【地上げ】~境界確認~前編

連載シリーズ 【 【地上げ】~境界確認~前編 】 第 3 話 / (全 2 話)
境界確認

日本社会に於いて、印鑑は大変重要な役割を果たします。実印と印鑑証明・・・これさえ揃えばということが多々あります。

今回はそんな印鑑に纏わる話です。

去年の暮れに私にAさんがやってきました。Aさんは都内のある地主さん(おばさん)です。

(その時、Aさんは悠々自適に海外で暮らしていました。今もですけど・・・)

「相澤さん、ちょっと聞いてよ!プンプン

「どうしました?」

(この人、ヒステリックだから関わりたくないんだよなぁ・・・)

「ほら、私が以前から欲しがっていた、Bの土地あったでしょ!プンプン

「あ~、2通り沿いの駐車場の土地ですか?」

「そうそう、あの土地、売りに出たのよ!プンプン

「良かったじゃないですか?」

(どう見ても、怒っているので、この発言は火に油を注いでいます。)

と、私は現地も見て解っているのですが、皆さんには解りにくいと思うのでまたまた絵を描いてみました。

『Dr.相澤の住宅情報館』の館長のブログ

Aさんが欲しがっていたと地はBの土地です。2の道路に20mぐらい面しています。奥行きは6mほどで2の道路(『2通り』と呼びます。)から直接入るような月極の駐車場でした。AさんはAの土地の所有者です。1の道路はAさん名義の私道で幅員は4m、2通りは幅員22mの公道です。この場所の用途地域は商業(容積率500%)です。

Aさんの土地は1の道路にしか接道してないですから、容積率は240%です。しかし、Bの土地が手に入れば、2通りに面する事になるので容積率は500%となります。面積当りの資産価値は一気に倍以上になるから欲しいに決まってます。

また、Bの土地は奥行きが6m程度しかありませんから、大したものが建ちません。しかし、Aさんは自分の土地と合わせれば、100坪を超えます。これならば色々なものが検討できますから、Aさんは他の購入検討者よりもBの土地の評価は高く考えられるので、価格勝負になればAさんが圧倒的に有利です。

※ここで一般の方に道路幅員と容積率の関係を簡単に説明します。

道路幅員が12m未満の場合、その場所の用途が住居系の場合は

道路幅員×0.4×100=容積率

同じく商業系の場合は

道路幅員×0.6×100=容積率

になります。ただし、都市計画で定められる容積率を超えることはできません。

「それが良くないのよ!Bの土地が売りに出たと聞いたのは昨日、日本に帰ってきてからなのよ!プンプン


「しかし、日本に帰ってきてすぐによく、Bの土地が売りに出てるという話を聞きましたね?どなたから聞いたんですか?」

(少し、落ち着かせるために、やんわりと、話を逸らします。)

「それが、私の弟からなのよ!プンプン

(Aさんの弟さんはAの土地から、程近いAさん所有のマンションに住んでいます。)

「弟さんは、Bの土地が売りに出ているとよく、知っていましたね。」

「それがねBの土地の所有者が売却するに当って、境界を確定したかったみたいなの。私の気持ちも知らないで、その書類に弟が勝手にハンコウを押しちゃったのよ。それで弟がその書類の複写を私に持ってきたわけ!それで、その家屋調査士に電話をしたら、売りに出てると解ったわけ!プンプン

「じゃあ、買えばいいじゃないですか!」

(買えないから、私のところに来た事はもうわかってるんですが・・・)

「私だってそう思ったわよ。それで家屋調査士に誰に電話をすれば良いか聞いたら、仲介業者を教えてくれたの。それで電話したら、『もう他の方と話が進んでいて・・・』と言って私には売れないって言うのよ!」

「はぁ・・・」

(それで、どうしろと・・・)

「なんとかならない!プンプン

(私じゃなく、売主にでも相談してくれ・・・むかっ

と言いたいところを抑えて・・・

「とりあえず、筆界確認書の複写を見せていただけますか?」

「じゃあ、家に取りに行ってくるわ!」

(準備悪いなぁ・・・しょぼん

もっともAさんの家はここから、徒歩15分です。

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今日はこれから打合せに行かなくてはならないのでこの話は明日に続きます。

中途半端だけど・・・

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