己破産をして、その請求が親兄弟に行くというのは、恥ずかしいことかもしれません。故に、それを言いたがらないかもしれませんが、それならば賃借人本人が返すしかありません。貸主としてみれば、当然の権利を行使しているわけですから、そこは強引にでも聞き出すべきでしょう。
また、目に見える財産、金銭、有価証券、不動産や、借用書のある借金(金融機関の借金)などというものに関しては、相続人は理解していることが多いのですが、連帯保証債務というものについての相続を理解していない人が多いのが一般的です。そのため、請求しても
「なんで、自分が兄弟の家賃滞納を支払わなければならないんだ!」
と、拒絶してくる場合が多いです。
そこで、民法896条を説明した上で、連帯保証人としての地位を相続している旨を説明して請求することをお勧めします。
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
もっとも、このような事態に陥って、お困りの場合、なかなか契約当事者でない人(連帯保証人の相続人)との交渉は難しいかもしれません。
その場合は、弊社に一度、お電話でご相談ください。
不動産流通機構会員専用の情報交換サービス(レインズ)について
みなさんは「レインズ」というサイトをご存知でしょうか?もっとも、宅建業者で知らない人はいないのは当然ですが、宅建業者でない方だと、意外に知らない人が多いのが実態です。
そこで、レインズについてちょっと説明をします。
不動産会社が、主に中古物件や土地情報を交換するための不動産情報ネットワークの一つです。「Real Estate Information Network System」を省略して「REINS(レインズ)」と呼ばれています。
旧建設省がスムーズな取引を促すために作った機関で、正式には指定流通機構といいます。全国に(公財)東日本不動産流通機構 、(公社)中部圏不動産流通機構、 (公社)近畿圏不動産流通機構、 (公社)西日本不動産流通機構の4つのグループがあります。レインズの会員会社(宅建業者)は、売却もしくは賃貸で専属専任媒介契約、専任媒介契約の依頼を受けた物件情報を各地域の本部に登録するなどの義務があります。
これにより、専属専任媒介契約、専任媒介契約を受けた業者が多くの仲介業者に不動産情報を公開することで、より多くのお客さんに情報を公開するシステムが構築されました。
ところが、このレインズ不要論が存在します。
レインズとは、宅建業者専用のサイトですから、一般の方は閲覧できません。ここら辺がアットホームやSUMOなどの民間サイトとの違いです。ただ、民間サイトは、不動産業者が任意で掲載するので、一般媒介契約の場合、レインズにも民間サイトにも掲載されないという場合もあります。
では、なぜにレインズが一般公開されないかというと、いろいろな意見があるのですが、不動産業者というのは、仲介手数料を売主もしくは貸主と買主もしくは借主の双方から、貰うのが一般的です。もし、レインズを一般公開してしまうと、その情報を掲載した専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約を持っている業者が仲介手数料を独占してしまうからです。簡単に言えば。仲介業者を守るためのシステムというわけです。
しかし、最近は不動産所有者が昔からの地主から、不動産投資家へと多様化しているので専属専任媒介契約や専任媒介契約が少なくなり、売主や貸主が複数の不動産屋さんと媒介契約を結ぶ一般媒介契約が主流になってきているので、レインズそのものの存在価値が問われている状態になってきました。
以前は、お客さんから購入したい物件や賃貸したい物件を探す依頼を受けた時にレインズを見て調べたものですが、最近はあまり役に立たないということで、レインズで調べないで、仲間内の不動産会社に問い合わせて終わりということもあります。
また、専属専任媒介契約や専任媒介契約を結べば、その不動産業者は、必ずレインズに情報を掲載しなければならなくなります。時間さえかければ、自分の会社で買主もしくは借主を探せるような物件の場合、レインズに情報を載せて、他の仲介業者と手数料を半分に分けないといけないので、わざと一般媒介契約にする不動産業者もいます。そして、売却や賃貸が難しい物件だけをレインズに掲載するという傾向もでてきたので、レインズにはろくな物件がないということもあります。
また、レインズの会費は自動的に徴収されますが、アットホームやSUMOは各不動産屋さんが掲載料を払って載せています。もし、アットホームやSUMOにも掲載しなくても売却や賃貸ができる本当の優良物件はネットに情報が出ない物件というのもあります。
ときどき、レインズに掲載しないことが、不動産会社が仲介手数料を独占したいだけで、売却価格や賃料を損ねることになるので、そういう不動産会社は『悪い業者』という人もいますが、最近ではレインズに載せなければならない苦しい物件と言った方が良いかもしれません。
そして、売れ残ったり、借り手がいつまでもつかずにレインズにいつまでも載っている物件を『有名物件』と言いますが、『有名物件』などと業者間で揶揄されるようになると、その物件は収拾が付かなくなります。
ですから、ネットで公開されている物件の中で、
「これは良い物件だ!」
と思っても、本当に良い物件なら、他にも多くの人が良い物件だと思っているはずです。それが掲載されてから、何日も残っているということは、なんらかの問題があるということもありますので注意が必要です。
弊社では、未公開投資用物件も取り扱っています。
物件情報をご希望の方は、上記問い合わせホーム(←クリックすれば開きます。)から、お問合せ用件に『投資用物件希望』と記入して『送信』ボタンをクリックして下さい。(会社名が必須条件になっています。個人の方は会社名に「個人」と書いて下さい。)
直接、お電話でのお問合せにも、お答えします。特に、物件情報をFAXでご希望の場合には、お気軽にお電話ください。
マジェスティック・ライズ
最近、FBに嵌っていて、ろくに更新もしていないのに
何故か、アクセス数が増えている・・・
検索キーワードで見てみたら
「マジェスティック・ライズ」
随分、前に倒産した会社の記事ですが・・・
何があったんだろう?
