【地上げ】~境界確認~後編
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昨日は設計事務所との打合せでした。
この不景気に超大プロジェクトの計画を設計事務所と打合せしてきました。
58坪の店舗兼住宅・・・・・・・・・・・・
というわけで、前回の続きです。
さて、程なく、Aさんは帰ってきました。
書類を一式もって来ました。
Bの土地の謄本類も一式揃っています。
Aさんの土地との境界以外の方の印鑑も既に押されています。ちゃんと印鑑証明もついていました。
「ん?・・・なんでAさんの弟さんの印鑑証明が添付されてないんですかね?」
「だって、弟は印鑑登録してないもん・・・」
(はっ?弟さん・・・何歳でしたっけ・・・・)
と、言いたいのを抑えて・・・
「へ~、そうなんですか」
『・・・・・』
(ひらめいた!)
「あ、Aの土地の謄本ありますか」
「あるわけないじゃない・・・」
(さすがに今回は準備悪いなぁとは思わず・・・)
「じゃあ、ちょっとパソコンで取りますね。」
「・・・いやらしいわねぇ・・・・」
(って、別にあんたの謄本見てもいやらしくないだろ!)
と、声を大にして言いたいのを抑えて・・・
「Aの土地はAさん、お一人の名義になってますね!」
「当然じゃない!」
「じゃあ、弟さんに代理委任状渡しました?」
「弟がハンコウ押したのを知ったのだって昨日なのに、委任状なんか渡すわけないじゃない!」
『勝った』
心の中で雄叫び!
「じゃあ、この家屋調査士に電話させてもらっていいですか?」
「いいけど、無駄じゃないの?」
(じゃあ、頼むな!)
と・・・怒鳴りたいのを抑えて、家屋調査士のY氏に電話しました。
「おたく、Aさんの土地とBの土地の筆界確認した家屋調査士のYさんですか?」
「ええ、うちがやらさせて貰いましたが・・・。なにか?」
「AとBの土地の境界確認は無効じゃないですか?Aの土地の所有者はAさんであって、Aさんの弟にはなんの権利もないですよ。」
「ええ、ただAの土地の謄本見たら、Aさんは海外にお住まいなので親類の方に代理でハンコウを貰いました。」
「あのさぁ・・・Yさんもプロでしょ?海外に住んでるから、代わりって通用するんですか?代わりなら代理委任状が必要でしょ。」
「・・・・。いや、じゃあ、Aさんの弟さんが私にまるで権利者のごとく、押印したということはAさんの弟さんの詐欺行為ですよね。」
『釣れた!』
心の中でガッツポーズ!
「じゃあさぁ・・・この弟さんからハンコウ貰ったって言ってるけど、印鑑証明どうした?他の境界にはご丁寧に印鑑証明が全部揃ってるけど、ここだけ何故か印鑑証明がないですね?」
「あ、Aさんの弟さんが実印持ってないって言ってたんですよ」
「本当にAさんの弟が押印したって証拠出して下さいよ。」
「・・・・」
『チェックメイト』
心の中で静かに一言!
「Yさんの立場も解らないでもない。しかし、焦りすぎたかな・・・。でも、心配しなくていいよ。あなたの依頼主が怒らない様にしてあげるよ。ただ、二つ、頼みがあるんだけど・・・。Yさんが請け負った、Bの土地の所有者から、今、この土地売買の話が進んでいる金額を教えてもらってよ。それと、Bの土地の所有者の電話番号を今すぐに教えて。」
すぐに、家屋調査士から電話が掛かってきました。値段もご丁寧に調べてくれました。
私はすぐに、Bの土地の所有者に電話しました。
「Bの土地の件なんですけどね。話が二つあるんですよ。まず、AとBの土地の境界確認については無効です。Aの土地の所有者は押印してません。それと、AとBの境界確認が出来てない状態で○○○○万円でBの土地を買いたいと言っている方がいるんですけどどうですか?」
※この金額は当然ですが先に進んでいた話に上乗せしています。
Bの土地の所有者はさすがに突然の電話で驚いたのでしょう。
「どちらから、この土地の売買の話を聞いたんですか?」
「家屋調査士のYさんとは旧知の仲でして、たまたま、話を聞いたんですよ。」
Bの土地の所有者は結構、話の解る方でした。AとBの境界の確認が取れていないことをちょっと説明したらわかってくれました。
こちらもAとBの境界が確認できてなければ現況有姿で売れないということは必死に境界確認をしていることから想定済みです。
また、Bの土地の所有者には、この家屋調査士Y氏のおかげでもっと高い金額で売れたと思わせることでY氏の面子も保ちました。Bの土地の所有者もちょっとでも高く売りたかったのでしょう。喜んで乗ってくれました。
しかし、その先に話が進んでいた方との契約が3日後だったというのは、後から知った話でした。本当にギリギリセーフでした。
みなさんも、実印を気軽に押さない様に注意してください。
実印を持ってなくても・・・
まずは1本、お電話ください。些細な疑問にも答えます。プロ、アマ、一般の方、すべて歓迎。