店舗の賃貸
自分もデベロッパーとして商業ビルの開発をしていたことがあるので良くわかるのですが・・・。
デベやビルオーナーの方というのは、周辺相場から、
「このビルは坪○万円ぐらいで貸せるよね?」
という、たずね方をします。
賃貸住宅やオフィスの場合は、周辺相場から割り出してもいいと思います。あとは、景気動向などから概ねの賃料はわかります。
しかし、都市型の商業ビルというのはそうはいきません。
もし、銀座にビルを持っていたとしても、隣のビルは5万円/坪で貸せても、
「このビルは3万円/坪でも難しいですね・・・」
と言うしかないときも多々あります。
その理由は・・・
周辺にある店舗の業態とその業態の充足率
建物の大きさや形状
地域よりも店舗の面する道路のポテンシャル(店の前を通る人口や客層)
などなどから、入る業態が決まってきます。
そうすると、その業態の支払える限界賃料が出てくる訳です。(「売上げの○○%は賃料に当てられる」という具合に・・・。もちろん、そのテナントの経営の上手い下手もあるのですが、概ね、業態別にその辺は決まっています。)
商業ビルというのは、住宅やオフィスに比べると、遥かに高い賃料で貸せる場合も多々あります。投資対象としても魅力的です。しかし、専門的なリーシングの能力がないと難しいです。大手の仲介会社でも、自社のサイトにオフィスビルと商業ビルを並べているところがありますが、これでは全然ダメです。
商業ビルに投資する場合は周辺相場や簿価に対する利回りから賃料を想定すると、いつまで経っても空室が埋らないことになるので注意が必要です
また、安定した収入を得られるビルにするためには、テナントのコーディネートも必要です。高い賃料を払ってくれるからと言って、申込順にテナントを入れていくと、そのテナントの商売が上手くいかなくなって、早期に撤退されるなどということも発生します。
その為にテナントのコーディネートも必要になってきます。投資をする前に商業系のコンサルタントに相談することをお勧めします。
なるべく良いテナントを誘致するので・・・
【賃貸借契約】定期借家契約モドキ
今日は皆既日食で午前中はニュースがもちきりですが、新宿は分厚い雲に覆われていて、太陽がどこにあるかまったく確認できません。実は結構、楽しみにしていたので残念です。しかも、事務所ということもあり、携帯のワンセグで『小さい皆既日食』を見ていました。
さて、タイトルの話に・・・
定期借家契約・・・、一般の住宅(マンションやアパート)を賃貸されたことしかない方には、あまり縁の無い言葉ですが、オフィスや店舗を借りようとしたことのある方は聞いたことがあると思います。
定期借家契約は正確には『定期建物賃貸借契約』といいます。
※定期建物賃貸借契約については・・・・借地借家法38条~40条
普通の借家契約とどう違うかと言うと・・・
・ 特約が無い限り、契約の更新が無い。
・ 特約が無い限り、200㎡未満の住宅以外は中途解約ができない。
他にも細かいことはありますが、大きなポイントはここです。
稀に200㎡未満の住宅でも、定期借家契約○年という物件がありますが、これには理由があります。
・ ○年後に建て直す等の予定がある。
・ 転勤などで、住人がそこに住めなくなったが○年後には帰ってくる。
などという理由があります。
この場合は、○年間という限定的ではありますが、ちょっと安目に家賃が設定されていることが多いです。
定期借家契約は『更新が無い』ので○年後に出ていかなくてはならないことを認識しておかないと、普通のアパートやマンションと同じ感覚で借りると大変なことになります。
では、本来の定期借家契約の目的は・・・
はっきり言って、『貸主の保護』です。
まず、特約が無い限り、契約の更新が無いということは、特約で『貸主側が承諾した場合のみ更新可能』にしておけば、その賃貸借契約の解除の主導権は貸主が持っています。
また、特約が無い限り、中途解約が出来ないということは、借主は契約期間はその建物を利用しようと、しまいと家賃を払い続けなければいけないということです。
ということは、もし、10年の定期借家契約を締結して、2年でやっぱり出ていきたいと借主が思っても残りの8年間は家賃を払わなくてはならないということです。この辺のことが解っている借主は、易々とこんな契約はしません。
そこで「○年のブレイクオプション」などという言葉が出てきます。これは10年間の定期借家契約を締結するが○年後に借主が中途解約するかを判断する・・・というような内容です。
そして、この定期借家契約は不動産ファンドなどが多用します。不動産ファンドは投資家に安定した配当を出し続けなければなりません。そこで、安定した家賃が必要になってくるのですが、もし普通の借家契約だと、借主が家賃を払うのが苦しくなったときに出て行ってしまいます。