債権者と揉めているのかな・・・
不思議です。
日本ホームインスペクターズ協会?
超久々の更新です。
今年に入って、忙しく・・・
ちょっと余裕が出てきた頃に震災になりました。
私は、震災時にお台場にいて、帰宅難民になっただけなのですが、
その後、震災とは関係なく仕事が忙しくなり、
ブログの更新が出来なくなっていました。
さて、久々のブログ更新なのですが・・・
つい最近、管理建築士定期講習というのを受けてきました。
姉歯問題から、建築士に関する規定が色々厳しくなり、
ついに、建築士も定期講習(試験有り)になりました。
講習を受けていて「ふっ」と思ったことがありました。
管理建築士定期講習というのは、建築の技術に関することは殆どありません。
「建築士事務所がどうあるべきか?」とか「建築士法に関すること」などがメインです。
そこで、建築士法第21条に関することがでました。
建築士法第21条
建築士は、設計(第二十条の二第二項又は前条第二項の確認を含む。第二十二条及び第二十三条第一項において同じ。)及び工事監理を行うほか、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査又は鑑定及び建築物の建築に関する法令又は条例の規定に基づく手続の代理その他の業務(木造建築士にあつては、木造の建築物に関する業務に限る。)を行うことができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
つまり、建物の鑑定や調査を業(報酬を貰う)とする場合は、建築士じゃないといけないということです。
さて、この日本ホームインスペクターズ協会というのは・・・
http://www.jshi.org/ (リンク切れの模様 2013/6/17)
どうも、受験資格は誰でも受けられる様です。
(この団体の理事長さんはちょっとしたハウスメーカーの部長さんだったと記憶しています。時々、テレビで欠陥住宅の解説なんかもしていました。住宅についての技術的知識もそれなりにあるとは思います。)
実際に、この資格を持っている人の中には建築士もいる様です。
しかし、建築士の資格を持ってない人もいます。
持っていない人は「業」として、建物の調査をすることは立派な違法行為です。
資格というのは、取ろうと思えば、試験勉強さえ上手ければ受かる試験って多いのが実態です。
ところが、難しいのは受験資格です。典型例が、建築士や医師です。
それは、専門的知識を学ぶのに試験だけでは語ることができない、技術的経験や知識があるからです。
「内閣府認証NPO法人」となっていますが、そもそもNPO法人そのものが、内閣府が認証するものです。
悪意があるとは思いませんが、如何にも、政府公認団体の様に強調するあたりは、建築士法に違反していて、この団体を既成事実として合法化しようとしている様にも見えます。
ホームインペクションを依頼する時は、ホームインスペクターという資格?を持っているかよりも、ちゃんと、この業務を行える資格(建築士)を持っているかを確認してからの方が良いと思います。
金融機関
最近、こんなことがありました。
ある、資産家が投資目的でマンションの1戸を買おうとしました。
投資用マンションと言ってもワンルームではなく、都心の一等地で、広さも部屋数もかなりあります。
もちろん、1億円以上するものです。
さて、その投資家は、自分の預金を担保に金融機関から借り入れで買う予定でした。
金融機関は東○三△銀行です。
支店長がやってきて、その投資家に・・・
「そんなマンション買わなくても、三△地所を紹介してあげますから、そちらで仲介してもらえばどうですか?」
投資家は・・・
「いやいや、これが気に入ったんだよね~」
支店長は・・・
「う~ん、融資は難しいですね。」
投資家は・・・
「では、現金で買うから、預金を崩すか・・・」
支店長は・・・
「よく、お考えになった方が宜しいかと思いますが・・・」
正直言って、公正取引法違反の様な気がします。
ちょっと、他の金融機関よりも業績が良いからと言って、いきなり上から目線・・・。
うんざりでした。
独裁的経営者 良い会社とは何か
昨日、私の弟子?の紹介である会社の社長とお会いしました。
その会社というのは、賃貸マンションを経営する会社で、その収益源は家賃収入です。
その会社、ファンドの様に投資家から、資金を集めて投資しているわけではありません。
よく考えてみれば、不思議な会社です。
簡単に言えば、自己資金+銀行からの借り入れだけです。
もちろん、それだけなら、地主さんなんかでは普通なんですが・・・
この会社、このやり方で土地から購入して、マンションを建て・・・極々短期間に数十棟の賃貸マンションを所有しています。
どれだけ、エクイティがあるのやら・・・
さて、その辺の財務状況は良くわからないのですが、
その社長の個性的なこと・・・
この社長、2ちゃんねるなどにも色々と批評されています。
良い評判は殆どありません。
どうも会社では独裁者的存在の様です。
しかし、会って話してみると、経営者的には共感できる部分が多々ありました。
というよりも、経営者としてBESTを尽くすと
「ああ、なるんだろうなぁ・・・」
と感じた次第です。
良い会社ってなんでしょう?
