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タイトルの件ですが、これは非常に難しい問題でしたが、ついに大阪高裁判決を最高裁が棄却したことで結論がでました。
Q.家賃滞納をしたことで保証会社が貸主に家賃を支払ってくれました。後日、家賃を保証会社に支払いましたが、貸主より、賃料未払いによる契約解除、明け渡しを求められました。保証会社が家賃を支払ってくれているし、それを保証会社に返したから、賃料未払いには該当しないのではないのでしょうか?
A.賃料未払いの事実は消えず、賃貸借契約の解除を認める。
賃借人の主張に理由はなく、保証会社による代理弁済があっても賃料等の不払いの事実は消えず、賃貸借契約の債務不履行の有無を判断するにあたり、保証会社の代位弁済の事実を考慮することは相当でない。よって賃料不払いに基づく賃貸借契約の解除を認める
大阪高裁2013年11月22日 2014年6月26日最高裁上告棄却
この判決は、不動産業界でも多少の波紋を呼ぶこととなりました。正直、私も驚きました。
この質問は、当社にもかなり来るのですが、これについては、弁護士に聞いても意見が分かれていました。考え方は二つあります。一つは、今回の大阪高裁の判決です。もう一つは
『保証会社に対して、契約時に保証料を支払っているのは、賃借人である場合が多く、とすると、保証会社は賃借人から、賃料未払い時に代位弁済を依頼されている訳だから、債務不履行は代位弁済によって解消される。』
という、借主側に立った意見もありました。たしかに、私も保証会社に保証料を支払っているのは賃借人なので、
「この意見の方が正しいのではないかな・・・。」
と、考えていました。ただ、そうなると、保証会社がいつまで、保証すれば良いのか?という問題も出てきますし、代位弁済をする期間(保証期間)を短くして、リスクを回避しつつ、家賃滞納が始まった瞬間に契約解除(立退き)にもっていくという、賃借人にも賃貸人にとっても良くない悪循環が始まります。
旧借地借家法もそうですが、賃借人有利のものが多く、今までの判例も圧倒的に賃借人有利の判例が多かったと思います。これは、日本の多くの土地が一部の地主によって占有されていた時代に弱者である賃借人を保護するためのものでした。しかし、ここにきて、「賃借人=弱者」という構図が解消されてきているものと考えられます。
ただ、今回の判例の一番のポイントは、
「保証会社による代理弁済があっても賃料等の不払いの事実は消えず」
という部分です。では、これが保証会社でなくて、連帯保証人ならどうなるかと言えば、やはり同じことになると考えられます。しかし、そうなると、ちょっと怖いことが起こる可能性があります。例えば、ある住居を大学生が借りていて、親が保証人になっていたとします。
「家賃が払えないから、お父さん、代わりに家賃を払って!」
と学生が父親に泣きつきました。
「しょうがないなぁ、今回はお父さんが払っておいてあげるよ。」
と、お父さんが自分の口座から、振り込んでしまいました。
その大学生は、普段から、ゴミの出し方が汚いとか、夜中に酔っ払って帰ってきたりして、貸主は心良く思っていませんでした。(もっと言うならば、生理的に受け付けなかったなどの理由かもしれません。)
そこで、貸主は、お父さん名義で振り込まれている事実をもってして、
「連帯保証人が支払ったことは代位弁済であり、賃料不払いの事実は消えない!」
と言って明け渡しを求めることができるということになりかねません。という訳で、もし、家賃が支払えなくて他人に泣きつくにしても、自分(借家人)名義で振り込んでもらうか、借家人以外に支払って貰った場合は、賃貸人に『賃料として受け取った』という、受領書を貰っておかないと、突然、立退きを迫られることになりかねないということになります。
今回の判決を勝ち取った弁護士は、これで明け渡しがやり易くなったかもしれませんが、今後は、賃料の支払い方等について、契約時にしっかりと説明をしてあげないと、本当の弱者を誰も守ってくれないことになるかもしれません。
心ある仲介業者の皆さんが多いことを祈ります。
まずは1本、お電話ください。些細な疑問にも答えます。プロ、アマ、一般の方、すべて歓迎。