家賃滞納対策 内容証明の出し方 【立退き】

カテゴリ:ブログ 不動産投資
連載シリーズ 【 家賃滞納対策 内容証明の出し方 【立退き】 】 第 11 話 / (全 14 話)

前回、連帯保証人への督促状の出し方を書きました。

今回は、連帯保証人が督促状にも応じて来なかった場合の方法として、内容証明の書き方と出し方を説明します。(「内容証明書」の雛形はこちらからダウンロードできます。)

内容証明の書式や意味については、「【立退き】内容証明」に書いていますので、こちらをお読み下さい。

6.1~5で連絡が付かなければ、借家人と連帯保証人同時に内容証明を出す。

ここで、重要なことは内容証明とは、『家賃を回収するため』の貸主と借主との間でできる、第三者を介入させずにできる最終手段です。家賃回収が目的であり、内容証明を送付しても反応が無ければ、第三者(弁護士)を介して、家賃を回収するという方法になります。

ただし、弁護士を介しても相手に支払い能力がない、もしくは破産宣告をされてしまえば、訴訟の結果如何によらず、家賃は回収できません。

簡単に言えば、無いものは回収できない。

ということになります。そして、無いものは回収できないので、今後も家賃の支払える見込みは無いと考えられるので、その賃借人には退去してもらうということになります。殆どはこちらになります。

内容証明を送付するということは、裁判所を経由して、強制執行により賃借人に退去してもらうということになります。

第1話「家賃滞納対策 ~住宅編~ 【立退き】」でも書きましたが、内容証明の送るタイミングは、概ね初回の家賃滞納から1ヶ月ぐらい経ってからです。

ポイントは次月分の家賃が振り込まれたかの確認をしてからということになります。

例えば、「家賃の振込みは前月末日までとする」と契約書で定められていたとします。とすると7月1日の時点で家賃が振り込まれていなければ、家賃滞納が始まったことになります。そして、7月分の家賃が振込まれていないで、8月1日の時点でも家賃が振り込まれてなければ、8月分の家賃も振込まれていないので、2ヶ月分の家賃の滞納が始まったということになります。

このタイミングを見てから内容証明を出します。

2ヵ月分の家賃を滞納しているということは、余程、経済的に困窮していると考えられます。つまり、一切の債務に対して返済が出来ないか、一部しか返済できないという状況です。

もしくは、状況がよく、わかっていない借家人とも考えられます。家賃の優先順位が解かっていない借家人とも考えられます、

「家賃を滞納しても、1年ぐらいは、大家さんが待ってくれた。」

「大家さんからの督促を無視しても、半年ぐらいは待ってくれた。」

「家賃を支払っても、そんな簡単に立退きはされない。」

などという話がインターネットなどで氾濫しています。別に家主が賃借人に対して、家賃の滞納を許すのは家主の自由です。(督促状もなしで、あまり許していると贈与税の問題が発生します。)

通常の借金(例えば、クレジットカードやキャッシングローン)の場合は無担保ローンですから、請求されても、債権者も気長に督促をしていくしかありません。最後は一気に差押えを行いますが半年以上の時間が掛かります。今は、まともなキャッシングローンは暴力的な取立てを行わないので、債務者は差押えさえされなければ怖いものは無いでしょう。ましてや、差押えられる財産が無ければ、開き直ることもできます。

また、光熱・水道・通信費ですが、これを滞納すると、真っ先に止められるのは、電話です。携帯電話も同じです。次は、電気・ガスです。電気・ガスは、事業者にもよりますが2ヶ月分ぐらいを滞納すると止められます。水道は、なかなか止められません。しかし、止めるだけで、督促状は来るものの、未納金の回収には殆ど来ません。つまり、放置しておいても、電気やガス、水道が使えなくなるだけということです。

そして、次が税金です。そもそも、収入が無くなっていて、生活保護申請でもしていれば、税金や年金・保険の支払いも無くなるのですが、そうでなくても、こちらも半年ぐらいは普通に待ってくれます。国民年金については、差押えなどは、少しずつやっているようですが、殆どありません。住民税や所得税も、はっきり言って、半年、1年は放置しても、督促状がくるだけです。(不動産を所有しているなど、財産が明らかにある場合は本当に差押えに来ます。)

