【開発】大規模小売店舗立地法5

カテゴリ:ブログ 不動産開発
連載シリーズ 【 【開発】大規模小売店舗立地法5 】 第 5 話 / (全 6 話)

さて、前回は既存ビルに関する大店立地法に抵触する可能性のビルについて、書きましたが元の話に戻ります。

前々回(【開発】大規模小売店舗立地法3)で、大店立地法に抵触した場合とそれに抵触しなかった場合の得られる収益の差について、書いたわけなのですが、実は大店立地法には、もう一つ大きなリスクがあります。

平成19年の建築基準法改正と大きく連動する話です。

そもそも、大店立地法は申請してから許可が出るまでに、概ね8ヶ月から12ヶ月の日数が掛かります。

申請から開店許可までの流れを愛知県の事例で説明します。(私の知る限りでは、流れそのものはどこの自治体でもあまり変わりありません。)

 

『Dr.相澤の住宅情報館』の館長のブログ

とこんな感じなのです。

ここで、重要なのは、申請の前に事前相談や関係各署(警察署など)に相談したり、申請後の近隣説明などにより、よく駐車場の出入り口の位置やゴミ置き場の位置などのプランが変わることです。

前回の話の通り、本法は建築基準法とは連動しませんから、大店立地法の申請と、建築確認申請は同時に行うことも出来ますし、建築確認申請を先に出すこともできます。

建築確認申請から審査そして建築確認が出るまでの期間も相応に掛かりますから、平成19年6月より以前は大店立地法の申請と確認申請を平行して作業することがほとんどでした。

ところが、建築基準法改正により、『軽微な変更』に関する内容が大きく変わりました。

結果的には、プランをちょっと変更することで、構造計算等が変われば出しなおし・・・という様な感じになりました。また、以前は2ヶ月以内で出来た確認申請が、現在では基本的に3ヶ月~4ヶ月の期間が掛かります。

もし、大店立地法の申請過程でプランが変われば、常に設計変更を行い、確認申請の出しなおしを余儀なくされ、設計コストも掛かっていくことになります。

そこで、新築の場合は大店立地法の許可が出てから、建築確認を出すということになります。

と、考えると、この期間が大きな問題となります。

例えば、郊外に土地を賃借してやる場合や、もともと、農地として使われていた場所などで土地の値段が安い場所などは、申請期間中の税金や、土地を購入した場合の金利はあまりかかりません。しかし、本題の土地の場合、土地の値段だけで24億円です。もし、3%の金利で借りて、大点立地法申請に1年が掛かれば、7200万円の金利が掛かります。

前回の話の通り、上手くいって3億5千万円の利益で、大点立地法に掛かると賃料の高い専有部分の減少で8000万円円の収益減となり、前述の金利による収益減で7200万円となり、1億9800万円しか利益がなくなってしまいます。つまり、44%も利益が減ってしまうわけです。そもそも30億円近い投資をして、粗利益ベースでこれだけ、利益が減ることになれば、当然ですが、事業そのものの是非を考えなければならなくなってしまいます。

また、期間リスクは金利だけではありません。

景気です。不動産価格の長期的な変動というのは現在ではある程度は予測できます。

物価の変動(インフレ)が無いと考えれば、青天井に不動産価格が上昇していくことはありませんから、どこかで不動産価格は下落もしくは高値安定という状況が発生します。もちろん、デフレが発生すれば、不動産価格は下落をして、場合によっては安値安定という事態が発生します。

しかし、物件単位や数ヶ月単位の不動産の価格転換点を読みきることはなかなか難しいものです。

※ 色々なエコノミストがファンダメンタル的な要因から、不動産価格の中期的な展望を予測していますが、正解率は50%ぐらいだと思います。つまり、丁半博打みたいなものです。しかし、先物取引よりかは、不動産の価格変動は緩やかです。

つまり、誰も予測できないならば、そのアップトレンド期間内に開発を如何に完了するのかということが非常に重要になります。その為にも開発期間をより短くする必要性があるわけです。

そこでなんとしても、大点立地法に抵触しないようにしなければならないわけです。

では、次回は本当にどんな開発をしたかを書きます。

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