入居時に借主の与信は当然に調査するのですが、それでもその借主が苦しくなる局面というのは不景気です。不景気になって、その借主が出て行けば、次の借主を決める時には家賃を下げないと決まらないことが多くなります。また、その際に物件の需給バランスが崩れて供給過多になると、現在の様に空室だらけになって、家賃を下げたら決まるという問題でも無くなったりします。
そこで、定期借家契約にするわけです。そうすればその借主が破綻(法人なら倒産)でもしない限りは、賃貸借契約の期間は安定した家賃収入を得ることができる訳です。特にちょっと景気が良かった時には貸主が強気でしたから、定期借家契約だらけになりました。
しかし、この定期借家契約は目的が『貸主の保護』なので、圧倒的に貸主が有利な内容が多いので、そのことがちゃんと解っている借主は応じません。それでも昨今の景気状況では空室になるより、ましなので普通の契約に貸主が応じるケースが増えてきています。
さて、定期借家契約がどんなものか、ご理解できたと思いますが・・・
私のところにこんな物件のリーシングの依頼がありました。
商業ビルの1棟貸しなんですが・・・貸主から来た、契約書の雛形を見ると・・・
『30年間の賃貸借契約とし、中途解約の場合は残存家賃を置いておくこと』
と書いてあります。私は
『定期借家だったけ?』
と思いながら、契約書の雛形を読んでいくと・・・
『中途解約の場合は甲乙6ヶ月前に相手に申し出ること』
と書いてあります。これでは完全に普通の借家契約です。
貸主(依頼主)に・・・
「この契約は無効になりますよ・・・。少なくとも訴訟になれば負けますよ」
と言ったのですが、貸主は借主予定者に、この内容で聞いてみてくれというので、借主予定者に内容を良く説明して、この内容で良いですかと聞いたら・・・もちろん、ダメだったのですが・・・
「10年なら、残存家賃を置いていくという契約でもいいかな・・・」
『おっ・・・これだけでも貸主に顔がたつ・・・』
と思ったのですが・・・
「どうせ、設備投資や内装を回収するのに10年はかかるからな。ただ、うちが一方的に残存家賃を置いていくというのは対等な契約とは言えないから、貸主が中途解約を申し出た場合は残存家賃と同じ金額をうちに支払うという内容にしてくれ」
と言い出しました。一応、貸主は安定した家賃収入を求めているわけですから、これでもいいかな・・・と思ったのですが、ある意味、立退き料が事前に決まっているのと同じです。ただし、それでも普通の借家契約ですから、貸主はお金とは別に正当事由が必要ですから、この部分に於いては貸主が不利になったわけです。
一応、この内容で締結したのですが、定期借家でもないのに不思議な契約になりました。
とは、言うものの、実はこういう、よく解らない賃貸借契約は多々あります。
貸す方も借りる方も注意してください。
天気が悪くて皆既日食を見れなかった人も・・・
飲食業界
最近、テナントビルのリーシングをいくつか請け負いました。
どお考えても飲食店しか、ないだろうという場所なのですが・・・
全然、決まりません。
場所も悪くないし、家賃も妥当性のある価格で、しかも新築です。
予想はされていたことなのですが、飲食業界はかなりの不況です。
特に高級店になればなるほど、厳しい感じがします。
新規起業で飲食店をやる方は増えている感じはするのですが、
今回、預かっているビルはある程度の与信が問われているので
できれば、チェーン店展開をされている会社か実績のあるところを貸主が希望されているのですが・・・。
銀座のクラブなども相当数が廃業している様ですし、飲食業界はしばらく苦戦しそうな感じです。
厳しい環境が続くけど・・・
【店舗】オフィス・デポ 17店舗閉店
OfficeDEPOTという事務用品の専門店をご存知ですか?
東京で働いている人は見たことがあると思います。大阪や名古屋にも少しはあったかと思います。
通常、事務用品は大塚商会の『たのめーる』やアスクルで頼むことが多いと思います。これらの通販は頼んでから来るまでに少し時間が掛かります。(午前11時に頼めば、当日には来ますが・・)しかし、すぐにファイルが必要とか、朱肉が切れた・・・とか、緊急の時にオフィス・デポは大変、役に立っていました。私の会社のそばにもあったのですが、今月の18日に閉店と出ていました。
で、サイトを見てみると・・・なんと、今年に入って、17店舗閉店、しかも、現存しているお店も5店舗が近日中に閉店とあります。元が28店舗だったので、僅か半年の間に22店舗閉鎖で6店舗になってしまいます。
オフィス・デポもネット通販とカタログ販売に力を入れていくと言うことの様です。
最近、スーパーなどの小売もネットスーパーが流行っていますが、このまま行くと近い将来には物販店舗が無くなってしまうのでは・・・?という不安になります。商業系の店舗が激減すれば商業地の不動産価格が大幅に下落しちゃうので・・・。
今後の商業系不動産に関しては注意が必要かな・・・と考えました。