「クレジットカードを止められるのは嫌だから、そちらは支払っている。」

「携帯は無いと困るから、携帯だけは払っている。」

「税金は国民の義務だから・・・」

「将来、年金だけは欲しいから・・・」

などなど、家賃を滞納しているのに、他の債務に対しては支払っている借家人がいます。

私の経験した借家人の中に、家賃滞納をして、携帯、電気、ガスも止められていて、税金、年金の督促状も来ているのに

「新聞代だけは、ちゃんと支払っていた。」

という意味不明の借家人がいました。余程、新聞を読むのが好きだったのでしょうか・・・。

これが、債務を処理していくときの優先順位が解かっていない借家人のパターンです。もっとも、借金だらけの生活を繰り返してなければ、この優先順位を解かっている人はあまりいないはずです。

では、家賃の優先順位はこの債務のどこに位置されているかというと、家主の意思次第です。

家主が徹底している場合は、3ヶ月の家賃滞納で裁判を経て、借家人は現在の住居を失うことになります。つまり、契約解除をされて立退かなければなりません。

どんなに、電気代を払っても、住居を失えば、電気を使う部屋が無くなるということを理解していないということです。

ここで、他の債権者が色々なものを差押える前に動くということが大事です。ですから、家賃滞納が3ヶ月に達した時点で裁判所からの呼び出しが掛かるタイミングを逸しないようにします。

その為に、2ヶ月目の家賃を滞納した時点で内容証明を送ります。

ただし、ここで、考えておかなければならないのは、滞納3ヶ月目から、裁判に持ち込んで、家賃滞納を理由に賃借人と契約解除に持ち込むのには、概ね2~7ヶ月を要します。そして、裁判所の命令にも応じなくて、裁判所が強制執行するのに1ヶ月かかるということです。そして、借家人は支払い能力がない場合が殆どなので、滞納家賃の回収はほぼ不可能です。そして、強制執行の費用は家主負担(※1)になります。そして、弁護士費用、裁判費用が掛かります。

※1 強制執行の費用は、本来は「強制執行される側=借家人」に支払い義務が、あるのですが、借家人に支払い能力が無い場合は、強制執行を依頼する家主の支払いになります。というわけで、実質的には家主負担になることが殆どです。

こう考えると、例えば家賃が8万円/月の東京のワンルームマンションの場合

訴訟前の3ヶ月の滞納家賃 8万円×3ヶ月=24万円

訴訟後の滞納家賃      8万円×4ヶ月=32万円(平均値)

強制執行までの家賃                 8万円

訴訟費用(印紙代+郵便費用)        2万4千円

執行までの裁判所への支払い         9万3千円

強制執行費用                        23万円

弁護士費用                          63万円(平均値)

と、このように回収できない家賃が64万円、裁判~強制執行までに掛かる費用が105万7千円と、約170万円の損失が発生します。

ですから、本当に借家人が滞納家賃を支払えなくなった場合には、裁判所を介さずに、早々に退去してもらう交渉に入る方が得です。

できれば、督促状を送った時点で、内容証明を送らずに、すぐに立退き交渉に入る方が得策です。内容証明を送った後に交渉をするのが得策でないのは「【立退き】内容証明」で書いているので、そちらをお読み下さい。

交渉に成功すると、上記の170万円が100万円~110万円ぐらいで済み、さらに、4ヶ月ぐらい早く、別の賃借人に貸し出すことができることを考えれば、さらに32万円得ということになります。つまり、裁判に持ち込むよりも、実質的な被害は、約4割で済むということになります。

もちろん、交渉に成功すればであって、この交渉術が重要になってきます。これは、私の経験からの話ですが、まず、この類の交渉は家主(個人)がやっても成功しません。特に

「私が大家だ。」

と思っている家主の方が交渉すると概ね失敗します。交渉するのは家主の自由ですが、交渉がこじれて、賃借人との関係が悪化してからだと、専門家に相談しても時間も費用も掛かることになります。

借家人に直接交渉するのであれ、第三者に依頼するのであれ、専門家に相談することをお勧めします。

また、くれぐれも家賃滞納をしている借家人の部屋に借家人が不在の時に勝手に入って、荷物を外に出して、鍵を替えてしまうなどの乱暴なことはやってはいけません。ゼロゼロ物件などで問題になっており、このようなことをすると、借家人に訴訟を起こされたとき(※2)に確実に負けます。

※2 保護団体や無料相談などがあるので、借家人に弁護士費用等が無くても、簡単に訴訟を起こされたり、行政指導の対象になったりします。

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