連帯保証人が亡くなった場合~家賃滞納対策~

連載シリーズ 【 連帯保証人が亡くなった場合~家賃滞納対策~ 】 第 14 話 / (全 14 話)

先日、このような質問がありました。

Q.「賃借人が家賃を7ヶ月滞納しているが、自己破産宣告をするようなのですが、家賃の回収はできるでしょうか?」

弊社「連帯保証人はいらっしゃいますか?」

Q.「契約時にはいたんですけど、既に亡くなっていまして・・・」

弊社「賃借人と連帯保証人は、どのような関係ですか?」

Q.「親子です。」

弊社「連帯保証人の家族構成はどうなっているか、解りますか?」

Q.「奥様がご健在で、賃借人の他に子供が2人います。」

弊社「では、一般的に考えれば5/6は回収できますね。」

という、やりとりでした。

簡単な話ですが連帯保証債務も法定相続されます。つまり、この場合、連帯保証人が亡くなった時点で、法定相続により、妻帯者が健在なら、妻帯者が50%を相続します。そして、残りの50%を子供たちが相続することになります。

ただし、子供のうちの一人は自己破産宣告をするということは、ここからは回収不可能です。つまり、賃借人からは回収できないので1/6は諦めなければなりません。したがって、5/6だけが回収できるということになるわけです。

最大の問題は、連帯保証人の相続人の連絡先がすべて解るかということになります。

通常の賃貸借契約の場合、連帯保証人の保証能力が喪失した場合、別の連帯保証人を付けなければならないとなっていることが多いと考えられます。

このことから、相続人の連絡先を賃借人から聞き出せば良いだけの話です。賃借人から、してみれば、家賃を滞納して、自己破産をして、その請求が親兄弟に行くというのは、恥ずかしいことかもしれません。故に、それを言いたがらないかもしれませんが、それならば賃借人本人が返すしかありません。貸主としてみれば、当然の権利を行使しているわけですから、そこは強引にでも聞き出すべきでしょう。

また、目に見える財産、金銭、有価証券、不動産や、借用書のある借金(金融機関の借金)などというものに関しては、相続人は理解していることが多いのですが、連帯保証債務というものについての相続を理解していない人が多いのが一般的です。そのため、請求しても

「なんで、自分が兄弟の家賃滞納を支払わなければならないんだ!」

と、拒絶してくる場合が多いです。

そこで、民法896条を説明した上で、連帯保証人としての地位を相続している旨を説明して請求することをお勧めします。

第八百九十六条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

もっとも、このような事態に陥って、お困りの場合、なかなか契約当事者でない人(連帯保証人の相続人)との交渉は難しいかもしれません。

その場合は、弊社に一度、お電話でご相談ください。

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