【経緯】外伝6【立退き】

連載シリーズ 【 【経緯】外伝6【立退き】 】 第 6 話 / (全 7 話)

今日は以前書いた、あまり話が通じないRさんの話です。

賃貸管理をしていると、色々な人や事件に遭遇します。(後日、少しずつ書いていきます。)

Rさんに至っては前のオーナーが契約したんですけど、私の本心は

「よく、この内容で契約したよな・・・」

と言うような方でした。

まずは毎度同じの契約書及び添付書類による賃借人の属性チェックです。


名前:Rさん

性別:女性

年齢:30代

同居人:無し

連帯保証人:Uさん

家賃の遅延履歴:無し

本物件他の居住者からのクレーム履歴:無し

と、ここまで読んでいる方は問題無い様に感じると思います。

しかし、私はすでに『あたた・・・っ汗と思っていました。

Rさんの契約書に添付されている身分証明書はパスポートのコピー!


(国籍・・・フィリピン人じゃん!)

別にフィリピン人だから悪いというわけではありません。しかし、ここに住んで既に12年が経過しています。ビジネスでちゃんと日本に来ている方で12年も日本にいれば一般的には日本語がちゃんとしゃべれるはずです。

(日本人の方と結婚されたのかしら・・・)

と思いつつ、Rさんの部屋にも

『近所まできましたので~。』

作戦で行くと、あっさり・・・ドアが開きました。ちょっと、セクスィな格好をしていましたが、仕事モードなのでそんなことは気にせず、名刺を渡して、一気に用件を言うと、Rさんは部屋に戻っていって携帯電話を持ってきて、どこかに電話を始めました。何を言っているかは解らないのですが、時々、日本語らしき言葉も・・・どうも

「すぐにきて~」

と言っている様です。しばし、待っているとRさんはその携帯を私に渡しました。電話の相手が誰だかも解らない私は耳に当てるだけで、こちらから話すことはできませんが、私が電話を持っていることを教える意味で


「もしもし・・・・」

というと。結構、太いというかドスのきいた声で


「何の用事じゃいっ!!だいたい、お前は誰じゃい!!

(いや、じゃいじゃいって言われても、あんたこそ誰じゃいむかっ

と言いたい気持ちを抑えて・・・勇気が無いだけですが・・・


「Rさんのお住まいのマンションの新オーナーになった会社のものです。所有者変更のご挨拶と契約書の賃貸人の部分を変更したいと思いまして、やってきました。」

と精一杯丁寧に言ったつもりでした。


「ほんまかい!!あんたが新オーナーの会社の社員って証明できるんか!!

(って、いいから、あんたは誰なんじゃい!!!!!!

と言いたいところを必死に抑えて・・・


「はい、とりあえず、今、Rさんに名刺を渡したのですが・・・」

「Rに換わってくれ」

と言われたので携帯をRさんに・・・なにやら、ひそひそ話して・・・携帯は私にまた戻ってきました。


「おう、どうやら本当みたいだな。Rじゃ話にならんから、俺が会ってやる。」

さすがに誰だか解らない人が会うと言われても・・・勇気を振り絞って


「あの・・・どちら様でしょうか・・・」


「Uだよ、U!!

(あっ、たしか連帯保証人の方・・・ひらめき電球

会う日を約束したのですが、私はもう一つ確認しなければならないことがあります。

Uさんの身分証明書(運転免許証)のコピーは契約の時に添付されていたのですがコピーが粗い為、顔写真は確認できません。本当に会う人がUさんなのかを確認しなければなりません。


「すいませんが、本当にUさんかを確認しなければならないんで、お手数ですが身分証明書、あっ、免許証を持ってきていただけませんか?」

「ねーよ」


(無いって、契約の時には・・・汗



「免許取消し中だよ」



(取消しの場合は○○中とは言わないだろむかっ

と心の中で突っ込みつつ・・・


「他に何か身分証明書はありませんか?例えばパスポートとか・・・」


「おう、住民票なら取ってくぞ」


(住民票取るのに身分証明書がいるだろむかっ

と言いたかったのですが持ってくるというので


「それで結構です。」

3日後にRさんの部屋で会うことになりました。

そして、Rさん、Uさんと会う日になりました。ちょっと、Uさんの声に萎縮していた私ですが・・・。勇気を振り絞って、会いに行きました。心の中では

(Rさんはきっと、Uさんの奥さんなんだろう)

と、思いつつ・・・。

さて、Rさんのお部屋に入るとUさんは既に待っていました。

(げっ、声のまんまの風貌・・・)

私が萎縮しているのを相手に悟られてもまずいかと思いつつ、杓子定規に名刺を出して簡単な挨拶をして、UさんにRさんとの関係を聞きました。


「失礼ですがRさんはUさんの奥さんでしょうか?」


「おう、だいたい、そんなもんじゃい」


(やっぱり、そうだったんだ。私の勘も立派じゃいチョキ

と思いつつ次の作業に・・・


「すいませんが、住民票を見せていただいて宜しいですか?」


「おう、これじゃい」

役所の封筒に入っているままの住民票を手渡されたので早速、開けて確認すると、間違いなくUさんです。目を住民票の下の方にずらすと

妻○○(漢字)

長女○○(漢字)

長男○○(漢字)

(Uさん、今、Rさんが奥さんだって言ったじゃないですか・・・あせる

もう一回、関係を聞かなくてはならなくなりました。

もう、RさんとUさんの関係に気が付いている方もいらっしゃると思いますが・・・

この話は次回に続きます。

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