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まずは、電話催促の方法です。
第1話で書きましたが、「支払日を忘れていた。」、「家賃支払日に急病などで入院してしまった。」というのも、退院後にちゃんと支払える場合は除きます。
1.家賃滞納から、1週間~2週間で借家人に電話を入れて催促をする。
1週間~2週間と書きましたが、できれば1週間で電話を掛けるのが良いでしょう。これは前回も書きましたが、家賃滞納の原因が事故だった場合に被害を最小限に食い止めるためです。
ここで、書いている事故とは、借家人が交通事故にあったとか、貸室の外であった事故のことではありません。書きにくいのですが・・・
・自殺
・他殺
・病死などの孤独死
などの死亡している場合です。私は、自分が関わった物件で全てに遭遇したことがあります。亡くなった方には気の毒な話しを書きます。病死などの自然死の場合は事故物件にはなりませんが、自殺や他殺の場合は、その物件自体が事故物件として取り扱われることになります。
起こってしまったことは、取り返しがつかないので、被害を最小限に食い止めることが肝心です。遺体の損傷が激しくなってくると、清掃も大変ですし、同じ物件の居住者まで退去してしまいます。
このため、如何に早く発見するかが大事なのですが、だからと言って、1週間で電話連絡がつかないからと言って、鍵をいきなり開けて貸室に入るわけにもいきません。
電話で連絡が取れた場合も、いきなり怒ってはダメです。常習的に滞納をしている人の場合でも怒ってはダメです。常習的に滞納している人への対応は次回以降に書きますが、紙面を持って対応します。
まずは
「家賃の振込み(支払い)をお忘れではないですか?」
と丁寧に聞きます。そして、いつまでに支払ってくれるかの確認をとります。
携帯電話にかける場合には
「家賃のお支払いがまだのようですが、今、お時間よろしいですか?」
と聞きます。ここで、相手が
「今は都合が悪い・・・」
という旨のことを言われた場合には、いつまでに折り返し電話をくれるように伝えます。相手が仕事で打合せ中などの場合、家賃滞納の話は他人には聞かれたくないですし、強引にその話をすると信頼関係を損ねたり、営業妨害になったりする場合もあります。
この時に支払期日が1週間以上、待ってほしいという場合には、「念書」を取ります。
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念書の取り方ですが、出来れば、ちゃんと会って念書に、署名捺印をしてもらいます。この時のポイントは、念書を書いた日の日付といつまでに、支払うのかの日付を必ず記入します。
そして、捺印ですが、絶対に実印を使ってもらい、印鑑証明も貰います。また、連帯保証人にも、署名捺印を貰います。こちらも実印と印鑑証明を貰います。
どうしても会って念書に署名捺印が貰えない場合、例えば、家主が賃貸物件から離れた場所に住んでいる場合などの家主側の問題で会えない場合、借家人が仕事などで、どうしても会いに来られない場合などは、無理せずに、簡易書留に念書と送付状、それに返信用封筒(簡易書留にして切手も貼っておきます。)を入れて送ります。送付状には、本人の署名捺印、連帯保証人の署名捺印、各々の印鑑証明を添付して送り返す旨を書きます。
ここまでやると、念書を作る前に大体の人は支払ってくれるのが普通です。
というのは、連帯保証人に家賃滞納がばれたりするのは、結構恥ずかしいものです。それに、印鑑証明を用意したりするのも面倒です。そして、何よりも、念書出すこと自体がプレッシャーになるはずです。
もし、支払い期日が1ヶ月を過ぎる場合は、契約書に家賃滞納の場合の損害利息も合わせて支払う旨を書く覚書にします。
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もちろん、連帯保証人の実印、印鑑証明ももらいます。そして「確定日付」を公証人役場で登録します。できれば、公正証書にする方が良いでしょう。この場合は、公証人役場に借家人本人と連帯保証人にも来てもらいます。また、以前の記事(「公正証書の効力 ~立ち退きの場合~」)に書きましたが、公正証書には立退きの効力はありませ。しかし、金銭債権の強制執行権はあります。
そもそも、支払期日が1ヶ月を過ぎる場合というのは、次月の家賃よりもあとに当月の家賃を支払うという矛盾が発生します。
この時点で家賃を滞納している借家人は、相当、経済的に困窮しているはずです。ということは、仮に公正証書を作り、金銭債権の強制執行権を行使したとしても、無いものは回収できません。だからこそ、連帯保証人にも公正証書に署名捺印してもらいます。ここで起こることは・・・
1.連帯保証人が公正証書作成の前に家賃を代納してくれる。
2.公正証書作成前に連帯保証人が借家人に家賃をちゃんと払うように催促してくれる。
3.公正証書作成前に借家人と連帯保証人が話し合い、双方とも支払い能力が無いときには退去の相談をする。
一般的な考え方の人であれば、この3つのパターンになるので公正証書作成前にことが片付くはずです。
もし相手が一般的な考え方を持っていない場合や、余程、困窮している場合は、公正証書の作成に応じてきます。つまり、公正証書を作って金銭債務の強制執行をされた時点で破産する覚悟があるとか、行く場所がないからとりあえず応じているという場合も考えられます。
例外的に将来に支払う見込みがあるケースがあって応じてくる場合もあります。
つまり、公正証書の作成に応じてくるようなケースは、要注意の事態と考えてよいでしょう。心の中で、この借家人の退去準備をしなくてはならない時と考えられます。
その場合には、公正証書に
・ 期日までに支払えなかった場合は賃貸借契約の解除に応じる。
・ 合意解約の和解調書に応じる。
などの文言を付け加えます。もちろん、公正証書でこの文言に対する強制執行権はありませんが、裁判になった場合は、ほぼ確定的な証拠になります。
この覚書を案文として、公証人役場に持って行くと、公証人が公正証書を作ってくれます。案文は、公証人役場にもよりますが、事前に持っていくかFAXで送ります。
次回は電話連絡がつかなかった場合を書きます。
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