それは勝つ会社です。
その為に何をするか、よく考えなければなりません。
プロパスト倒産
プロパストがついに倒産しました。
以前にも書いていたように、いつ倒産してもおかしくない状態でした。
本社も六本木の泉ガーデンから、虎ノ門の雑居ビルに移転・・・
そう言えば、倒産したエスグラントもそんな感じでした。
アイ○ィーユーも、有楽町の東京宝塚ビルから、神田の雑居ビルに移転してるし、クオ○ケーションも代々木の代々木1丁目ビルから、原宿の雑居ビルに移転してる・・・大丈夫かな・・・。
プロパストは過去には随分とお付き合いのあった会社です。
21世紀に入るまでは名前すら知らない会社だったのですが、平成16年ごろから急成長した、新興不動産といわれる会社のひとつでした。
あとは・・・
ダヴィ○チ、アイ○ィーユー、原○産、クオ○ケー○ョン・・・
(まだ、結構あるか・・・。しかし、何故に伏字・・・)
その間に、いつの間にか聞いたことの無い会社の台頭もあります。
新陳代謝とはこういうものなのかもしれませんが、お付き合いのあった会社だけに、ちょっと感慨深い思いがあります。
総合不動産会社ジャスダック上場
株式会社プロパスト
民事再生法の適用を申請
負債554億4700万円
「東京」 ジャスダック上場の(株)プロパスト(資本金41億6945万円、渋谷区恵比寿1-30-1、代表津江真行氏ほか1名、従業員38名)は、5月14日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。
申請代理人は鈴木学弁護士(港区赤坂1-12-32、電話03-5562-8500)ほか。監督委員には土岐敦司弁護士(港区虎ノ門4-3-1、電話03-5408-6160)が選任されている。
当社は、1987年(昭和62年)12月に設立した総合不動産会社。当初は賃貸用マンションの売買が中心だったが、96年にテナントビルを竣工させて以降、自社開発に注力。折からの不動産市況の活況もあって郊外のマンションを分譲販売するほか、オフィスビルのリニューアルや土地再開発事業などを、SPC(特別目的会社)を通じて手がけて急成長し、2006年12月にはジャスダックに上場を果たした。2008年11月末時点では連結子会社16社、持分法適用関連会社2社でグループを形成。2008年5月期は、マンション分譲販売が好調だったほか、マンションの一棟売りや土地再開発プロジェクトの売却もあって、過去最高の約1021億5800万円の年売上高を計上していた。
しかし、その後はサブプライムローン問題に端を発した不動産市況の急激な悪化から消費者のマンション物件購入意欲が減退して販売不振に陥ったうえ、金融市場の混乱から資金調達も困難となった。2008年10月には、地価の下落によって棚卸資産評価損を売上原価と特別損失に合計63億2400万円を計上、2009年5月期の年売上高、当期純利益予想ともに大幅に下方修正していた。
こうした状況を打開すべく、2008年12月19日には大幅な人員削減を中心とした経営合理化策を発表していたものの、資金繰り悪化に歯止めがかからず、期限の到来した建設代金や借り入れ元利金および税金などの支払いがなされず、2009年5月期第2四半期決算短信および四半期報告書における継続企業の前提に関する事項が注記されたことに加え、2009年3月31日に2009年5月期第3四半期の決算短信を発表すると同時に同四半期報告書において監査法人から監査意見不表明を受けており、動向が注目されていた。
その後も、棚卸資産の評価損や一部プロジェクトの売却損など大幅な損失処理により2009年5月期は268億円の最終赤字となり、債務超過に転落。こうしたなか、棚卸資産(不動産)、賃料債権、預金債権等の差押を受けた結果、事業の継続が困難となったことから民事再生手続きにより、再建を図ることとなった。
負債は約554億4700万円。
なお、上場廃止基準の特例の規定に従って上場を維持しつつ、再建を図っていくとしている。
今年に入っての上場企業の倒産は、(株)コマーシャル・アールイー(ジャスダック、5月民事再生法、東京都)に続いて3社目。
出典:帝国データバンク